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オンライン講義との良い出会いのために

先日、ZOOMを利用してオンラインのセミナーを行いました。セミナー形式で2時間(その後の懇親会を含めると4時間!)をやってみると、通常のミーティングとしての利用とは異なる部分をいろいろ感じました。そこで考えたこと、試したこと、反省したことなどをまとめてみます。


空気感を伝える工夫

オンライン生配信による講義というは、今重要になってきているメディアの利用法だと思います。そこでは、メディアの特性を活かして利用するということが重要でしょう。

オンラインでの開催ということで、東京に限らず、さまざまな場所から参加していただくことができました。これは、オンラインのメリットです。一方で、体験が画面のなかに限られてしまうというデメリットがあります。こうしたデメリットをどのように克服するかということを考えました。

まず、講義資料が延々画面に映されているような、単調な感じにはしたくないと思いました。同じ時間を共有していることの意味として、できるだけライブ感があるように、あらかじめ決められた話をするだけではなく、ある程度は即興性があったり、実際のモノを見せたり、画面的にも多少は動きがあるようにと考えました。

情報を伝えるだけなら、情報を詰め込んで、無駄なく映像にまとめたほうが良いのだと思います。ですが、私たちがオンラインよりも、リアルな場所で開催したほうが伝わりやすいと考えてしまうのは、無駄な部分があることに実は意味があると考えているからではないでしょうか。箇条書きにされた項目の羅列ではない、余白の部分や、話者の印象といった部分と一緒になって、聞き手のなかに入っていくもののように思います。

そういう意味では、オンラインで適度な余白、適度な空気感をどうつくれるか、伝えられるかということは、聞き手の体験として考えた時に、重要なことであるように思います。つまり、オフラインでは意識しなかった部分を、オンラインでは、ある程度は意識的に行なう必要があるのではないかと思うのです。

「紙」で、全体像を示す

事前の準備として、プリントをA3サイズで使いたかったので、これをPDFで配布するとともに、セブンイレブン・ローソン&ファミリーマートの2系統で、コンビニプリントできるようにしました。プリンターを持っていない方も少なくないと思いますので、数字を入力するだけでプリントできるコンビニプリントは便利ではないかと思います。

画面という限られたなかで表現する一方で、その全体像をどのように描けるかということが重要ではないかと思っています。それは、今回のセミナーの内容的なテーマともいえる特徴でもあったのですが、「伝える」ということは、相手の頭のなかにどんな世界を描くことができるか、描いてもらうお手伝いをできるかということではないかと思います。そういう意味で、画面の外の、一覧することのできる「紙」で全体像を示すことは、画面の限界を少しでも超える助けになるのではないかと思っています。


明るく柔らかい照明で

オンライン講座では、次のような画面になってしまうことが多いのではないでしょうか。

・パソコンが壁際にあり、背後から光があたる。
・パソコンを操作していて、下向きになり顔が暗くなる。

映像を使うことの意味として、資料を見せることとともに、話者の顔の表情・人間味といった部分を伝えることが重要な意味をもちます。そういう部分があるからこそ、人が話して伝える意味があります。

そこで、やはり顔が明るく、ちゃんと見えるということには注意したほうがよいでしょう。カメラの特性としても、明るくしたほうがノイズも減ります。とはいえ、自分自身が被写体だと、なかなか細かい調整はむずかしいものです。

注意したのはこんなポイントです。ノートパソコンを部屋の中央に向けて配置しました。強い光を直接当てると影が強くでてしまうので、強めの光を天井に向けるなどして、柔らかい光で部屋全体を極力明るくします。メガネをかけていたり、下を向き気味など、顔に影ができる場合は、弱めの光を下目から顔のあたりに向けるとよいでしょう。テーブル・机には白い布を敷き、下からの反射があるようにしました。

ZOOMでは、背景はバーチャル背景を使って画像にすることもできます。部屋を映さなくてすむのでよい面もあるのですが、人に何かを伝えようとするなら、ある程度は、オープンマインドであるべきと思っています。あまり隠してしまわずに、ある程度は自分を出すほうが、内容に対しても興味を持ってもらいやすいのではないかと思います。

また、背景の色とは違った色の服を着るというのも、サムネール表示になった時にも認識しやすくするうえでは重要かなと思います。


できるだけきれいな音で情報を伝える

情報を伝えるという意味では、音声が聞き取りやすいということが非常に重要です。聞き取りにくいと、聞いていて集中力がなくなってきてしまいます。システムの設定で、マイクの入力ボリュームが小さくなっていないかは、最低限確認しておく必要があります。デジタルでの音声は、適正な音量で入力することが重要で、ZOOMの場合、音が悪いと、圧縮感のある音になってしまう傾向があるように思います。

自分は声が小さく、ぼそぼそとした話し方になりがちなので、音楽用の感度の高いコンデンサマイクを使い、USBでつながるミキサーを通してMacに入力しました。ミキサーを使ったのは、音が小さいというような場合に、瞬時に調整ができるためです。もっと手軽にしたい場合は、ヘッドセットのマイクを使うというのもよいかもしれません。配信先の音質は回線速度によっても異なると思いますが、録画を確認した限りでは、かなりクリアな音になっていました。

