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イギリスの精

グレーの曇り空が広がる今日。
パラパラと雨が降ったりやんだりの
典型的なイギリスの天気です。

イギリスには、いたるところに教会が
あります。スーパーへ行く道のりだけで
いくつの教会の前を通ってるかな。

今日は、その中の一つの教会で行われた
パイプオルガンのコンサートへ
出かけてきました。

こんな催し、なんと無料です。
事前に予約が必要なわけでもなく、
その日にふらっと立ち寄れます。

そんな気軽さなのに、演奏する音楽家の方々は
様々なステージで活躍されるプロの方だったり
するのですよ。

そんな本物の音楽に触れられる貴重な機会。
無料だけれど、こんなイベントが継続できる
ように、地元民は寄付をしてサポートします。

パイプオルガンは、楽器の王様と言われている
そうで、まさにその名の通り、巨大の一言です。

ずらっと並ぶマットな金色のパイプから
繰り出される荘厳な響きは体の髄まで届き、
脳天から黄金の柱が突き抜けるような感覚を
覚えます。

教会のドーム型の高い天井まで
響き渡るこの音色。

それに全身全霊をゆだねていると、
私の心の眼で、初めて見えたイギリスの精。

頭で考えたとか意識したとかではありません。
スッと降りてきたその姿。

伏し目がちで、控えめな面持ち。
なかなか顔をあげてくれません。

私、モンゴルにいた時は、モンゴルの精が
私の中にいたのですよ。

いたと言うか、今もいます。
意識を向けると、そこにいます。イギリスに
来た今も、時々心で語りかけています。

でも、イギリスの精は、今まで見えたことも
なかったし、感じたこともありませんでした。

ところが、演奏が進むにつれパイプオルガンの
音色が、私の脳天を突き抜けていったとき。

そのイギリスの精が初めて見えたんです。
そして、やっと顔をあげてくれた。

私ね、これまでわだかまりがあったんですよ、
イギリスに対して。

この国とは相性が合わない。
だから戻って来るのは嫌だって。
これが今までの正直な気持ちでした。

だけど今回、住むこと4回目にして、やっと
イギリスを違った目で見られるようになった。
そんな気がしているんです。

イギリスの精も、前からいたんだな。
でも、私が拒絶していたから、見えなかった。
向こうも近づいてこなかった。

今、やっと遠慮がちに、控えめに
私へ顔を向けてくれています。

ふくよかで陽気なモンゴルの精とは
対照的にね。

変わるのは自分次第。本当にそうだ。

新しく私の中に加わったイギリスの精。

みなさんも心を研ぎ澄ましてみてください。
きっと今までになかったものが
見えてくるはずです。

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