エモいファイナンス表紙2

#2:ファイナンスは「仲間づくり」だ!


こんにちは!

「エモいファイナンス」シリーズ2回目となります。前回はいわば肩慣らし。今回はこの連載をしようとしたきっかけとなる考え方ですので、エモ散らかしていきたいと思います!
*その間に自社プロダクトもしっかりローンチしました!(ちょっと宣伝)

前回、ファイナンスとは未来をデザインする方法論だ!というお話をしました。ファイナンスを専門にしている人にとってはぶっちゃけ「当たり前」だったかもしれません。

ファイナンスって何?

そんな専門家がファイナンスって何?と聞かれたら、多くの方はおそらくこう答えるでしょう。

① どのようにお金を使うか
② どのようにお金を集めるか
③ お金を出してくれた人にどのように還元するか

かつてmixiの再建で辣腕を振るわれた朝倉さんが「ファイナンス思考」で言及されたのもこの3つ(厳密には「投資家コミュニケーション」もあげておられたのが印象的)だったと思います。ファイナンスの教科書は国内外問わず相当読みましたが、どの教科書でも上の内容が書かれています。

けど、僕はずっとしっくり来なかったんですよね。だって、これって「ファイナンスが何をするか(機能)」という話であって、「ファイナンスの根っこの部分(本質)」を表しているように思えなかったんです。
今回は、そういうことを考え続けて、最近しっくりきた僕なりの考えをお話したいと思います。

ファイナンスは何をつくるのか?

繰り返しになりますが、ファイナンスは未来をデザインする方法論だと言いました。

デザインするということはですよ、きっと何かをつくっているんですよね。じゃ、何をつくっているんでしょうか?
多くの専門家やファイナンスをご担当されている人たちは、「おカネ」と答えるかもしれません。けど「ファイナンス」はおカネをつくっているわけではありません。
上の教科書ベースの通り、「使い方」、「集め方」がメインですので、むしろお客様を獲得してくる方法論であるマーケティングの方が「おカネ」を作ってきているかもしれません。

じゃ、ファイナンスは何を作るのか?
結論から言うと(というかタイトル通りですが)、「ファイナンスは仲間づくりだ!」と僕は考えるようになりました。
それに思い至った経緯を話しますね。

再掲ですが、ファイナンスは

① どのようにお金を使うか
② どのようにお金を集めるか
③ お金を出してくれた人にどのように還元するか

を考える方法論でした。

さて、①どのようにお金を使うか、というと、かつて資本主義が生まれてからは、設備や工場などのハードを中心に投資がなされてきました。しかし、ソフトウェアやWebサービスの広まりによって、その生産者であるソフトウェアエンジニアが企業を支えるようになりました。ソフトが重視されるようになってきた最近では、設備などではなく、「人」にお金を使うことが増えてきていますね。もっと言うと、知識をもっている素敵な人をいかに集め、いかに育成し、いかにモチベーション高く働き続けてくれるかにお金が使われるようになってきているのです。あれ、これってもしかして、共に働いてくれる「仲間づくり」のためにお金を使っていると言えるのでは…?

では、「②どのようにお金を集めるか」、「③どう還元するか」という点に着目してみたらどうなるんだろう。必要な資金を自社だけで賄えない場合には、外部からお金を集めてくることになります。その場合、投資家の方々にこう言うわけです。
「うちのプロダクトは素晴らしいんです!市場も大きく成長しています。絶対うちのプロダクトが世の中に新しい価値を生み出します!だから投資してください!」。
銀行には、
「うちのプロダクトを世に出していくためにどうしてもおカネが必要です。一定のお客様もご愛顧頂いて、一定の収入もありますから返済には困りません。どうかおカネを貸してください!」
投資家は、「ただ儲かりそうだから」投資してくれるわけではありません。銀行も、ただ「返してくれそうだから」というだけで融資をしてくれるわけではありません。
彼らは「確かにあなたが考えている価値はいいし、それによって未来ってよくなるよね。ニーズもあるね。その結果、儲かりそうだね。」と、そのビジョンや可能性、将来性に共感してくれたからこそ、それに賭けて大切なお金を出してくれるわけです。(もちろん、結果儲かる、ということは前提でしょう。)
投資家も銀行も、自分たちのビジネスに共感し、資金提供という形で応援してくれる。あれ、これってやっぱり「仲間」じゃない?彼らから資金の提供を受けるプロセス、また還元していくプロセス自体が、まさに「仲間づくり」なんじゃないか。
ただ「自分のプロダクトやサービスによって世に新しい価値を出したい、世の中をよくしたい」だけでは、必ずしも人はついてきません。それを通して関与してくれる人もきちんと豊かにする。従業員として働いてくれる仲間たちには満足のいく給与とボーナス、そして成長機会で。銀行の方々にはきちんとした返済と利息で。投資家の方々には何らかのエクイティゲインで。※1

このように、関わり方は異なりますが、一緒に働くメンバーにせよ、投資家・銀行にせよ、描いている未来に向けて一緒に走ってくれる大切な仲間をどう巻き込み、自社の実現したい未来に賭けてくれた仲間たちにどう報いるかを考える、それこそがファイナンスだと。
だからこそ、これを司るファイナンスの本質は「仲間づくり」だ、と考えるに至りました。ファイナンスに携わって10年以上。なんか腹落ちした瞬間でした。そうか、僕は「仲間づくり」をやっていたんだ、と。

マーケティングは、「顧客作り」、SaaS系企業が増えてきたことから、使い続けてくれる顧客、つまり「ファン作り」といえますよね?
組織の外にファン(顧客)を作るのがマーケティングの仕事だとするならば、組織の中に仲間を作るのがファイナンスの仕事だ、と僕は思っています。

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いかがでしょうか?
ファイナンスになんだか苦手意識を持ってきた方、ファイナンスの見方変わりましたでしょうか?
ファイナンスを仕事としている方、あなたがやってることは数字とにらめっこすることではなく、本質的には仲間を作ることなんです!「そんなに甘くないよ」とおっしゃるかもしれないですが、そう考えたらもっと自分の仕事に誇りを持てたりしないでしょうか?

では、ファイナンス=仲間づくりであるとした場合、その最高責任者であるCFO(Chief Financial Officer / 最高財務責任者)は、どのような人物であるべきなのでしょうか?
かつて、Chief Financial Officer、Chief Future Officerどころか、Chief Festival Organizer(宴会部長)Chief Funny Officer(最高おもろい責任者)と呼ばれてきた私の考えは…次回に。

※1:日本では何だか無借金経営が絶対善だと考えておられる方もいます。ここの最適なバランスを考えるのもファイナンスの腕の見せどころです。その話はちょっとエモくない、理論的な話なので何かの機会に。

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