【詩】立ち去る・8 of Cups
カップの8には
こちらに背を向けて
立ち去っていく人物が描かれる
月は立ち去る旅人を
見下ろしている
手前には8つのカップが
組み上げられており
これまで主人公が
感情を傾けてきたものを
示唆している
それは愛だろうか
あるいはそれ以外の
大切にしてきた何かだろうか
彼はそれらと
決別しようとしているのだ
8は物質世界と
非物質世界が混じり合う数だ
真実を明らかにする
内なる光に照らされて
彼は幻影を断ち切ったのかもしれない
ひとつ前のカップの7で
主人公はたくさんの幻影に
惑わされていた
彼の願望が入った
たくさんの選択肢を前に
迷っていたのではなかったか
真実を照らす光にさらされ
これまで価値があると
信じてきたものの中に
本当の望みはないと
気がついたのかもしれない
たましいが求めるものは
これらの中にはなかった
彼は背を向けて歩き出す
落胆もしていることだろう
だがここには
この人物の価値観の変化が
描かれている
痛みを伴う
覚醒の瞬間かもしれない
これまで大切にしてきたものを
手放す時というのは
痛みを伴うものだ
周囲には険しい山々が描かれ
この道のりが
試練であることを示唆している
けれども主人公の内には
何かしらの意志が宿っている
彼は再出発を決めた
自らの選択で
価値観の変化や
心境の変化が訪れ
過去に積み上げたものは
色褪せてしまった
新たな価値あるものを求めて
旅は続いていくのだ