ProductiveLive

欧米人、昔の日本人の名前、地名の意味と言葉の語源や歴史を探求する。本業は会計士。

ProductiveLive

欧米人、昔の日本人の名前、地名の意味と言葉の語源や歴史を探求する。本業は会計士。

記事一覧

ハロウィーンの起源はケルトの新年の祭

前回の続きです。カレンダーに関連してハロウィーンについて見ていきましょう。  日本でハロウィーンというと、ここ15年ほどですっかり定着した感がありますね。アメリカ…

1

イースターとカーニバルの関係

前回の続きです。カレンダーに関連して復活祭とカーニバルの関係について見てみましょう。 イースターとカーニバル 最近では日本でもイースター(=復活祭)がなんとなく…

2

曜日の名称は神の名前

前回の記事の続きです。 各言語の曜日の名前 曜日はラテン語、イタリア語、フランス語、スペイン語で惑星名にちなんで名付けられています。  火星は「マールスMārs」…

5

1週間はなぜ7日なのか

前回の記事の続きです。 1年はなぜ12か月? それでは、1年はなぜ12か月なのでしょうか?諸説ありますが、公転周期で決まる1年の間に約12回満月を迎えるからとする説、…

ProductiveLive
10日前
3

カレンダーの起源と語源

 今回は知っているようで知らないカレンダーと各月の語源について見ていきたいと思います。 カレンダーって何だろう? 私たちにとってカレンダーは当たり前のように目の…

ProductiveLive
13日前
2

カサブランカは「白い家」

 それでは、ポルトガル海上帝国の海路に出てきた地名について見ていきましょう。  前の記事は以下を参照してください。 アフリカの地名 「エチオピアEthiopia」は、ギ…

ProductiveLive
2週間前
1

ジブラルタルは「ターリクの山」

インドにたどり着いたポルトガルは、インドが香辛料の原産地でないことを知り、さらに東の香料諸島を目指します。その航路にあったブラジル、アフリカ、アジアの地はポルト…

ProductiveLive
2週間前
2

パトリックは貴族

 今回はユニオンジャックの記事の続きになります。聖アンデレ、聖パトリックの名前の意味とバリエーションについて見ていきましょう。 アンデレはアンドレアス聖アンデレ…

ProductiveLive
3週間前
1

ポルトガルから始まった大航海時代

 地名の語源を探って行こうと思いますが、特に新大陸、カリブ海、アフリカ諸国については大航海時代の探検と深く関わっていることが多いです。したがって、大航海時代にい…

ProductiveLive
3週間前
1

英国国旗は3人の聖人旗でできている

今回は、英国国旗であるユニオンジャックについて解説します。 ユニオンジャック ユニオンジャックはユニオンフラッグともいいます。  ユニオンジャック?ジャックって…

ProductiveLive
4週間前
4

イングランドの名前の由来

 今回は、ゲルマン人の最後としてアングル人とサクソン人を取り上げます。  「アングルAngle」は、釣針(の形をした土地)という意味です。彼らは、ユトランド半島の南…

ProductiveLive
1か月前
2

フランスの名前の由来

 これまでゲルマン人のゴート族、ヴァンダル族、ブルグント族を取り上げてきました。今回はランゴバルド族とフランク族を取り上げます。 ランゴバルド族 「ランゴバルド…

ProductiveLive
1か月前
4

アンダルシアはヴァンダル族の国

 前回に引き続き、ゲルマン人の一部族ヴァンダル族とブルグント族について解説します。 ヴァンダル族 「ヴァンダルVandal」は、ゲルマン祖語の*wandalに由来し、「流れ…

ProductiveLive
1か月前
2

旧約聖書のストーリー

 今回は旧約聖書のストーリーを解説します。ストーリーを理解する必要があるのは旧約聖書由来の人名を解説するにあたり、「この人は誰なの?」かが分からないと、どういう…

ProductiveLive
1か月前
7

ゴシックはゴート族に由来する

 ゲルマン人の大移動は教科書に載っている大昔のことで、まったく興味が湧かないかもしれません。私もそうだったので、その気持はよくわかります。現代と何の関係もないか…

ProductiveLive
1か月前
4

ユダヤ人とは誰のことか

 ユダヤ人というワードが出てくると陰謀論的な雰囲気が出てきてしまいますが、現代ではユダヤ人は民族的な概念ではなく、定義であることはあまり知られていないようです。…

ProductiveLive
1か月前
2

ハロウィーンの起源はケルトの新年の祭

前回の続きです。カレンダーに関連してハロウィーンについて見ていきましょう。  日本でハロウィーンというと、ここ15年ほどですっかり定着した感がありますね。アメリカ合衆国の「トリック・オア・トリート」と唱えて子どもたちが訪問先でお菓子をもらうのが本場の祭りのようにイメージしますが、本来はアイルランド、スコットランドからやってきたケルト系移民が伝えた祭りです。 ケルトの祭、サウィン祭 ケルトの暦では、1年を四つの季節[1]に分けていました。  イムボルクImbolc「(雌牛の)

