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それは、牛乳だったり、ご飯だったり、おしゃべりだったりする

10年前、長男がまだ小学校に入学したばかりのある朝 -

「なんか、今日は元気が出ないなー。」
まだ眠り足りないところを強引に起こされて、それなら仕方なくと見始めたテレビはご飯だからと中断になり、ふてくされた顔をしている。僕も妻も、そんな様子もかわいいもんだねと、目を合わせて微笑んだ。1ヶ月前に1歳になった次男は、テーブルがセットになった幼児用の椅子に座っている。

朝食の席に着いた長男に、僕が問いかけた。
「元気が出ない時は、どうすると?」
「えー、決まってるよ。牛乳をのむ!」
そう言うなり、牛乳で満たしたお気に入りのスヌーピーのコップに手を伸ばし、ゴクゴクと飲み干した。
「あー、おいしい!牛乳はね、カルシウムだけん、元気になるっちゃん!」
テレビの前のソファでもぞもぞしていた少年はどこかに消えて、エネルギー満タンの長男がそこに座っている。カルシウムなんて、学校で覚えてきたのだろうか、と考えながら見つめていると、重ねて聞いてきた。
「じゃあ、おとうさんは?」
「そうやねー。じゃあ、お父さんは、ご飯をいっぱい食べる!」
負けじと、白くてホカホカのご飯をかきこんだ。



なんだか元気がでない。
そうつぶやきたくなる瞬間は、きっと誰にでもある。そんな時のために、自分にとっての「元気の素」を探してみるといいかもしれない。

コップいっぱいに注いだ牛乳。
白い粒が輝き湯気がおどるご飯。
仲のいい友人との他愛もないおしゃべり。
汗をかいてスッキリできるスポーツ。
思わず息を吞む美しい絵画。
自然と体が動き出すノリノリの音楽。
身体の芯まであたためてくれる温泉。
胸の奥まできれいな空気が広がる森や林。
何もせずただそこにいるだけの時間。

人それぞれが持っている、自分だけの「元気の素」。
それを知って行動に移すことで、おまじないのように元気が湧いてくる。

本当に元気がない時や辛い時には、思い出そうと頑張ると余計に空回りするから、普段の何気ない時に意識してみるのが効果的ではないだろうか。

※illust by:CHAM さん / イラストAC

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