東京でマーケティング戦略ってやつやってたけど何か質問ある?
こちらは、いちばんいやらしいWebマーケティングの教科書 Advent Calendar 2022の21日目のための投稿です。
ここ1年Webマーケティングってやつとなるべく距離を取ってきたので書くことないわ……ということで去年の話をします。タイトルは釣りですスイマセン。なんか地方の人が楽しそうで羨ましかったんですスイマセン。
なるべくざっっくり書くようにしますし、なんかいろんな人に怒られたら消しますけど、たぶん30PVくらいだと思うのでいいでしょう。。たぶん。。。
皆の衆ー!顧客起点マーケティングがやりたいかー!
突然ですがみなさま、9セグマップってご存知ですか?
詳細はぜひこの書籍を読んで下さいって感じなのですが、ざっくりいうと
市場を俯瞰的に把握することで施策の対象と目的を明確にする→施策内容を固めるためにN=1分析を行う、という感じのフレームワークだと理解しています。
もちろん西口さんに直接お会いしたことないので、個人の理解です。
ちゃんと理解して自社のビジネスに取り入れたいようでしたら、サービス化されているようですのでぜひご検討ください(ステマじゃないよ)
で、「本読んで『良さそうだね!なんかやってみたいね!』ってなって丸投げされた結果苦労した私なりの9segsフレームワーク作成の話」を書いておきます。俺の屍を超えていけ。
※やり方の話は割愛します。本読んでもらえると…。
市場把握って大事だよね
まずアンケートやって、市場を5つと9つのセグメントに分類します。9つはこんな感じ。
ここでぶち当たるのが定義の壁たち。
・一般とロイヤルの定義ってウチのサービスどう分けたらいいんだろうね
・一回使うのやめたけどまた戻って来てくれた人って、1~4の中でもちょっと違うよね・・・でも離反に入れるのも違うよね
・認知って名称認知とサービス認知だと違うのでは
これはもう決めの問題なんで、ユーザーの情報を見て、納得感のある分類を議論するしかないです。そのため、調査票に多少の質問を入れておくのがよいなと思いました。あと顧客の場合データがあると思うので、それも活用します。
あと、社内に既にある指標・KPIとの共存や棲み分け。ここは丁寧にやらないと会社全体に浸透しないのでがんばってください。社内調整は代理店ではなく社員の仕事です。
市場規模に割り戻すと、どこがボトルネックになっているかが見えます。
たとえば
既存顧客の購買意向を上げるのが優先なのか(2・4→1・3)、
市場でまだ認知が全然取れていないので認知獲得が優先なのか(9→7・8)、
既存顧客から離反されないような施策が必要なのか(1~4→5・6転換率を下げる)、
などなど。
やることは大体山盛りなので、優先順位をつけるんですが、その意味でも数値として市場規模が出ていることは結構大事です。
ちなみに、縦軸って「次回購入意向が本当に適切なんだっけ」という議論もちょっと出たんですが、いろんな指標と売上・利益の相関を見るとやっぱり次回購入意向の相関が高かったです。
Webマーケティングってどうもいきなり手段・施策の話から入ることも多い気がするんですが、こういう市場把握からちゃんと入るのって大事だなぁと思っています。
己の頭が如何に「自分が言いたいこと」主体かを自覚する
で、「どこをどこに転換させるのか」が決まったところで、対象のユーザーのN=1分析をするわけです。
もちろんGAとかユーザー行動を記録しておくようなツール(レコーディング機能があるとか)などデジタルな手段もありますが、それらでわかるのは「なにをしたか」だけで、結局「なぜそうしたか」はわからないので、ユーザーインタビューをします。
何を聞くかは商材によるんでしょうけど、
過去の購買経験、何を重視して商品選択をしているか、自分以外の誰が意思決定に関与するか(たとえば車みたいな高額商品は家族に相談するし、ターゲットが未成年者なら親が関与するしとか、そういうこと)などなどなど。
ここでブランド担当者のみなさまにお願い。ユーザーインタビューの全部の回に出てください。お客さんの声を生で聞いてください。
仕事がクソ忙しいのもわかるんですけど、MTGが詰まってるのもわかるんですけど、参加することで、この後考える施策の精度もきっと上がります。