イースターとカーニバルの関係

前回の続きです。カレンダーに関連して復活祭とカーニバルの関係について見てみましょう。 イースターとカーニバル 最近では日本でもイースター(=復活祭)がなんとなく商業的に認知されつつあるように感じますが、イースターとはいったいどのような祭りなのでしょうか?  一般にあまり知られていないと思いますが、復活祭はカーニバル、レント(四旬節)、聖週間とワンセットの祭りです。  まずカーニバルがあり、レントがあって、聖週間を経て復活祭があるという順番です。カーニバルというとサンバを踊っ

曜日の名称は神の名前

前回の記事の続きです。 各言語の曜日の名前 曜日はラテン語、イタリア語、フランス語、スペイン語で惑星名にちなんで名付けられています。  火星は「マールスMārs」、水星は「メルクリウスMercurius」、木星は「ユーピテルIūpiter」、金星は「ウェヌスVenus」、土星は「サートゥルヌスSāturnus」とラテン語で命名されています。  イタリア語、フランス語、スペイン語の曜日名も基本はラテン語に従っています。ただし、月曜日から金曜日まではすべての言語で同じ意味であ

1週間はなぜ7日なのか

前回の記事の続きです。 1年はなぜ12か月? それでは、1年はなぜ12か月なのでしょうか?諸説ありますが、公転周期で決まる1年の間に約12回満月を迎えるからとする説、古代中国で木星が12年で天空を一周することから12の方位を定めたことに由来するとする説などがあります。  これが十二進法の起源となり、時計の時間分割や12個をまとめたダースという単位にも取り入れられています。12という数字は、2、3、4、6という約数を持つという利点もあります。  さらに、ヤード・ポンド法におけ

カレンダーの起源と語源

 今回は知っているようで知らないカレンダーと各月の語源について見ていきたいと思います。 カレンダーって何だろう? 私たちにとってカレンダーは当たり前のように目の前にあるので、疑問に思うことはあまりないと思いますが、よく考えると不思議なことがあります。  1年はなぜ12か月なのか?  なぜ9月はセプテンバー(7番目の月)、10月はオクトーバー(8番目の月)なのか?  なぜナンバー月はラテン語由来の単語で呼ばれるのか?  8月以前がナンバー月でないのはなぜか?  なぜ1週間は

カサブランカは「白い家」

 それでは、ポルトガル海上帝国の海路に出てきた地名について見ていきましょう。  前の記事は以下を参照してください。 アフリカの地名 「エチオピアEthiopia」は、ギリシャ語のAithiopiā「日に焼けた顔の人の国」に由来しています。アフリカがスーダンと呼ばれる前は、古代ギリシャ人はサハラ砂漠以南を漠然とアイスィオピア(aithein「日に焼けた」+ōps「顔の」+ia)と呼んでいました。  「セウタCeuta」は、ラテン語のseptem「7つ」+fratres「兄弟」

ジブラルタルは「ターリクの山」

インドにたどり着いたポルトガルは、インドが香辛料の原産地でないことを知り、さらに東の香料諸島を目指します。その航路にあったブラジル、アフリカ、アジアの地はポルトガルの支配するところとなります。 ポルトガルのインド洋制覇 第二次インド航海は、1500年に早くも実行に移されました。  インド洋貿易を独占するイスラム商人やヴェネツィア商人を介さない香料貿易ルートを確立すべくペドロ・アルヴァレス・カブラルを派遣その往路でブラジルのポルト・セグロ「安全な港」に上陸します。カリカットで

パトリックは貴族

 今回はユニオンジャックの記事の続きになります。聖アンデレ、聖パトリックの名前の意味とバリエーションについて見ていきましょう。 アンデレはアンドレアス聖アンデレは、コンスタティノープル総主教庁の初代総主教とみなされ、東方正教会(ギリシャ正教)の祖と考えられています。東方正教会は古代総主教庁のうちローマ総主教庁(現ローマ教会=カトリック)以外のコンスタンティノポリス、アンティオキア、エルサレム、アレクサンドリアの4つの総主教庁の流れを承継したキリスト教会であり、キリスト教とし

