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バイバイの涙を忘れない

「来週お客さん休みだから、その1週間夏休みとってくれたら有り難いんだけど」

とボスから言われ、
ふたつ返事で承諾し航空券を取って渡った。




フランスへ

仕事の都合上1週間の休みというのは
かなり難しい。

難しいのだがパートナーはフランスにいるのだ。
今しかなかった、どんなに円がもうほんとバナナ叩き売りの激安であろうと知ったことではない。

正直わたしも彼も今年会えるなんて絶対むりむりと思っていたしお互い言っていた。
それでも一縷の願いを込めて手帳の
やりたいことリストに書いたのが運のツキ。
もうわたしは「手帳に書くと叶う」を信じ始めている。
これでわたしは痩せました(東京都·女性)
レベルの信憑性と言われてもだ!

とにかく久々の再会を果たした我ら。
やりたいことやるキャンペーンの今のところ最大の成功である。

もうほんと毎日あっち行ったりこっち行ったり、
あれ食べこれ食べとほんとにこんなに充実した旅行は
無いぞたぶん!きっと!という時間を過ごした。
そして体が肥えた。

時は音速で流れさよならの空港。
じゃあねと言った瞬間に涙が込み上げた。

わたしはいつもそうだ。

着席してしばらくで寝落ちした高校の卒業式も
最後の合唱で目を覚まし1音目で別人のように落涙をキメた。

航空券をかざしてゲートをくぐり彼を見ると、
両手を振りながらにっこり笑顔の両目の周りに
拭われきれなかった涙が残っていた。

わたしも歩を進めながらも
涙目のでっかい笑顔でぶんぶん手を振り、
「This way!!」と空港スタッフに突然強めに促されるまで
(端っこかつガラガラで私しかいなかったから邪魔とかではない)
(なんならめちゃ爆笑された)
故郷の島を離れる若者たちみたいな時間を続けた。

多分この光景は一生忘れないんだろうな。


思い立ったが吉日。
ちょっと不安があってもやったれ!
そのためならちょっとくらい金もくれてやれ!
そう改めて思った。

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