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旧約聖書のストーリー

 今回は旧約聖書のストーリーを解説します。ストーリーを理解する必要があるのは旧約聖書由来の人名を解説するにあたり、「この人は誰なの?」かが分からないと、どういう意味でつけられた名前なのかが分からないからです。教養としても最低限知っておきたいところです。旧約聖書は元々ユダヤ教の聖典であり、ヤハウェはユダヤ人を特別に愛し、ユダヤ人は神を信じ律法を守ることで救われるというお話です。

天地創造

 ヤハウェが天地を7日間で創造し、最後にアダムとイブが作られました。2人はヤハウェに禁じられていた知恵の木の実を蛇にそそのかされて食べてしまい、ヤハウェにエデンの園を追い出されてしまいます。アダムとイブの間にカインとアベルが生まれ、カインは嫉妬からアベルを殺してしまい、エデンの東に去ります。

ノアの箱舟

 2人の間にアベルの代わりにセツが生まれ、セツの子孫がノアにつながっていきます。何代か後に神は人類の堕落を見て滅ぼすことを決意し、大洪水を起こします。ヤハウェの意思により唯一生き残ったのがノアの箱舟のノアとその家族です。このあとにバベルの塔の話があります。

カナン移住

 その後何代かすっ飛ばして、アブラハムが重要です。彼はユダヤ教、キリスト教、イスラム教の父と言われる人物で、3つをまとめて「アブラハムの宗教」とも言われます。アブラハムはヤハウェと契約を結び、啓示によりカナンの地に移り住みました。イサクとイシュマエルは彼の子で、イシュマエルは母ハガルとともに砂漠に去り、アラブ人の祖となりました。

イスラエル十二支族

 イサクの子、ヤコブ(=イスラエル)はユダヤ人の祖となり、彼の12人の子らがイスラエル十二支族(ルベン、シメオンユダ、イッサカル、ザブロン、ガド、アシェル、ヨセフベニヤミン、ダン、ネフタリ、マナセ)の祖となりました。ユダの子孫がダビデやソロモン、イエスにつながる家系で、祭司レヴィの子孫がモーセ、アーロンにつながっています。また、ヨセフの子孫にはサムエルがいます。

売り飛ばされたヨセフ

 兄弟のうちヤコブに特に愛されたヨセフは、兄弟からの嫉妬によってエジプトに売り飛ばされてしまうものの、夢の意味を解き明かす才能によりエジプトを飢饉から救い、エジプトの宰相まで上り詰めました。カナンも同時期に旱魃に見舞われたことで、エジプトに穀物を買いに来た兄弟と再会・和解を果たし、ヨセフの計らいで父ヤコブと兄弟たちはエジプトに移住します。

出エジプト

 何代か経過し、エジプトで迫害されるようになったユダヤ人は、神の助けを得てアーロンとモーセ兄弟の指導によりエジプトを出ました。このとき神が海を割ることで(モーセの力で割ったわけではない)現れた道を渡って、エジプト軍の追跡を逃れたという逸話はよく知られています。そのままシナイ半島を40年間彷徨います。モーセがシナイ山でヤハウェから授けられた十戒を始めとする戒律は、ユダヤ教の律法(トーラー)となり、ユダヤ教徒はこの律法を守って生活します。モーセの後を継いだヨシュアの導きで約束の地カナンに戻ります。

ダビデとソロモン

 600年もの長い間エジプトに移住していたので、元いたカナンは他民族の居住地となっていました。カナンを奪還し、他民族を征服する戦いで活躍したのがダビデであり、彼はやがてサムエルに聖油を注がれ(メシア)、イスラエル王となります。後を継いでエルサレム神殿を建設し、イスラエル王国の黄金期を築いたのがソロモン王です。
 メシアの意味については以下の記事で触れています。

ディアスポラへ

 その後イスラエル王国とユダ王国の分裂イスラエル王国の滅亡(失われた十支族)、バビロン捕囚やら何やかんやとあり、ユダヤ人はアレクサンドロス大王の東方遠征(記述はされていない)やローマ帝国による征服とユダヤ人蜂起、神殿の破壊の受難にさらされ、エルサレムへの入城を禁止されてディアスポラ「離散の民」となってしまいます。
 ディアスポラでドイツや東ヨーロッパに向かった集団を「アシュケナジムAshkenazim」、イベリア半島に向かった集団を「セファルディムSephardim」と言います。ヘブライ語で、アシュケナジムはドイツを、セファルディムはイベリア半島を意味しています。アシュケナジムたちが後にナチスの民族浄化の標的とされました。

 とんでもない端折り方ですが、とりあえず知っておいてほしい流れはザクッとこんな感じです。

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