ポルトガルから始まった大航海時代

 地名の語源を探って行こうと思いますが、特に新大陸、カリブ海、アフリカ諸国については大航海時代の探検と深く関わっていることが多いです。したがって、大航海時代にいったい欧米がどのように発見したのかという歴史と紐づけて地名を見ていきましょう。まずは、ポルトガルから始まります。 ポルトガルから始まった大航海時代 ポルトガルは、地中海世界の貿易網と北海の貿易網の外れにあります。香辛料を始めとするアジアからの交易品が手に入りにくい状況でしたので、ヴェネツィア商人を介さず直接貿易したい

英国国旗は3人の聖人旗でできている

今回は、英国国旗であるユニオンジャックについて解説します。 ユニオンジャック ユニオンジャックはユニオンフラッグともいいます。  ユニオンジャック?ジャックって何だ?と思いますよね。ジャックとは「船首旗」のことをいいます。国旗などを船首に掲げることによって、どこの国の船かを識別するためのものです。  船首旗がなぜジャックと呼ばれるようになったかというと、この場合のジャックは通常よりも小さいサイズのものを意味し、船首旗は通常の旗より小さかったからだと言われています。スチュアー

イングランドの名前の由来

 今回は、ゲルマン人の最後としてアングル人とサクソン人を取り上げます。  「アングルAngle」は、釣針(の形をした土地)という意味です。彼らは、ユトランド半島の南部を原住地としていました。  「サクソンSaxon」は、ナイフを持った戦士を意味します。彼らは、ユトランド半島付け根部分やドイツ北部を原住地としていました。  彼らは、ケルト系ブリトン人が450年頃に北方のスコット人やピクト人に対抗するためにブリテン島に呼び寄せたとも、スカンジナビア半島から南下したデーン人の圧

フランスの名前の由来

 これまでゲルマン人のゴート族、ヴァンダル族、ブルグント族を取り上げてきました。今回はランゴバルド族とフランク族を取り上げます。 ランゴバルド族 「ランゴバルドLangobardī」は、長い顎髭という意味です。伝説によれば、その部族名は、ヴァンダル族と戦ったときにオーディンから与えられたものです。  彼らはスカンジナビア半島からエルベ川左岸に移り住み、その後ドナウ川中流域に移り住みました。  ランゴバルド族は他の部族と共同して、568年に北イタリアに侵攻します。東ローマ帝国

アンダルシアはヴァンダル族の国

 前回に引き続き、ゲルマン人の一部族ヴァンダル族とブルグント族について解説します。 ヴァンダル族 「ヴァンダルVandal」は、ゲルマン祖語の*wandalに由来し、「流れ者」という意味です。  彼らは現在のポーランドあたりを原住地としていました。フン族の侵入を契機に南下と西へと移動を開始し、フランク族と戦いつつ凍結したライン川を越えて、西ゴート族よりも先にイベリア半島に入ります。スペインの南、「アンダルシアAndalcia」は、ヴァンダル族の国を意味するラテン語「ウァンダ

旧約聖書のストーリー

 今回は旧約聖書のストーリーを解説します。ストーリーを理解する必要があるのは旧約聖書由来の人名を解説するにあたり、「この人は誰なの?」かが分からないと、どういう意味でつけられた名前なのかが分からないからです。教養としても最低限知っておきたいところです。旧約聖書は元々ユダヤ教の聖典であり、ヤハウェはユダヤ人を特別に愛し、ユダヤ人は神を信じ律法を守ることで救われるというお話です。 天地創造 ヤハウェが天地を7日間で創造し、最後にアダムとイブが作られました。2人はヤハウェに禁じら

ゴシックはゴート族に由来する

 ゲルマン人の大移動は教科書に載っている大昔のことで、まったく興味が湧かないかもしれません。私もそうだったので、その気持はよくわかります。現代と何の関係もないから、どうでもいいけど単にテストに出るので仕方なく覚える、という態度になってしまうのは無理もないことです。  しかし、本当に現代と何の関係もないのでしょうか。実は、ゲルマンの部族名は様々な言葉や地名の語源になっており、西欧、北欧諸国の起源ともなっているので現代とも深い関わりがあります。  今回は、ゲルマン人の大移動で国家

ユダヤ人とは誰のことか

 ユダヤ人というワードが出てくると陰謀論的な雰囲気が出てきてしまいますが、現代ではユダヤ人は民族的な概念ではなく、定義であることはあまり知られていないようです。旧約聖書に関連する名前を紹介する前提として、まずは誰がユダヤ人と言われているのか、見ていきましょう。 ユダヤ人とは定義である ユダヤ人というと、どのようなイメージでしょうか。  頭がいい、商売上手、儲け上手、迫害された歴史、ずる賢い、世界の支配者等々陰謀論を含めてプラスもマイナスもあるかと思います。突飛なところでは日