で、この後やることはまぁユーザーインタビューの手法的な話で、話聞いてると何となくグルーピングできると思うので、顧客ニーズごとにグルーピングします。
顧客ニーズごとです。「主婦」とか「サラリーマン」とか「子育てママ」とかじゃなくて、「自社のサービスに何を求めているか」でまとめてください。じゃないとコミュニケーションメッセージに落とし込みづらいので。
「情緒的/自己表現的ベネフィット」をちゃんと決めておくこと
「自社のサービスに何を求めているか」の解像度を上げるためには、インタビューの言葉の裏からベネフィットを引っ張ってくることが重要だと思います。
情緒的ベネフィット・自己表現的ベネフィットは要するに「この商品を使うとこんな気持が満たされる」「こんな自分が感じられる」といった満足感的なことです。
これを、できればユーザーインタビューの前に仮説だけでも持って置けると良いかなと思いました。
直接競合から市場を取るのは結構体力がいります。すでに自社が負けている企業に対して価格での殴り合いになると、どうしてもどこかで限界が来ます。
で、そのときに情緒的ベネフィット・自己表現的ベネフィットが明確だと、価格以外での自ブランドの差別化が図りやすくなります。
場合によってはカテゴリ競合から市場を取ってくるとか、逆に協力するとか、施策の幅も広がるのではと思います。
ユーザーをグルーピングするときも、「安い商品を求めている群」とかじゃなくて、「なぜ安い商品を求めているのか」まで突っ込んで考えると単なる「節約好き主婦」みたいなありきたりな像にならないです。
デジタルのターゲティングのしやすさでいうと結局「節約好き主婦」みたいな方がやりやすいんですけど、属性とか嗜好性を軸に媒体やターゲティングを絞り込んだ上で、メッセージはベネフィットを意識して作った方がいいと思います。
N=1は入口であって出口ではない
1回のユーザーインタビューで呼べるのはだいたい10人~15人くらいです。それ以上はお金も労力もしんどいです。
で、そうすると「たった10人の声を信じて良いのか」という話が持ち上がるわけですが、あくまでN=1の体験は仮説や発見の入口にするのが個人的おすすめです。
サイト内の行動をGAで見て同じ人が多いか見る、店頭に立って見て本当にそういう動きをするお客さんが多いか見る、店頭のスタッフに聞いてみる、アンケートをやる、なんでも良いので定量的な裏付けはつけたほうがよいと思います。
先に手を動かすのであれば、A/Bテストやテストマーケティングを踏むのも良いと思います。モックを作って友達に触ってみてもらうのもアリかもしれません。(社内の人じゃないほうがよいです。いちお客さんの立場で触ってもらう必要があるので)
作って終わりにしないのが一番大事
フレームワークに沿った資料を一通り作って、テストで1回施策打って、ハイお終いだと全然意味がありません。時間とお金の無駄です。
定期的に前述の9segsを測って、施策によって市場がちゃんと動いているかを把握しつづける必要があります。
ユーザーテストはそれより長いスパンでも良いですが、競合の動きや市場の変化などでユーザーの意思決定に変化が現れると思われるタイミングでは取っておいたほうがよいです。
こういうフレームワークって、やりつづけることで社内に定着させるのが一番大事です。
実際私が支援側でやってたときも、「これってどういう定義なんだっけ?どうやって取った数値なんだっけ?」というところが根付くまでに結構時間がかかりました。これには担当者のコミット具合も大いに影響します。
あと戦術については、マスや店頭プロモーションにいきなり反映するのはなかなか難しいので、やはり小回りのきくデジタル施策からテスト的にやるのがよいと思います。
ただし、今まで刈取型偏重だった会社は特にだと思いますが、すぐに成果が上がるものではありません。なんなら下がるかもしれません。
コミュニケーションやブランディングを変えるときはそういう覚悟も必要なので、トップダウンで進めたりある程度予算のアロケーションを考えておく必要があると思います。
もっと具体的に言えよって思った方へ
全方位に気を使った結果こんな感じのお気持ち記事ですが、もしやってみたいなと思った方がいたら、ぜひなんかの機会に直接お会いしましょう。
どういう調査設計したとかどういう課題があったとか、もうちょっといろいろ話せるかもしれません。