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花束

懐かしさのあまり火を吹いた彼女は
飛び立つ前に夢を抱えてこう言った
「アレクサンドロスが見つかった」
笑って送り出すしかなかった僕は
密やかに決意した
僕は、きっと、残された者たちを

久しぶりに会った彼女は
あの長い舌で
フルーツパフェの頂きの
チェリーを甘くほおばった
まるで獣のように

あれから三十年が経ち
僕も随分と年を取った
成人を迎えた僕らは
やがて来る繁殖期に備えて
花束を贈った

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