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科学コミュニケーションにおける「専門家」と「非専門家」

科学コミュニケーションが目指しているものについて、『はじめよう!科学技術コミュニケーション』では、

非専門家の「知識」や「考え」を正当にとりあげ、専門家と非専門家とが対等に(双方向的に)対話できるようにする-科学技術コミュニケーションは、これを目指しています。

北海道大学CoSTEP『はじめよう!科学技術コミュニケーション』 ナカニシヤ出版 (2007)

と説明している。ここで登場する「専門家」および「非専門家」とは誰のことなのだろうか。今回のnote記事では、科学コミュニケーションにおける「専門家」と「非専門家」について考えたい。

科学コミュニケーションにおける対話は多様

科学コミュニケーションは、必ずしも一般市民(非専門家)と研究者(専門家)の間で行われるわけではない。下図は、科学コミュニケーションの多様性を表した図だ。

渡辺・今井『科学技術コミュニケーション拡大への取り組みについて』を基に筆者が作成。

図中の矢印が双方向的なやりとり、つまりは科学コミュニケーションを表している。図から分かるように、科学コミュニケーションは(科学技術の)非専門家同士(関心が高い層/低い層)でもあり得るのだ。

その場合、話題についてより深く関わっている方(より多くの知識をもっている、より近い分野で働いているなど)が「専門家」ということになる。

また、科学技術の専門家も「非専門家」になる場面が往々にして存在する。

研究者間での科学コミュニケーション

現代の科学技術は非常に細分化されており、全ての分野に精通している研究者はいない。したがって、研究者も場面によって、「専門家」にもなるし、「非専門家」にもなる。下図は、研究者間の科学コミュニケーションを分類した一例だ。

角谷雄哉ほか「筑波大学における『プレゼンひろば』の事例報告」より。

研究者でも、異なる分野の研究者と対話する場合は「非専門家」になる。さらに、同じ分野の研究者同士でも、話題によって、どちらか一方が「非専門家」になる場合も多い。

「専門家」と「非専門家」と意識した科学コミュニケーション

これまでで見たように、話題と相手によっては、誰しもが「専門家」にも「非専門家」にもなり得る。

そのことに自覚的になり、その話題や相手(「文脈」などと表現されることもある)によって、使う言葉や説明のステップを選ぶことが科学コミュニケーションにおいて大切なことなのだと思う。

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