ほんとうは、もっと大きな声で話せるようにしたほうがよいのでしょうけど、苦手な部分に気を取られると続かないので、機械の力を借りた感じではあります。

話者が二人以上いる場合には、できるだけ音量が揃っているとよいと思います。とはいえ、ZOOMの場合、音量が揃っているかどうかを調べるのがなかなか難しかったりします。リハーサルで録画してみたりするとよいかもしれません。声の大きい人がいて、ユーザーがそれに音量をあわせてしまうと、声の小さい人の声が聴きにくくなってしまう可能性があります。


画面共有とカメラの切り替え

はじめにも書いたように、画面共有を見ているだけにはしたくなかったので、画面で見せるのとはべつに、カメラに切り替えることが多くありました。ところがそこには問題があります。ZOOMの操作で、少し間が生じてしまうんですね。はじめは画面共有の際に、ウィンドウを選んで共有していました。そのほうが、画面としてはすっきりしていてきれいなんですが、ウィンドウを選ぶ時間がかかるんです。これはそんなに長いわけではないけれど、繰り返すとかなり間が気になるように思いました。また、ウィンドウを選び間違えると、見せたい画面ではない画面で話してしまい、そのことに気づきにくいという危険がありました。安全性とスピードを考えるなら、デスクトップ全体の共有にしてしまったほうがよいように思い、途中からこちらに変更しました。

そして、もうひとつ、ショートカットを利用するべきだと思います。初期設定では、「コマンド+シフト+S」で画面共有のウィンドウが開きます。この状態ではデスクトップが選ばれているので、リターンキーで画面共有が開始されます。この操作をダイレクトにすることはできないようなので、「コマンド+シフト+S」+「リターン」を一連の操作として行えるようにしておいたほうがよいと思います。さらに、もどる場合も「コマンド+シフト+S」なのですが、このときは別のアプリを操作している状態なので、これだけでは戻れません。ZOOMの「設定→キーボードショートカット」で「画面共有を開始/停止」の「グローバルショートカットを有効化」にチェックを入れておくと、他のアプリで操作中でもショートカットが効くようになります。これで、(「コマンド+シフト+S」+「リターン」)&(「コマンド+シフト+S」)で、画面共有の開始と停止が瞬時に行えるようになります。

ZOOMを使って、画面共有とカメラを切り替えて講義を行なう場合には、このあたりの操作に慣れておくことが重要だと思います。

雑談タイムの有効性

今回は、講義の終了後、懇親会的にフリーでお話をしました。そこでは、カメラをONにして参加する人、声だけの人、チャットで参加する人など、参加形態は自由にしました。

そこで思ったのは、雑談も重要だなということでした。会場の制約もないので、気楽に話すことができますし、リアルに会うよりも内容のある話ができるような気がしました。リアルに会って話していると、どうしても社交的な話が多くなりますし、人数が多くなれば、いろんな話がいろいろな場所で展開されます。ところが、オンラインだと一つのテーマで話がつながりやすくなりますし、補足することなどがチャットで入ってきたりして、話のテーマに関連した流れができやすくなります。もちろん、やりかた次第だとは思うのですが、オンラインの雑談タイムも、うまく使うことはできるという印象は持っています。もっとうまく使って、よい双方向性を生み出していけたらと思います。

ただ、会場の制約がないために、長くなりすぎてしまうこともあるので、事前にある程度、終了時間は決めておいたほうがよいかもしれません。

オンラインセミナーにとって重要な時期

実際にやってみると、むずかしい部分はありました。ミーティングの一員として参加するのと、そこで講演をするのでは、リアルの場合でも違うように、ZOOMを利用しても、まったく違うことです。そのための準備は必要だと思います。一番の懸念であった、一人で話し続けることのむずかしさは、自分はわりとすぐ慣れた感じがしましたが、話しやすい環境を作るということは重要なように思います。

オンラインセミナー自体は以前からあったものではありますが、この状況のなかで、今必要とされていて、準備期間も少ないなかで急速に拡がりつつあるメディアだと思います。こうしたひとつのメディアの立ち上げ(急拡大)の時期として重要なことは、オンラインのセミナーって、結構面白いよね、いいねと思ってもらえることだと思うんです。ここで否定的な印象を持たれてしまうと、これからの発展に多くブレーキがかかってしまいます。

人にとって、出会いの瞬間って、とても大事なんです。今、オンラインでも講義・授業をはじめる人は、その責任を担っていると思うんです。オンラインでも、知識や技術を伝えられる、有意義な話ができる、気持ちを伝えたり、信頼したりできる、確かな人と人の関係を作り上げることができるということを、一つひとつ事例を積み重ねることで、作り上げ、示していく必要があります。

そういう意味では、今、大学の授業なども含めて、オンラインによる講義に関わる人が、できるかぎり知恵を絞り、情報を共有していくことが重要だと思っています。

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デザインしたり、文章書いたり、大学で教えたり、楽器を弾いたり、そんな感じ。著書 『デザインの教室』『デザインの授業』『フラットデザインの基本ルール』など。最新刊は『ビジネス教養としてのデザイン』
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