僕はこんな風に仕事している。その1
僕はこんな風に仕事している。シリーズその1。
今回は不動産賃貸業のホームページ制作について。
クライアントの川端さんと知り合った時は不動産会社のサラリーマン。
僕が経営していたカフェのお客さんで、オーナーの僕に興味を持ってくれて話をしたのがきっかけ。知り合って数年後に、彼が勤めていた会社のサイトリニューアルをお手伝いすることになるまでは、カフェで時々お茶する間柄。
リニューアルすることになったサイトは、川端さんが勤める会社に複数あるサイトのひとつで、デザイナーズマンションを紹介するサイト。
当時は川端さんが担当者として更新を行っており、もっと特色を出したいということで相談があった。
二人でコーヒーを飲みながら、普通のサイトを作っても面白くないし、ちょっと変わったことをしたいねと言いながら、色々妄想したり、バカバカしいこと思いついては言い合って、笑いながらコンセプトを作った記憶がある。
不動産屋賃貸のサイトは、物件紹介が並んでいて、間取り図と、スーパーや学校に近いとか駅から何分みたいな情報が掲載されてるだけなのがほとんど(最近は変わってきてるけど)だったので、「もっと人にフォーカスしよう」と提案して、いっそのこと、どんな人に住んで欲しいかを伝える、つまりこちらが住む人を選ぶというアイデアを思いつき、「○○○○○(職業等)のためのマンション」みたいな紹介を並べたら面白い!と盛り上がったりした。
最終的には、川端さんが選んだ、ちょっと変わった物件を、独自の切り口で紹介するという案に決定。
そのとき、僕の頭に浮かんだサイトのタイトルが「京都トンガリエステート」
川端さんの上司にオッケーがもらえるか不安だったので、もうひとつの案と2案用意して、本社でプレゼン。
予想通り?プレゼン終了後に、「トンガリって何?意味がわからん」と社長から言われて焦ったけど、続けて「ようわからんけど、川端くんがええんやったら任すわ」と言ってくださり、無事プレゼンが通って、「京都トンガリエステート」のサイトが誕生することに。
コンセプトは「選ぶを楽しむ!不動産サイト」
「トンガリ」というのは、尖った物件を紹介するということからのネーミングだけど、その元ネタは小説のタイトル。
僕が学生の頃に好きだった作家に中森明夫という方がいて、その方が書かれた小説に「東京トンガリキッズ」というのがあり、そこから拝借したというわけ。
*ちなみに中森明夫(ペンネーム)は中森明菜からというイカした方。
川端さんの独立後、京都トンガリエステートは別の方に引き継がれて、いまも更新されてるので、京都で面白い物件を探されてる方は、ぜひ一度ご覧ください。
というのが前置きで、いよいよ、川端さんのブランディングの話。
いまから6年ほど前に「独立するので相談に乗ってほしい」と連絡があり、プロジェクトがスタート。
「会社名は考えてます」とのことだったので、カフェで話を聞いてみると、英語かイタリア語か忘れたけど、ちょっとスカした感じの名前をいくつかあげてくれたのだけれど、正直言って、ぜんぜんピンとこなかった。
川端さんらしさがぜんぜん感じられないので、正直に本人に伝えたところ
「じゃあ、田井さんだったらどんな名前がいいと思うんですか?」とちょっと喰ってかかるように(僕がそう感じただけかも)言われたので、「ちょっと待って」と制して、妄想タイムスタート。
最初に提案したのは「パリ・テキサス不動産」(これを提案したことをすっかり忘れていたのですが、最近川端さんから聞いて思い出した)
ヴィム・ヴェンダース監督のパリ・テキサスという映画を僕が大好きなことがネーミングの由来(そういうの多い)。
アメリカにパリがあるという意外性のように、京都にパリ・テキサス不動産があってもいいじゃないかと言いくるめようとしたけど(意味不明すぎると)強い抵抗に遭い却下されてしまった。
ちょっとモチベーションの下がった僕に気を遣うように「パリ・テキサス不動産も悪くないんすけど、もうちょっと何かありませんかね?」と聞いてくる川端さんの熱意にほだされて次の案を提案。
手近にあった紙ナプキンにネーミングを書いて「ええの思いついたけど、口で言うのもなんやし、書いてみるから見たい?」と言いながら、手で隠したナプキンを川端くんの前に。
「はい!これ」と、オープンしたところに書いてある文字は「川端組」
「これ、めちゃ川端さんらしいやろ!」と言うと、「いやあ、組はあかんでしょ」「組はヤバイですよ」と気乗りのしない様子。
その日は、持ち帰って相談するということで解散。
数日後に会って、「どうやった?」と聞いてみると「他の業界ならええけど、不動産業界で組はあかんやろ、ヤ○ザの組を連想するやん」と先輩に言われたとのこと。
ああ、それやったらええアイデアがあるわ、と僕。
川端組やといかついけど川端組。と「。」をつけたらモーニング娘。みたいでかわいいやん!と力説すると、そこまで言うならと渋々本人も納得。
「川端さんは、ほんまにいろんな引き出しがあるし発想も面白いから、ホームページもテレビのチャンネル回すような感覚のものにしよう。タイトルはKAWABATA CHANNELがいい!」と調子に乗って提案すると、そちらはすぐに気に入ってもらえた様子。
その後ロゴマークをデザインして提案したところ、またまた僕の提案で問題勃発。
ロゴマークを神戸の山○組のヤマビシのマークをもじって、川端の川の字をひし形にデザインしたものを提案したところ、これこそほんまにあかんでしょ!と猛反発されて却下。これは、僕もやりすぎたと反省。
で、できたのが川端組。のロゴ。
カワバタチャンネルでも、川端さんのセンスは遺憾無く発揮されて、ユニークな物件がたくさん掲載されてる。
また、面白いプロジェクトを立ち上げたり、京都トンガリエステート時代からの物件紹介を「ポエム」と称して自費出版するなどして不動産屋の枠を超えて活動中。
京都・大阪でユニークな物件を探してるとか、面白いことないかなという方は、ぜひKAWABATA CHANNELへ。
(画像をクリックするとサイトに飛びます)
僕はクライアントの本質的な魅力を打ち出すことがブランディングにつながると考えていて、川端さんの事例は、その最たるものだと自負しているけど、それもこれもクライアントの川端さんの強力なキャラクターと魅力あってのもの。
仮に僕が、「田井組。」とネーミングしてもぜんぜん面白くないし、意味がない。
そんな川端さんがKAWABATA CHANNELのなかで僕のことをブログに書いてくれていて、なぜか僕はおもしろみおじさんと呼ばれてる。
僕がたくさん本を読んだり映画を観るのは、もちろん好きだからということが大きいけれど、アイデアのネタにするためというのも大いにある。
ただ、ネタにすることが目的になってしまうと面白くなくなるので、興味本位でチョイスするようにはしてるけど。
こんな風に書いてみると、仕事してるというより遊んでるだけじゃないかと思われるかもしれないが、ほぼその通り。
お客さんと一緒に盛り上がったりワクワクするエネルギーが世の中に伝わって、何かにカタチを変えて戻ってくると信じてるので、仕事は楽しんでナンボ。
僕はこんな風に仕事している。その1は以上です。
いつもありがとうございます!読んでいただけてハッピーです。