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スタートアップでBtoBマーケの立ち上げに挑んだ、1年半の振り返り

「今、うちのBtoBマーケティングは何もないんだよね」

そう言われたところから始めて、1年半。

2019年の6月に、新卒採用支援のサービスを提供しているワンキャリアという会社に入ってから、1年半が経ちました。

思っていたよりできた部分もあったし、できなかった部分もありました。ただ、「何もない」からは数歩進めたんじゃないかと思います。

そんな1年半を振り返ってみるので、BtoBマーケティングに興味がある方や、これから立ち上げようとしている方は、ぜひ読んでいただけると嬉しいです。

※この1年半では、いわゆるLead GenerationからLead Nurturingをメインでやってきました。マーケティングの一部でしかない、というのは重々承知なので、あまり突っ込まないでください。笑

0. スタート地点とゴールを明確に(2019年6月)

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「BtoBマーケティングが何もない」

こう言われたときに、何を想像するでしょうか。その時点で上位校生の90%弱にご利用いただいている就活サービス「ONE CAREER」を運営している会社です。何もないとは言っても…、と完全にたかをくくっていました。

「あれ、B向けのサービスサイトはどこ?」

検索しても出てくるのはC向けのページだけ。上司に聞いたところ、一応あるんだけど…、と送っていただきやっとたどり着けるレベルでした。

そして新規開拓のためにやっていたことは
・アウトバウンドコール
・自然流入による問い合わせ
のみ(それぞれ数社受注/月)という状態。
もちろん戦略も特になく、データもほとんどない状態でした。

何もない、と言われたスタート地点が明確になりました。

そしてゴールとして、最初の期待値は「インバウンド経由の商談数を増加させる」こと、というのを上司と確認し、立ち上げを始めることとなりました。

1. インプットをしながら、短期的な成果を出す(2019年6月~9月)

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入社して最初にやったことは、「知る」ということ。

・社内にはどんな人がいるのか
・それぞれ何をしていて、何に強くて何に困っているのか
・お客さんはどんな人なのか(BもCも)
・自社サービスの提供価値は何か
・競合サービスは何で、それぞれどんな特徴があるのか
・自社サービスを活用して「成功」しているお客さんは

みたいなことを知るべく、社内の方とお話しさせてもらったり、営業に同行させてもらったり、導入事例としてお客さんに取材をさせてもらったり、顧客サポートのチームと成功について議論したり、学生さんと面談させてもらったり、とにかく情報収集に努めました。

ここを飛ばすと、「誰にどのような価値を届けるのか」という根本もなく、他の人の仕事ややりたいことを無視した独りよがりのまま、施策だけ実行することになってしまうので、丁寧に情報収集をして考えていきました。

一方で転職したてでもあったため、短期的な成果も必要でした。会社として1人目の新しいポジションとなると、そもそもいるんだっけ?となってしまうかもしれません。そうならないためにも、ちゃんと意味のあることをやっているぞ、ということを証明する必要がありました。

ただここは有難いことに(とは言えかなり工数は持っていかれましたが)、入社して早々以下のようなP&GさんやForbesさんとのプロジェクトにがっつり関わらせてもらうことができたので、少し解消されたと思います。

そんなことをやりながら、一旦誰に何の価値を届けることで、受注目標の何割をインバウンド経由にすることを目指すのか、そのために必要なリード数などをざっくり策定。実績がないのでかなり粗目だったとは思いますが、ターゲット群を決めて施策を考え、打ち始めました(一文にまとめましたが、けっこう大変です)。

それと並行して、商談を供給するためには「良いリードに早く当たる」ことが重要だと考え、獲得リードをセールスにパスする仕組みの構築や、データの残し方も整備し、準備は万端。

そして初月のリード獲得目標数は無事に達成翌月には新規顧客向けの特別プランを期間限定でリリースし、SNS広告を回すことで問い合わせ数を例月の3倍以上獲得するなど、順調な滑り出し…かのように見えました。

2. 「リードはもういらない」→何でも屋になる(2019年10月~12月)

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順調にリード獲得ができていたのですが、とても大きな懸念がありました。それは、思ったほどには商談数が伸びていない、ということでした。リードを獲得し、セールスにパスしても、フォローしてもらえていない…。

セールスメンバーと話すと、シンプルに新規開拓に割ける工数がそんなにない、ということでした。さらには、「リードはもういらないから」というコメントもいただきました

前職では圧倒的に強いインサイドセールスの方々が、とにかくリードは全部フォローしてくれて、むしろ足りないと毎日言われるくらいだったので、完全に甘く見てしまっていました。

そこからは自分に何ができるのか、を考え行動し続ける戦い。リードはいらない、でもKPIはそのまま、使える費用はほぼ0、という厳しい状況で、売上に貢献するためにできることを探しました。

・MAツールを活用し、セールスを介さず商談を創出できないか
・セールスの工数で削減できる部分はないか
・セールスの採用をできないか
・インサイドセールスの外部パートナーにお願いできないか

