科学コミュニケーションにおける「専門家」と「非専門家」
科学コミュニケーションが目指しているものについて、『はじめよう!科学技術コミュニケーション』では、
と説明している。ここで登場する「専門家」および「非専門家」とは誰のことなのだろうか。今回のnote記事では、科学コミュニケーションにおける「専門家」と「非専門家」について考えたい。
科学コミュニケーションにおける対話は多様
科学コミュニケーションは、必ずしも一般市民(非専門家)と研究者(専門家)の間で行われるわけではない。下図は、科学コミュニケーションの多様性を表した図だ。
図中の矢印が双方向的なやりとり、つまりは科学コミュニケーションを表している。図から分かるように、科学コミュニケーションは(科学技術の)非専門家同士(関心が高い層/低い層)でもあり得るのだ。
その場合、話題についてより深く関わっている方(より多くの知識をもっている、より近い分野で働いているなど)が「専門家」ということになる。
また、科学技術の専門家も「非専門家」になる場面が往々にして存在する。
研究者間での科学コミュニケーション
現代の科学技術は非常に細分化されており、全ての分野に精通している研究者はいない。したがって、研究者も場面によって、「専門家」にもなるし、「非専門家」にもなる。下図は、研究者間の科学コミュニケーションを分類した一例だ。
研究者でも、異なる分野の研究者と対話する場合は「非専門家」になる。さらに、同じ分野の研究者同士でも、話題によって、どちらか一方が「非専門家」になる場合も多い。
「専門家」と「非専門家」と意識した科学コミュニケーション
これまでで見たように、話題と相手によっては、誰しもが「専門家」にも「非専門家」にもなり得る。
そのことに自覚的になり、その話題や相手(「文脈」などと表現されることもある)によって、使う言葉や説明のステップを選ぶことが科学コミュニケーションにおいて大切なことなのだと思う。
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