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【展覧会レポ】かけだしライター、大阪中之島美術館 特別展 生誕270年 長沢芦雪 ー奇想の旅、天才絵師の全貌ーに行ってきました!

~自分の目で感じる、芦雪の世界~

こんにちは、よしのです。

2023年10月18日、大阪中之島美術館で開催されている「特別展 生誕270年 長沢芦雪 ー奇想の旅、天才絵師の全貌ー」に行ってきました。

この展覧会は、絵を愛し、新しい表現を追求した長沢芦雪の魅力を伝えるためのもの。多くの方が持っている芦雪の印象は「犬の人」もしくは「虎の人」が圧倒的でしょう。
また芦雪の名を知らなくても、絵を見れば見たことがあると思う方が大半かと思います。
会場内は、芦雪の作品に魅了された多くの人々で賑わっていました。

わたしが感じたことをそのまま記事にしています。
この記事を読むことで、あなたも自分だけの鑑賞の仕方のヒントが得られることでしょう。
美術から何を感じるかは自由です。それこそ長沢芦雪が何にもとらわれず自由に絵を書いたように、あなたが何に思いを馳せるのかは自由です。

大阪中之島美術館 特別展 生誕270年 長沢芦雪 ー奇想の旅、天才絵師の全貌ー
リーフレットより



「特別展 生誕270年 長沢芦雪って何?」

長沢芦雪は、絵を描くことが好きで、常に新しい表現や技法を追求していた画家です。
この展覧会は、彼の代表作や初公開作品を一堂に展示し、その魅力を伝えるもの。
前期・後期で大幅な展示の入れ替えがありますが、展示作品総数は116点を数えます。

主催する大阪中之島美術館は、多くの名作を展示してきた美術館です。印象的な真っ黒い建物は、一度見たら忘れられません。



「作品の前で、どう感じる?」

会場内を歩くと、多くの人々が作品の前で立ち止まり、その美しさや奥深さに心を奪われていました。
単眼鏡を使って緻密な描写に、感心している40代ぐらいの男性の姿もありました。

長沢芦雪は円山応挙(1733-1795)の弟子。
ふわっとしたタッチの愛くるしい子犬たちや髪の毛一本一本まで精密に書き込まれた中国の美女を描いた作品は、超写実主義の師匠の技が見え隠れします。高弟として、応挙の技術を最も学んだとされる芦雪。

師匠のもとで修行を積んでいた芦雪の転機は33歳のときです。
和歌山県串本、無量寺の愚海(ぐかい)和尚が京都の円山応挙の元を訪ねてきました。
古くからの友人であった2人は、津波で全損した無量寺の再興の暁には襖絵を書く約束をしていました。和尚の訪問はその約束を果たすためでした。
応挙は早速襖絵12枚を書き上げ、和歌山まで同行する予定でしたが、他の先約や体調が思わしくなかったため、代理として芦雪に和歌山同行をさせました。そこで芦雪はかの有名な「虎図襖」「龍図襖」を書き上げました。

近畿の最南端、和歌山県串本町。何度か訪れたことがありますが、悠久の時を経て現存する大自然は見るものを圧倒し、温暖な気候、明るい光はまるで南国のようでした。
丹波篠山の生まれで京都の淀育ち、そして応挙に師事してからは二条城の近く、更には現在の地下鉄京都市役所前付近に住まった芦雪にとって、串本町は異世界だったことでしょう。

それでは、ピックアップ3選です。

【百兎図】(円山応挙)


山にうさぎがもふもふ。白い子が大半で、次に茶色、黒は少なめ。集まる習性があるとはいえ、集まりすぎ。かわいい。もふ。白い子たちは輪郭しかないのに、何このモフ感。もっふもふやん。うさぎの海に溺れたい。まるまる。ぎゅっぎゅ。密集。呪術廻戦の脱兎では?芥見先生ここからヒントを得た?英語表記がone hundred rabbits。え、100匹もいる?数えてみよ。うそやん、104匹。しかも後ろからまだ4匹来てる。108匹。108匹うさちゃん。(恐らく誤差あり)

【虎図襖】(長沢芦雪)

大阪中之島美術館 特別展 生誕270年 長沢芦雪 ー奇想の旅、天才絵師の全貌ー
リーフレットより


躍動感。飛び出してる。夜にこの作品を見たら怖すぎて泣く。みごとなつり上がった眼。跳躍力を表している筋肉質な脚。盛り上がる背筋。岩を蹴り出したばかりの大きな足。飛びかかる寸前。静寂の観察から一瞬で跳ね上がった。勢いに追いついていない尻尾はくるんと先が丸まってる。虎は跳躍して、側面から獲物をなぎ倒し、噛んで息の根を止める。ということは、何か獲物を見つけた?鹿?大型動物?まさか、うさぎ?

