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もう見た人の『フラッシュ』

笑って泣いて、泣いて笑って
そうだ、トマト缶を買おう

映画『フラッシュ』
マルチバースの中ではアニメ版スパイダーマンと並ぶくらいよかったのではないでしょうか?
MCUのマルチバースも悪くなかったと思いますが、ここまでドラマチックに、エモーショナルに視覚的にも感情的なアプローチは、あの魔法使いさんには出来てなかったと思います。序盤からコミカルにかつスピーディーに話が進み、細かな芸で笑いを誘い、油断すると泣かせにきます。

ティムバートン版バットマンを昔に一度見たことある程度の私でも十分楽しめましたし、昔から知ってる人はもっと興奮したのではないでしょうか。近年のマーベル映画とは異なり、一見さんでも感動できる作品かと。

オリジン要素と続編要素の共存

個人的に最大の魅力は、オリジン要素と続編要素を一つの作品として成り立たせていた点です。

オリジン

通常映画版一作目は、オリジン要素メインです。例えば、スパイダーマンでは主役が変わるたびにオリジンをやります。何回ベンおじさんをあの世へおくれば気が済むのか、多分製作陣も頭を悩ませていることだろうと思います。そして、オリジンもちゃんとやってくれという声もあると思います。まさに板挟み。

今作『フラッシュ』では、主人公が過去の自分に能力を与えてしまうという設定をうまく使い、過去の若い自分が調子に乗って能力を使用する姿、失敗する姿をコミカルに魅せ、技を習得していくシーンをコメディシーンとして使用しています。過去のバリーがアキラ100%に二度なるのも、その一つです。

そして、未来のバリーがその能力についてあーだこーだコミカルな話口調で解説してあげるのも一見さんには優しい要素でした。

雷に打たれるお決まりのシーンも、『こういう設定だから!この場所だから!時間ねーから!』みたいなサクサク見せてくれて、うまくはしょってます。

続編要素

大抵続編は、主人公自身が成長する話です。身近な人が亡くなったり、自分自身の生き写しがヴィランだったり。
そして、最後は主人公たる決断(他者性を持った決断)をし、ヒーローであること(運命)を受け入れて前に進むのが定番です。

今回もストーリーはそんな感じです。
今は亡き母を救う為過去を変えてしまうが、その決断は他者性を排除した決断です。ベンアフレック版バットマンに忠告されますが、行動します。その結果、異なる世界線で地球が滅びるという危機に直面。マルチバースの空間の中で《他者性を完全に排除した決断に囚われた闇堕ちした自分》と対峙します。そのプロセスで、過去のバリーに命を救われ背中を押され、また、マイケルキートン版バットマンにも背中を押されます。

背中を押されることで自分と向き合い、最後はド派手な決め技ではなく、ハグと『愛してる』とトマト缶で解決します。解決というより、諦める。と言った方が、正しいかもしれません。《未練込みでの、倫理性のある決断》をしたのです。続編的に言うと、主人公がちゃんとヒーローになった感じ。

こうしたことをセリフとか安い演出ではなく、映像表現でやっていたことが凄いと思います。そして、ファンサービスも盛り込みながら、一見さんウェルカムな作品になっていてとても好感がありました。

マルチバースで思い出しましたが、スパイダーバースも前作は最高でしたし、新作もまたに行こうと思います。MCU最強だった近年ですが、今後のDC、SONY作品も楽しみです。

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