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忍びの国【読書のきろく】

忍者たちが力と技を駆使して戦う音と空気が迫ってくる物語

このタイミングで読んだのは、児玉清さんのせいです。
『ひたすら面白い小説が読みたくて』の中で、「痛快無比、超のつく面白忍法小説」と紹介されているのが、この『忍びの国』。

前から作品の存在は知っていました。和田竜さんの『のぼうの城』がおもしろかったので。でも、他にも心惹かれる本がたくさんあって、もしかすると読まないままこの先も時が流れていたかもしれません。
それが、児玉さんの「解説」を読んでしまったことで、いつか読みたい本になりました。
そして、よせばいいのに、近所の古書店の店先に並ぶ本を眺めてしまい、そこに『忍びの国』を見つけてしまったのです。お買い得の100円コーナー。運命を感じて、店の奥にあるレジに直行してしまいました。

児玉さんのお墨付きもあるこの物語は、戦国時代の伊賀の国が舞台になっています。周囲を山々に囲まれた地域に住み、裏の世界で活躍する忍者たちの物語。互いに相手の裏を読み、はかりごとを重ねてどんな手段を使っても相手を倒す。その技と実行力だけが、生きる道。

土台にあるのは「天正伊賀の乱」で、様々な歴史書から読み解いた史実が組み込まれているので、読み応え抜群です。日本史の教科書に載るような大きな出来事の背景には、たくさんの人たちのぶつかり合いがあったことに想いを馳せることができます。巻末に掲載された参考文献は2頁以上もあって、そこからも迫力が漂ってきました。

児玉さんも熱く語っているように、忍者同士の疾走感のある力と技のぶつかり合いにドキドキし、かと思えば惚れた女性の前でしゅんと萎れてしまう姿におかしみを感じ、オンとオフが激しく切り替わる展開に楽しく揺さぶられました。忍者たちが風を切り、手裏剣が突き刺さり、剣と剣がぶつかり合う、その音と空気感を感じた気がします。
個人的には、ゲームの『信長の野望』にも出てくる百地三太夫が主要人物の一人として登場したのがおもしろくて、ゲームのキャライラストが動き回ってくれて楽しかったです。

いつも思うけど、歴史上の人物を自在に動かすって、作家さんの頭の中でどんな思考が働いているのか、とっても気になります。

読書のきろく 2021年63冊目
『忍びの国』
#和田竜
#新潮文庫

#読書のきろく2021

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