など、いわゆるLead Generationの領域を出て考えられたのは、我ながら良いことだったなと。そして個人的にやりたい気持ちがあった採用に関わり始めることができたのも、とても大きかったです。事業責任者と一緒に、要件定義→求人票の見直し→Meetupの企画/運営→スカウト文面の作成→スカウト送付→一次面談、など、Lead Generationの採用版のようなことをやらせてもらいました。

ただこのときはとにかく孤独で、リードが欲しいからうちに来てと言われたはずなのに数か月でいらないと言われるは、ぜんぜんやったことのない領域をやろうとしてなかなか成果は出ないは、苦しい時期でした。

こうしてもがいていくなかで、ついに光が見えてくることとなります。

3. 新規セールスチームの発足!(2020年1月~3月)

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2019年1月、ついに新規セールス専任のチームが発足しました。3月にはインサイドセールスの外部パートナーも稼働を開始。ここぞとばかりにSFAツールの入力ルールを刷新し、データが貯まるように整えました。

初期に整えた獲得リードをセールスにパスする仕組みもついに日の目を見ることとなり、「早く当たる」ことができるようになりました。

そしてセールスメンバーからのフィードバックを取りに行くことで、少しずつ「良いリード」の定義もブラッシュアップしていくことができました。

これにより、「リードはもういらない」と言われたところから、リードから商談、そして受注を生み出せる体制ができあがり始めました。

さらにはインサイドセールスの専任社員も参画し、1人でやる、からチームでやる、ことができるようになっていくなど、またまた順調かのように見えました。

4. コロナの影響(2020年3~5月)

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オフラインの施策が実施できなくなった、ということのインパクトはとても大きかったです。社としても、合同説明会などオフラインイベントをお客さんに提供していましたができず、私としては展示会が一大施策だったのに出展できないことになりました。

ただ社としては、いち早く説明会のオンライン化に着手し、企業さんに無償で出演いただくという素晴らしい意思決定がされました。

私もオンラインでできることを増やさねばと、以下を実行しました。

・Webinarの企画
・新規ホワイトペーパーの企画
・オンラインで協賛できるイベントの開拓
・新規媒体の開拓
・SNS広告の運用

結果として、当初想定した目標を下方修正することなく達成することができました。

5. インバウンド経由の商談を安定供給(2020年6月~12月)

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オンラインへの切り替えも落ち着いて以降は、とにかくごりごり施策を回していきました。

・セミナー:新規の企画から集客、実行、時には登壇を週1ペースで
・大型イベント:開拓から協賛準備、企画や運営補佐などを月1ペースで
・ホワイトペーパー:セミナーコンテンツとは別に企画から作成、出稿までを1-2本/月
・メルマガ:1-2本/週に作成から配信まで
・SNS広告運用:クリエイティブディレクションから運用まで

上記施策を基本的に1人で回すのはけっこう大変なのですが、「お客さんにとって価値あるコンテンツをつくり続ける」ことを常に意識していました。

新卒採用は時期性のあるテーマなので、同じコンテンツを繰り返すのは来年だ!と思い、新規コンテンツをとにかく考え続けました。そのため、「セミナー企画100個出すまで帰れま100」という謎企画をおうち開催もしました。笑

また、細かなPDCAを回すべく、メルマガに日程調整フォームをつけてセールスの手を介さず商談につなげる、などもいろいろと試しました。

この細かな施策でおそらく一番効果がわかりやすくあったのは、セミナー申し込み完了ページにサービス資料ダウンロードの導線をつくったことかもしれません。サービスを軽く知っていただいてからセミナーにご参加いただくことで、理解が深まり商談化率がアップしました。

もちろん、セールスメンバーと連携しながら、コンテンツをブラッシュアップしていき、安定的に商談や受注につなげられるようにしていきました。

その結果として、2020年1月と11月を比較して、リード数は5.1倍、インバウンド経由の商談数は4.8倍、インバウンド経由の受注金額は5.5倍と大きな成長を遂げることができました。
※前年同期比だともっと伸びています。

6. 数から質へ(2021年1月~)

データも貯まってきたので、次にやるべくは効率化かな、と思っていました。質の良いリード、質の良い商談とは、に一定答えられるくらいのデータが貯まってきたのはとても嬉しいことです。頑張って整備した甲斐がありました。そしてセールスのメンバーも面倒なはずですが、頑張って入れてくれました。

「誰にどのような価値を届けるのか」をブラッシュアップして、狙ったリードや商談を取りに行くことで、より効率的になっていくことでしょう。

ただ私は、一旦ここで次の挑戦を始めることになりました。

7. 最後に

「今、うちのBtoBマーケティングは何もないんだよね」

こう言われて入ってから1年半。

BtoBマーケティングのやることに関しては全て任せていただきました。結局最後まで1人ではありましたが、セールスのメンバーと一緒にここまでなんとかやってくることができました。とても感謝しています。

もちろんまだまだ伸びしろだらけですが、今なら何と言ってもらえるのでしょうか。「何もない」とはもう言われないと良いなと思います。笑

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