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【WEBライターの読書レビュー】仕事について、もっと気楽に考えてみませんか?【仕事を減らす/田中猪夫(著)】

会社に入社して以来、仕事が増えるとは評価されているとイコールだった。

新入社員の頃、指導の先輩が忙しく、指示待ちを半日近くすることがあった。それでも定時前には仕事が終わった。

自分で仕事ができるようになると、仕事量が無限に増えてくる。
必要なものだけを取捨選択しているつもりでも、急な頼まれ仕事がやってくることもあり、定時では仕事が終わらない日々が続いた。もちろん、残業もした。

終わらない仕事量は、私への評価だと単純に喜んだ。

しかし、同じ仕事を20年近くしていると飽きてくるものだ。
最初は嬉しかった仕事量も、まだこんなにあると幻滅し、頼むからこれ以上増やすなと祈った。

そして私生活の変化をきっかけに、昨年、会社と話し合い、一足先に週休3日制を導入した。
手から溢れていた仕事を手放すタイミングがとうとう訪れた。
増え続けた仕事をどう減らしていくか。
ヒントを求めて本書を手に取った。

本書は油断するとさいげんなく増えていく仕事を減らす考え方の指南本。

もし1日の仕事が1時間で終わったら、人生にどんな変化が起きるだろうか。

最初にワクワクをしかけてくるのがズルい。
惹かれてぐいぐいと読みすすめてしまう。

第1章では、3つの考え方についてくわしく解説している。
2~4章では1章の考え方に基づいて、仕事の減らし方の具体例を用いている。
そして最終章では仕事を減らし、できた時間で何をするのがいいか。著書の考えをまとめている。

言われた通りやっていたら 人生終わる

これは本文ではなく、本書の帯に書かれたものだ。そのとおりとしか思えなかった。

「これやっといて」
「チェックお願いします」

など人から言われる仕事、頼まれる仕事はことのほか多い。
仕事ですらこれなのだから、家庭ではもっとだろう。思いどおりには進まない。

言われたとおりに、あれもこれもしていたら、本当に人生終わりそうだ。
付け加えるなら、

言われた通りやっていたら人生一瞬で終わる

である。あっという間でもいい。

そして気づいたら、自分が何をしたかったのかもわからないようになっている

仕事は人生の一部で、私を形成する上で欠かせないものだが、もっと優先順位を下げてもいいのではないだろうか
真剣に、慎重に、気楽に。
仕事への向き合い方を考えるターニングポイントがやってきている。
そんな気がしている。

仕事を減らすことについて考え方を改めなければならないと感じた。

私の知っている減らし方は、人に任せる。
ただひとつだった。

部下の成長のため、自分の持っている仕事を移譲する。
そして自分は上司から更に困難な仕事を譲られ、取り掛かっていく。
会社組織の中で、こうしてグルグルと仕事という名の営みが繰り返されるものだと思っていた。
もうその考えは古いのかもしれない。

自分の仕事を減らすとは何も部下に仕事を渡すことではなく、全く新しい小さなイノベーションを起こすことだった。

仕事を減らすことで、企業の新しい風を生み出すことができる。
いわゆる「企業再生」の足がかりになる。

仕事を減らすことにマイナスなイメージを持っていたが、とんでもなかった。
仕事を減らすとは、企業成長への第一歩になる。
希望に満ちた気づきを得ることができた。

新入社員の方や、3年目あたりの方は読まないほうがいいかもしれない。
ひとりで仕事ができ始めて、楽しい時期だろう。

本書はどちらかというと、入社7年目や8年目、中堅とよばれるあたりの方にぜひ読んでいただきたい。
溢れんばかりの仕事を抱えて、それでも歯を食いしばって頑張ろうとするすべての働く人へ。

本書の考え方を知ると、もっと仕事が楽しくなり、人生への展望が明るくなる。
仕事に必死にならずとも、肩の力を抜いて働いていいんだと思える本でした。

<評者/よしの>

【書誌情報】(openBDさまより)
「仕事を減らす」
田中猪夫/著
サンマーク出版
2023年10月31日
ISBN:9784763140784

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