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【詩】欠乏感・5 of Pentacles

ペンタクルの5は
厳しい現実の困窮を表している
最も物質的・肉体的である
地のエレメントと
厳しい変化を表す5が交わり
欠乏感となって表れている

富と繁栄の道の途中で
得たものをすべて失うという
厳しい状況にある
経済的な行き詰まりであろうか
これまで大事にしてきたものの
価値が失われてしまったのか
ともかく望まぬ状況に
主人公は置かれているらしい

5つのペンタクルのほどこされた
教会の飾り窓の下を
二人の貧しい男女が
歩いてゆく
吹雪の中で
男女の足元は素足だ

男性は怪我をして
松葉杖をついている
視線は明るい飾り窓を
振りあおいでいる
女性はショールをかぶって
俯きがちに先をゆく
その明るさを
見たくもないというように

教会には希望の光が輝いているが
二人はその中へ入れない
女性のように
見ないようにしているか
男性のように
ただ羨望の眼差しを投げるだけ

豊かさに近づきたくても
近づくことができないでいるのか
豊かさそのものから
目を逸らしているのかを
よく見極めなければならない

いずれにしても
この教会の光の中に
二人は入ることができない
誰も頼ることはできないという
孤立感を味わっている

もしかすると
ここには描かれていない
教会の扉は
求めれば開かれるという
可能性を秘めているかもしれない
現実を覆い尽くすような
厳しさの中にあっても
希望の光は変わらずある

心を閉ざしているのは
その下を行き過ぎる
人々の方であるかもしれないのだ


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