イントロダクション〜四大元素〜
物質世界を構成する四つの元素、火・水・風・地。歴史を辿ると、最初に万物の根源(アルケー)を四元素としたのはエンペドクレスのようだ。プラトンやアリストテレスもこの説を受け継ぐ形で、それぞれの元素論を展開している。
天球層でできた宇宙観を持っていた古代ギリシア人は、地球を中心とした同心円状の天球があると考えていた。天上界の下に月下界があって、月の領域から内側は物質が支配する世界であるとされる。月下界は物質世界であり、その根源は火・水・風・地であって、4という数は物質界を表す数となった。
これに、5番目の元素として霊的な質量を想定することもある。それは天上界を構成する質量であり、プリママテリアとかエーテルとか呼ばれたりもする。
ともあれ、物質を表す数は4となり、スクエアとして表されたり、またそれぞれのシンボルによって世界の四隅を飾ることもある。
火(ワンド)
火は聖なる宇宙の火であり、ロゴスそのものを表している。原初的な力の発露であり、生命エネルギーであり、創造性や情熱といったものと結びついている。タロットカードでは行動力や意志の力として読むこともある。錬金術では最も希薄で微細な元素とされている。
能動性、男性性。上昇する。
水(カップ)
水は感情や直感、無意識と関連する。一説によれば根源の火から分たれ、火の性質を帯びた両性具有の水として流出し、火の要素は太陽に、水の要素は月になったとも。宇宙の水銀とも言われるこの水は、根源の生命霊であるとみなされる。
活性化流動体、活力、愛。女性性。下降する。
風(ソード)
風は精神的な活動や知性、思考、合理性、コミュニケーションを表す。比較的軽い元素であり、火の下、水の上に位置付けられる。錬金術では火を止める、中断させるなどの役割を持っている。火の力を和らげるほか、液化することで水を生じさせる。
すでにあるものを洗練させる、知的活動、決断する。男性性。
地(ペンタクル)
地は最も重たく土台であり支えとなる。本質的に静止しており、硬くて安定的である。タロットでは物質性、身体、健康や金銭といった現実的な要素を担っている。生きる糧を育む大地は豊かさのイメージにもつながっている。錬金術では水の落下を受け止め、流動性を停止させる。
地に足をつける、実利性、豊穣多産。女性性。
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