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8ヶ月ぶりの面会

前の記事の予告通り、一泊二日で帰省した。
目的は3つ。
父名義の口座のキャッシュカードを探して見つからなければ金融機関に相談、ご近所に挨拶とお礼、両親との面会。どれも気が重い。
成田発のLCCが1日1便しかなくなって、松山に15時着→翌日15時25分発の17時成田着というなんとも中途半端なスケジュール。
まあ「24時間タイムアタック」と考えれば楽しめなくもない。

1日目はレンタカーを借りたその足で実家へ。
半年以上閉めきったまま夏を越したので、いくら古い家ですきま風が通るといってもやはり全体的にカビっぽくなっていた。
捜し物は見つからない。たぶん引き落とし専用で入れるだけの口座だったので、普段は通帳があれば事足りたのであろう。なのでどこかにカードだけしまわれているはずなんだけどな。
金融機関に再発行手続きなどを相談してみるが、やはり本人の意思確認ができないと難しいので、正攻法の成年後見制度を利用するという大正解の結論を確認し合うということになった。まあそうなるよね。
この件は急がないので一旦忘れる。

押し入れの中もどこもかしこもたくさんの不要品がきっちり整理されてしまわれている。物は多いが散らかってはいないため捜し物自体は難しいわけではなく、引き出しを端からどんどん確認していくとアクセサリーが入った箱が出てきた。子どもだった次女のメモ入りで。

証拠写真

母はそんなにアクセサリーをつけていた印象はないんだけど、買って満足するタイプだったのかもしれない。フォーマルな真珠のネックレスも「数十万した」と言って見せてくれたことがあったけれど、私があんまり興味もなくて、そんなのしまむらで売ってる1,000円のつけてたってわかんないよ、とかなんとか言ったと思うんだよな。
親子とは言え価値観は人それぞれ。
というわけで身内でただ1人興味を示した次女がもらう約束を取り付けたのだろう。
当の次女もちょうど25歳。引き取って帰る。

郵便受けからあふれたチラシやらなにやらを玄関ドアの新聞受けから中に押し込んでくれたり、自治会の連絡事項を間に入って知らせてくれるご近所さんには、中学生の娘さんが好きそうなオシャレお菓子を持って挨拶に。
本当は自治会の班長さん宅にも顔出したほうがいいんだろうけど、それは弟に担当させることにした。何も私1人で全部やることはないもの。
「近いうちに家族で予定を合わせて行きます。」と言って、1年以上ずっと来てない人たち。あてにはしてないけど。

山あいの実家から街中のホテルへ。旅行支援の割引やらクーポンやらポイントやらで、3,000円のクーポンをもらえば実質ゼロ円どころかプラスである。

すっかりさびれた銀天街

ビールと唐揚げでいいや、とうろ覚えで向かったお店は定休日。
松山の中心街なので高級店からいわゆるせんべろのようなお店まで選び放題なんだけど、冒険する気も起きなかったので三越1階で無難にバル飲み。
いいの、生ビールが飲めたらなんでも(笑)

タコ頼んだはずなんだけどなーw

2日目、施設の面会予約は10時。私のサインが必要な書類をあらかじめ用意しておいてもらったので、少し早めに向かう。紙、紙、紙。
父の障害者手帳申請の書類がようやく整ったとのことで、それにもサイン。医療費が無料になるそうだ。ありがたい。

父は10時20分までリハビリがあるそうで、先に母が職員さんに連れられて玄関先に出てきた。
今回も玄関自動ドアのガラス越しの15分面会だ。
前回全く動きも表情もなかった母だが、今回は職員さんから「娘さんが来てくれたんよ、わかる?」と言われると、ちょっと不思議そうな顔をしながらもうなずいている。
多分、娘だとはわからないけど、なんかよく知ってるかもしれない人くらいの感じなんだろう。しきりに「ここ(ガラスドア)開けて、開けて。」と言っていた。
孫やひ孫の話に反応するときもあり、無表情になってしまう時間もあったり。
記憶が揺らぐような感覚なのかもしれない。

そうしているうちにリハビリが終わった父が車イスを押されてやってきて、私の顔を見るなり泣き出した。
もしこれが、元気なときは厳しかったり頑固な父親だったりすると、「ああこんなに弱っちゃったんだ」とこちらもダメージをくらうところだが、父は特に歳を取ってからは涙もろく、性格も穏やかでやさしい人なので、想定内である。
逆に前回の面接で泣かなかったことのほうが奇跡だったので。
こちらはボケてはいないが発語ができないので、母にした家族の近況報告をもう一度一方的に話す。
その中で何度も母のほうを指してから「ダメダメ」というように動くほうの左手を振ってからうつむいて涙する、という動きを繰り返していた。
「お母さんがボケてしまった」と言いたかったのかな、とも思うけれど、そんなの今さらだしお父さんのせいじゃないし、仕方ないんだよ。

本来15分のところを30分以上面会させてもらい、これ以上いると2人とも興奮して迷惑をかけそうだったので、また来るからねと言って施設を出た。
もうずいぶん前から、帰省して両親と別れるときは、「これが最後」と思って手を振る。今回も同じ。
なんなら私のほうが先になる可能性だってゼロじゃないけど、私は夫のように母親を置いて先に逝くようなことはしたくないので、せっせと健康作りに励もう。

古民家パン屋さん
イートイン可。飲み物とスープ追加ができる。

3つの課題が片付いたので自由時間だ。
偶然インスタで見つけた内子のパン屋さん「シャルム」にどうしても行きたくて、高速に乗る。
ホテルの朝食バイキングが絶望的にまずくて(朝からお刺身OKだったり納豆があればいい人はいいんだろうけど)、朝食なしにして向かいのセブンイレブンで買えばよかったと本気で後悔していたけれど、このランチで全部取り返してお釣りが来た。行ってよかったな。
写真以外にもあと2つ買って、搭乗前のおやつに一つ、帰り道に運転しながら一つ食べた。なんか元気が出るパンだった。

留守番ねこ

帰宅してさんざんねこに文句を言われ、だっこをせがまれ、でもほっとする。
私の家はここなんだな。

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