見出し画像

俺と師匠の情熱seitai life 始まりの始まり 3

どん底。

光の見えない暗い井戸の中に暮らしているような毎日だった。仕事はあるが不安を払拭するには全然足らず、毎日キリキリと追い込まれていた。

ガキの頃から楽しいことは一つも無くて、いつ死んでもいいと思っていた。死んだら全て解決すると。

でも今回は逃げるわけにはいかない!ずっと支えてくれた嫁と子供が2人もいる。無駄にデカい家もある。とにかく全部無くしたくなかった。現状は辛くてもなんとかするしかない。

できる仕事をしっかりコツコツ積み上げていくしか道はないと気づいた。

何でも中途半端で続けられなかった俺が、唯一続けられて自信が持てるものは整体師の仕事。この状況、この気持ちならと初めて仕事というものに真剣に向かいあった。

早くから社会に出ているが、そのせいで劣等感しかなかった俺にはどんな仕事に就いても自分の感情に左右され、激情で壊し続けることしか出来なくなっていた。仕事というものに希望や未来は無く日々を生きるために全て諦めて酒にしがみついていた。

そんな人生を諦めていた時に出会ったのが嫁さんだ。

「私は本当に普通に生きてきたの。普通の人と結婚して暮らしたら普通すぎて楽しくないし退屈だと思う。だから貴方みたいに普通じゃない方がいいの。想像以上に大変なことは沢山あると思うけど、私にとってはそっちの方が100倍楽しそうだと思うのよね。輝く人の隣にいて、そっと輝ける人もいるのよ。」

結婚する前のあどけなさの残る嫁さんの言葉と、木漏れ日の様な笑顔が、あたまの中をずいぶんとこの辛い状況の時には壊れたテープレコーダーの様に繰り返し響いていた。





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?