佐々木俊尚さんの損切り判断の早さとその後のリカバリーの立ち回りが素晴らしいというお話

(上手いなとは思うけど褒めてはいない)

前の記事で佐々木俊尚氏について、「佐々木俊尚氏はこの活動にたいしてコミットしてない。うまく言ったときに大々的に名誉を喧伝するだろうが上手くいかなさそうでればあっさり切るのではないか」と書いてました。

こんな隙だらけの集団に対して明確に支持を表明するのもそれなりに計算が合ってのことだとは思う。そのあたりの立ち回りは普通に気になる。

(まぁ批判を気にせずマイペースで情報発信続けてるだけかもしれないけれど。彼が支持を表明している取り組みや団体なんてそれこそ無数にあるだろうし、期待してたのと違ってたとしても1000分の1の損切で済むのかもしれない)


あっさりと損切を決めてきましたね。

まず第一に、いまのSNSには真っ当な議論や批判の域を逸脱した個人攻撃や罵声、中傷が多くあり、これはなくしていかなければなりません。これに反対する人はいないでしょう。 とはいえ、これには根深い問題もいくつか内在しています
その根深い問題の1つめは、ダブルスタンダードの存在。自分が「悪」と認定した相手にはいくらでも誹謗中傷していいが、自分たちへの中傷は許さないというような言い分が蔓延していて、このダブスタは否定されるべきです。
このダブスタには弱者/強者の分断も関わってきます。弱者であれば強者を罵倒してもいいのだと主張するトーンポリシング論がありますが、今の世界ではだれもが容易に弱者に転じ、弱者も別の場面では容易に強者に転じます。「弱者だから他者を罵倒して良い」は必ずしも成立しません
左右の党派を問わず、弱者かどうかを問わず、罵声は良くないとわたしは思います。同時に罵声をしてしまった人に罵声を飛ばすのも、やはり良くありません。そういう理念において、「この指とめよう」という運動の趣旨にわたしは賛同しました
だから法人代表理事の小竹さんから事前に要請を受けた際、「ダブスタは重要な問題で、それを抜きにしてこういう運動は成立しません」とかなり強くお伝えしました。小竹さんは私の助言に賛同して頂いたとその時点で理解していました。
二つめの問題はキャンセルカルチャー。過去の発言を掘り出してきて退場を求める行為は建設的ではありません。SNSが普及し始めてまだ10年。誰にでも過ちはあり、反省や教訓もある。「過去にこんなこと言ってたから今発言する資格はない」とやってたら誰も何も言えなくなります。
だから過去のSNS発言を問うのではなく、過去はどうあれ「今後は相手が誰であれ、誹謗中傷はしない」と自分自身が宣言することも大事だと思います。他者に「この指とめよう」と呼びかけるだけでなく、自分自身にも問うということ。
小竹さんの過去の発言はたしかに酷いものもありますが、ご本人が今後はこういう発言はしない、ダブスタには陥らないと宣言されるのであれば、許容されてもいいのではないでしょうか。
なお蛇足ですが、小竹さんの過去発言を見てると「なんとなく一般社会をネトウヨだとバカにしてればリベラル」みたいな「気分リベラル」な人が多いなあと思います。はっきりいっちゃいますが、思考の射程が短ぎますね。そのふんわりした思考の浅さを猛省してほしいと思います。
そしてこれも超蛇足ですが、小竹さんとの事前の打ち合わせで「アドバイザーの党派性が強すぎると多くの人に受け入れられないし、批判も招くと思いますよ」とこれもかなり強くお伝えしました。ただしわたしはアドバイザーの人選には関与していません。メンバー構成を知ったのもリリース直前です。

さて、これらの蛇足も含めたうえで、わたしはやはり一般社団法人「この指とめよう」の理念には今も賛同しています。ダブスタや党派性やキャンセルカルチャーを乗り越えて、SNSから誹謗中傷をなくし、健全な議論ができるようになってほしいと思います。
なお小竹さんから、たぶん本日中に何らかの発信があるようですのでそれまでお待ちください。
そうやって辞退したりすると、それも党派的な行為になってしまうのだと思っています。わたしは党派には興味は無いので、あくまでも理念にしたがって生きていきたい。
私も左派の人たちからは、信じられないほどの罵声を大量に浴びせられ続けてきました。はっきり言ってトラウマになるほどです。でもそれに対する報復を考えることは、私自身の理念に反することだと捉えています。


これはすでに損切り判断とみて間違いない

善悪は抜きにして、これ、自分が泥をかぶらない立ち回りとしてはベストだと思います。

自分からはやめないとは言ってますが、「蛇足」部分の発言をみればわかるように実質的にもう損切り判断を下したと言っても良いでしょう。このような発信をしたら、他のメンバーとの軋轢が生じるので、「この指とめよう」は確実に佐々木俊尚さんをはじくでしょう。

かといって、自分から一方的にやめますという言い方をすると「見通しの甘さ」を責められますから「厳しいことを言うがそれでもちゃんと受け入れてくれるなら残る」「私が残るか残らないかは相手が決める」という立ち位置を確保している。


なぜこれが実質的な損切り判断かというと、小竹さんが佐々木俊尚さんからの苦言を引き受けてこれからの活動方針を改められる人間であると信じているのであれば、こうやっていきなり初手から公の場で蛇足部分の発言をすることは考えられないからです。

もしそのくらい小竹さんを信頼していたのであれば、佐々木俊尚さんはプライベートの場で彼を悟し、きちんとその折り合いをつけてから説明するでしょう。その手間を省いている時点で、佐々木俊尚氏にとって小竹さんがもはや重要な人物ではないということを示しています。

公の場で代表である小竹さんや、明らかに偏ったメンバーについて直接刺すパフォーマンスをしているのは「この指止めようの信念に賛同した自分は守るが、メンバーを護るつもりはない=こんなメンバーと俺を一緒にするな」というアピールとなっています。

これによって、佐々木俊尚さんはうっかり沼に足を突っ込みかけましたが、あっさり抜け出した上に「自分はちゃんと小竹さんに批判を言える人間である」ということもアピールできたわけです。リカバリも完璧。

これは先着1名しかできない立ち回りです。

立ち回りとしてとても見事であると思います。


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