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“正しい決断”とは

〈photo by Yoshinobu Saito〉

かつて、バンドのフロントマンだった

ポールダンスを始めたのは2014年。初めて見てから4〜5年経ってのこと。

それ以前、バンドのフロントマンとして私なりに音楽、そしてバンドに愛情を注いでいたものの、メンバーのひとりだった当時の彼が「バンドを辞めて、結婚して子どもを作ろう」と言い出した。

「俺の人生の最後のバンドにする」と意気込んでいたものの、時が過ぎるにつれて音楽に対する情熱が失われていったみたい。それよりも、結婚や子供を作ることを強く望むようになっていった。

こんなちゃらんぽらんな私と「安定した家庭を築きたい」と考えてくれたことは、とてもありがたく、喜ばしいことだけど、私はまだまだパフォーマーでいたかったし、守りに入る彼を見たくなかった。

彼の存在が遠く感じるようになってしまった。同時にバンドに対する熱も覚めた。長く続いていたバンドだけど、他のメンバーの緊張感がなくなっているのも正直イヤだった。

「いい年して“好きなこと”を追いかけている方がどうかしている」かもしれないけれど(笑)年齢に関係なく、情熱を注ぐ生き方が好き。注ぐ人も好き。

ということで、私は彼と別れ、バンドも解散。

「誰かと何かをするのはもう十分やった。一人で表現したい」と思ったときに、目の前にポールダンスってものがあった。「ちょっとやってみよっか」それくらい軽い気持ちで始めることにしたのです。

好きなことをして生きる意味

物心ついた頃からあまり結婚に興味がなかった私だけど、彼とは7年付き合い「結婚するとしたらコイツだな」くらいには思っていた。彼の父母の誕生日の食事会にも、年始の親戚の集まりにも毎年参加して、家族同然だった。

彼が「結婚して子供が欲しい」と頻繁に言うようになった頃、私は20代後半。“普通”だったらうれしいのかもしれんが、私は”普通”じゃない。

子どもの頃からほとんど泣いたことがないという彼。大好きだったおじいちゃんが亡くなった時でさえ泣かなかった男が、私と別れる日、信じられないほど大泣きした。

すごくひどいことをしてしまった。

大事な人に悲しい思いをさせてまで、自分の好きなことをして生きる意味ってあるの?

私が心に折り合いをつけて、彼と一緒にいる選択をすればよかったのかな?

大粒の涙を流す彼を目の前に葛藤しながらも、「もう引き返せない。前に進むしかない」と心に決めて、静かにお別れをした。

正しい決断って、ないのかも

その決断が正しかったかどうかはわからないけれど、今はあの時決断してよかったと思っている。

生きていると大なり小なり、いろんな決断を迫られるけれど、初めから正しい決断なんてできないと思う。後から振り返ったときに「あの時の決断してよかった」と思えるように、がんばるしかない。

別れと解散を選択しなかったら、出会えなかった人、体験できなかったことがたくさんある。ひくぐらいツライこともたくさんあったけれど、それを上回るほど幸せで楽しいことの方がたくさんある。

今が一番幸せだし、今の自分が一番好き。

彼は別の女性と結婚して、子どもを数名授かったらしい。彼の願いが叶ってよかった。末長く元気に幸せでいて欲しい。

私がポールダンスおよびその他、仕事も色々がんばれる背景のひとつをお話ししました。彼にツライ思いをさせ、ギャン泣きさせてまで別れたのだから、中途半端なことはしていられない。遊びも仕事も全力!私と彼とは幸せのベクトルが違ったけれど、それぞれが最高の人生を歩めたらいいなと思う。好きに生きることを選択した意味はそこにあるんじゃないかな。

今気づいたのだけど、彼と一緒にいたのは7年間。バンドも同じく7年間。ポールを始めて今7年。ちなみに誕生月は7月。人生は7だらけ!

今回はこの辺りで。
See you soon!

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