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【詩】おぼろなるもの

何かがおぼろにわかりかけている
はっきりとした輪郭線を持たない
幻影のようなその正体を
把握したいと欲する

が、言葉の網の目で
それを捉えようとすると
淡いそのイリュージョンは
するりと逃げ去ってしまう

水に映った星の光を
掬い上げるように
夢で見たことの詳細を
記憶に定着させようとするように

わたしの掌に
掬い上げられるのは
透明な水ばかり
記憶に残るのは
漠然とした夢の残滓だけ

おぼろなるものは
繊細なつくりで
乱暴な手で触れようとすると
儚く消え去ってしまう
どんな言葉の網の目も
粗すぎてつかまえることはできない

だから慎重に
大切な卵を温めるように
そっと時間をかけて
育んでいかなければ

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