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とても悲しいことや
辛いことがあったとき

涙と心って ほんとうに
関係あるんだろうか 
と思う

泣かないのは 冷たいから
とか
泣けないのは 心によくない
とか 
言うけれど

いいよ 泣かなくても
泣かないあなたも
泣けないあなたも
いまのあなたの
心に正しくあるだけだから

人間は
悲しいから泣く
そうなんだけど
悲しくても
それが涙に
ならないことがある

感じてないのかな?
そうじゃない
感じすぎてる?
そうじゃない
泣けるからいいの?
そんなこともない
泣かなきゃだめ?
そんなことはない

涙は浄化
このところ良く聞く

映画や小説では
登場人物はよく涙を流す

でも それは 
ただの 装置

今この世には
エンタメが溢れすぎていて
涙が溢れすぎていて
ほんとうか うそかも わからない

感動しました
涙が止まりません
悲しみのあまり号泣

いいえ
涙にならない
悲しみもある

表情 涙 言葉
人は他人のそれを見て

元気そう
嬉しそう
楽しそう
悲しそう
悔しそう

などと 

などと
勝手に決める

ときには自分自身までもが

でも それは
ただの 記号

人の心は からくりでは ないし
泣いたから 心が 
軽くなるわけじゃない

終わりじゃない

身体の外に出ているものだけが
真実じゃない

ただ時間だけが
心を癒せる唯一のものだと
涙だけではないのだと

棺の前で 
ただ佇んでいた
あの日のあなたの横顔をみてから
わたしは
ずっと そう 思っている




ひさしぶりに、詩を書いてみました。
泣かなくてもいいよと伝えたい人がいました。
かつて棺の前で泣くことなくただ立っていたのは夫です。
涙を見せない彼を、若いわたしはまだあまり理解できていなかったけれど、あれから年月が経ったいまなら、わかる気がします。
人の感情は、そして身体との結びつきは、ひと筋縄ではいかないものです。
自分自身にさえ御せなくて、でもそれが、生きるということなのかもしれません。