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ひっこし日和

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41年の人生のなかで、ひっこし20回。 住んだ町や住んだ家ひとつひとつにある記憶を繙いてつむぐ物語。どのおうちから読んでもそれなりに意味がわかると思うので、お好きなところからどう…
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2020年8月の記事一覧

【ひっこし日和】6軒目:熱帯魚屋の上のマンション

「あのさあ、ひっこそうと思うんだけど」 件のしようもない父が不意に言った(5軒目参照)。 …

【ひっこし日和】7軒目:プロシード甲府

山梨にひっこして半年くらいは、熱帯魚屋のオーナーに用意してもらったマンションに住んでいた…

【ひっこし日和】8軒目:ジョナサン近くのマンション

山梨での日々は楽しくて、今まで考えていたことや背負ってしまったもののことについてきれいさ…

【ひっこし日和】9軒目:テラスハウス

中野のマンションが手狭だったので、同じ学区内のテラスハウスに母と妹と三人で越したのだが、…

【ひっこし日和】10軒目:つつじヶ丘

山梨は別として、これまで駅から徒歩で帰れるような場所に家があったのに、今度のマンションは…

【ひっこし日和】11軒目:オール電化の男の家

ちょっと時系列が前後してしまうのだけど、はじめて男の家に転がりこんだ。その男の言いぶんで…

【ひっこし日和】12軒目:東京タワーが見える部屋

実は会社で働きはじめる前、数年バブリーな時代があった。いろいろ伏せさせていただくが、ギャラのいい仕事をしていたのでとにかくえらくお金を持っていた。洋服を買いに行って値札も見ずに、これ気に入ったから色違いのも三色買っとこうかな、みたいな生活である。であるって言われても困るだろうけどさ。 たくさん稼いでしまうと使いきれないもんなんだなあなんて思っていたんだからしょうもない。お金の使い方というものを知らなかった。いろんな呪縛が解けて糸の切れた凧のように浮ついていて、自分がどっちの