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【楽曲解説】Suite for Xylophone Trio No.1-3

第一組曲の第三曲は、ハ長調四分の四拍子の打楽器アンサンブルって感じの一曲。ポイントは、もちろんカバサである。

ラテンの曲でしか使いどころがない楽器という印象であるが、あれでロールができる先輩には舌を巻いたのを覚えている。(なんか手首のスナップで、ザーッと一方向への回転を持続させることができた)

このカバサを使うと決めたら、やっぱり十六分音符を効果的に使いたい。そこで、冒頭の打楽器アンサンブルあるあるな、ベルトーン的部分を作った。エセドラゴンの年のような冒頭部分だが、たぶん上手い人達が演奏すれば、いい感じにしてくれるんじゃないかと思う。

6小節目からは不可思議な空間が漂う。ここまでの二曲が安直な木琴のメロディだったので、この曲では効果音としての役割を意識した。

この曲のもう一つのポイントが、ピアノである。せっかくの組曲、ピアノを貴ぶ世界線の曲も入れておきたかった。冒頭は思いっきりフォルテにしてしまったが、メインはあくまでピアノである。

カバサがメゾピアノになっているのは、物理的にピアニッシモにしようとすると、音が弱くなってしまう、死んでしまうと思ったからだ。

ここでのメロディはスネアドラム。完全に作者の即興的なセンスで作った。あまり深い思慮はない。

10小節目の木琴は、メロディというよりは効果音、挿入句にすぎない。スネアドラムのメロディの中継ぎだ。

その後からカバサのリズムパターンが変わるが、これは主にカバサの人の手の負担を考えたからである。ずっと十六分音符をキープするのは、正気の沙汰ではない。ラテンの曲は、正気を失っているからできるのだ。あとは、ずっとそのままでは曲調に対してややうるさいし、マンネリ化してしまう。ここからさらに、微妙なアクセントの変化がある。

13小節目でややメロディックな動きが出てくるが、なんとなく古き良き時代の打楽器アンサンブルぽいなと思った。ここはスネアドラムとのデュエットのイメージ。

21小節目はソロだけれど、こりゃあテンポ走りますよね。ここでのテンポ感は技術点が入りそう。テンポ感によってメロディの感じ方も変わりそうだしね。

わかりやすい再現部に入って、一番好きなのがスネアドラムの八分音符の刻み。ここは木琴やカバサときっちり噛み合うと心地よいだろうなあと想定。特に27小節目の部分は、けっこう技術的にも難しいと思う。ここでうまく噛み合うと、かっこいいんじゃないかな。

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