【龍図襖】(長沢芦雪)

大阪中之島美術館 特別展 生誕270年 長沢芦雪 ー奇想の旅、天才絵師の全貌ー
リーフレットより


迫力に鳥肌が止まらない。ゾクゾクする。写真では見たことあるのに、現物の圧が比較にならない。圧つよ。鋭い爪。カイドウやん。ヴォオォォ!と叫び声が聞こえる。もしこれが必死にドラゴンボールを集めた後に現れる神龍(シェンロン)だったら、泣く。怖すぎる。願い事どころか「帰って」って言いそう。構図がすごい。体が左から斜め右へ。そして襖からはみ出して、また右から斜め左下へ。一度外へ。そんなにうねられては勝ち目がない。雷と漂う霊気。誰も近寄れるはずがない。

余談ですが、展示室では芦雪作品の解説動画が流れていました。和歌山無量寺の本堂はコの字型になっており、正面に御本尊、そして左右に「虎図襖」「龍図襖」。動画ではありますが、悪いものが一切近づいてこれないような荘厳な雰囲気がひしひしと伝わってきました。でも、夜は怖いだろうな。



「自分だけの鑑賞方法を見つけよう!」

作品には、芦雪が感じた情熱や思いが込められています。
そのため、一つ一つの作品には異なる解釈や感じ方があることを忘れずに、自分の感じたことを大切にしてください。
会場内には、それぞれの作品に対する小さな解説もあり、それを参考にしながら、自分なりの鑑賞方法を見つけることができます。

鑑賞中に列ができていて「もうちょっと見たいのに、列に流されてしまった」場合があります。そんなときは、列から1歩下がって脱出してください。実は、展示室を行ったり来たりすることができます。
全部の展示を見て、もうちょっと見たい作品のところまで戻る。可能です。

他の方にぶつからないように注意して、どっぷりとお好きな作品にのめりこんでください。



「芦雪の作品と、自分との出会い」

この展覧会を通して、芦雪の作品の魅力や、自分自身の感じることの大切さを再認識することができました。
芦雪の作品は、その美しさや奥深さで、多くの人々を魅了しています。

一度自分の型ができてしまうと、なかなか癖が抜けない経験は誰でもあると思います。
芦雪は守破離の人であると同時に、師匠の型と自分の型を行ったり来たりすることのできる稀有な人でした。描きたいものに合わせて、自分の持っている技量を次々と更新していく。

絵に対して柔軟で一途な姿勢に、背筋がのびた思いです。

この展覧会に行かれた方、どんなことを感じたのか、何が良かったのか。
ぜひコメント欄で聞かせていただければ嬉しいです。



案内


「特別展 生誕270年 長沢芦雪 ー奇想の旅、天才絵師の全貌ー」に興味のある方は、ぜひ以下で詳細をご確認の上、おでかけください。
前期・後期で大幅な作品の入れ替えがあるため、お目当ての作品がある場合はお早めに。

「虎図襖」「龍図襖」は前期のみの展示で「百兎図」は通期展示です。

芦雪の自由闊達な画風は、あなたに新しい風をもたらしてくれるかもしれません。
https://nakka-art.jp/exhibition-post/rosetsu-2023/

住所:大阪府大阪市北区中之島4-3-1
施設名:大阪中之島美術館 4階展示室
展覧会名:特別展 生誕270年 長沢芦雪 ー奇想の旅、天才絵師の全貌ー
会期:2023年10月7日(土) – 2023年12月3日(日)
前期:10月7日(土) – 11月5日(日) 後期:11月7日(火) – 12月3日(日)
休館日:月曜日
開館時間:10:00 – 17:00(入場は16:30まで)
交通手段:
【京阪電車】
中之島線 渡辺橋駅(2番出口)より南西へ徒歩約5分
淀屋橋駅(7番出口)より土佐堀川を越え西へ徒歩約15分
【Osaka Metro】
四つ橋線 肥後橋駅(4番出口)より西へ徒歩約10分
御堂筋線 淀屋橋駅(7番出口)より西へ徒歩約15分
【JR】
大阪環状線 福島駅/東西線 新福島駅(2番出口)より南へ徒歩約10分
大阪駅より南西へ徒歩約20分
【阪神電車】
福島駅より南へ徒歩約10分
大阪梅田駅より南西へ徒歩約15分
【阪急電車】
大阪梅田駅より南西へ徒歩約20分

【大阪シティバス】
JR大阪駅前より53号・75号系統で「田蓑橋」下車、南西へ徒歩約2分

補足
芥見下々『呪術廻戦』集英社
尾田栄一郎『ONE PIECE』集英社
鳥山明『ドラゴンボール』集英社

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