見出し画像

【詩】つみびとのゆるし

ここに在るという
奇跡を想おう

日々の生活が
単調なものごとの繰り返しに
見えていたとき
ここに在ることは
至極当たり前のようだった

日々の生活に
倦んでいたときには
ここに在るいのちを
ぞんざいに扱った

自分ひとりでは
決して為し得なかったことを
思い巡らしてみる

小さなわたしひとりの力では
乗り越えることのできないであろう
困難があった

小さなわたしひとりの力では
見ることのできなかった
風景があった

なにに導かれて
どんな恵みを受けて
ここに在るのかを思うと
自分の弱さとたよりなさで
いたたまれなくなる

時にわたしは怠惰で
時にわたしは傲慢だ
自分ひとりでここに
立っているような気がして
気ままに時間を浪費したり
外界に心を閉ざしたりする

わたしはある時には 
聖書の放蕩息子にそっくりで
また別の時にはその兄に似ている
かつてはふらふらと彷徨い歩き
そうかと思うと不意に誰かを裁く
自分のことを棚に上げて

ごめんなさい
心から悔いる瞬間がある
が、次の瞬間には
薄れてしまうかもしれない
信用ならないわたし
意志の弱いわたしを
静寂の中であなたはゆるしている

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?