小林賢太郎「表現を仕事にするということ」一言感想文
舞台や映像の世界で知られる小林賢太郎のnoteから生まれた本。鬱々とした本屋巡りの中で直感的に手に取る。「表現を仕事にするということ」の章を、同じ道を歩く先輩のような親しみを持って拝読。とにかく表現をし続ける。それをやめられない。その表現がどのジャンルなのか決められない。決めたくない。今自分が生きる場所の、この時代にあって、その生き方がイージーなものではないことを嘆きながらも、そうあることから逃げられない。そんな不器用で不運な表現者にとって当然の感覚を、表明してもらえることの安心感。ああ、一人ではない。時には過去の偉人に共感を持つことで気持ちを慰めることもある中で、同時代に生きる人に言葉にしてもらえることで、孤独感はぐっと和らぐ。戦略やマネタイズに疲労した表現者にとっての処方薬は、表現に集中することだとわかりきっている。それを肯定できない迷いを、繰り返し、その度に、拭い去るしかない。
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