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言葉は、ひな鳥です。

たいていの人は、はじめて聞いた言葉は、なんの違和感もなく、その時に使われていた意味や定義のまま使い続けます。
はじめて見たものを親だと思い込んで、後追いを続けるヒヨコのように。一度刷り込まれたら、疑ったり見直したりする機会って、なかなかないんですよね。

なぜこんな話をするのかというと。

わたしが、オリジナルの商品やビジネスモデルを作るサポートをするときは、第一歩として『ミッション、ビジョンの言語化』から始めます。
その理由は、商品の定義「商品とは?」という根本的なところに行き着きます。

『商品』とは
ミッションに基づいて社会に提供したい価値を、対象者ごとに最適な形にして届ける手段である。

これは、わたしのメンターの和仁達也先生に教わったものです。

そして、ミッションを言語化するときに、同時にするべきことは、ビジョンの言語化です。

ミッションとは、使命「なぜ自分がこの事業をするのか?」理由や根拠になるもの。

ビジョンとは、理想の状態「どんな世界を作りたいのか?」事業の目的。

どんな世界を作るために、なにをするのか?ミッションとビジョンが定まっていれば、ビジョンを実現するための具体的な手段、働きかける対象者は、アイデア次第で無限にあります。そこから商品が生まれます。

逆に言うと、ここが定まっていないと、行動がブレます。
一生懸命、売れない認定資格を取ったり、SNSでの集客法などのスキルばかりを身につけたり、お金になりそうだからと手当たり次第新しいことを始めたりと、目の前のことばかりを追いかけて、
「わたし、なにやってるんだろう?」
「こんなに頑張ってるのに、なんで全然売れないんだろう?」
「好きなことを仕事にしてみたけど、誰かの役に立ってるのかな?」
と、不安ばかりが大きくなります。
その結果「何屋さんかわからない」と言われ、ブレた行動を見た人の信用をなくすこともあります。
(過去のわたしが、そうでした。)

一人の事業主や一つの会社が提供するいくつかの商品は、そのビジネスモデルにおいて、すべてが絡み合って相乗効果を発揮することで、最大の収益化が図れます。
たくさんのメニューを持っていたとしても、それらが一つのビジョンを実現するための方法であれば、「何屋さんなのか」「何をしてくれる人なのか」が伝わります。
そこに共感した人が「あなたから買いたい」とお客様になります。

だから、事業のコンセプトを決めたり、商品を作る上では、まずはミッションとビジョンを明確にする必要があるのです。

わたしのところへ来るクライアントさんには、起業は「まるっきりゼロスタート!」な方から、「ミッションやビジョンは言語化してあるよ!」というステージの方もいます。

どのクライアントさんも共通していることは、起業をするために何かしらを学んできているということ。
そして、教わった先生や関わったコミュニティのトップが、エッジの効いた言語化ができていればいるほど、「あなたらしい言葉」を使えない傾向にあります。

特に、一つの分野(業界)、一つのコミュニティにどっぷり浸かっている度合いが強いほど、その傾向は強まります。なぜならば、先生がキョーレツな親鳥だからです。

先生の言葉に違和感がないので、そのまま使い続けます。
その業界でよく使われている言葉を使うので、あなたらしさが発揮されず、差別化ができないのです。
「どこかで聞いたことがあるな〜」
「他の人も言ってるよね」
となり、印象に残らない。
もしくは、
「専門用語が多すぎて、よくわからない…」
と価値が伝わらずに終わってしまいます。

よくあるのは、「自分軸・他人軸」「ありのまま」「寄り添い」「笑顔あふれる」「自己肯定感」「わくわく」「輝かせる」「人生の主役」「ビジョン実現」「ママを応援」などが『ひな鳥ワード』です。


では、あなたならではのオリジナルな言語化をするには、どうしたらいいのでしょう?

それは、言葉を再定義すること
今使っている言葉を「あなたはどういう意味で使っているのか」言い換えることです。

言葉って、インプットした単語しか出てこないんです。当たり前だけど、知らない言葉は使えない。
だけど、言葉同士を定義によって結びつけることはできます。その結びつけ方が、オリジナリティとなるのです。

先日、ビジョンの言語化をサポートしたクライアント Aさんの話です。
Aさんはもう10年以上も講演活動をしている、70代の女性です。出版もしています。
日本にコーチングブームがくる何年も前からコーチングを学んでいて、ミッションやビジョンも言語化していました。

実は、ミッションやビジョンの言語化って、イチからするよりも、2回目以降のブラッシュアップのほうが難しいんです。
それなりの時間も頭も使って作ったはずなので、一人ではなかなか崩せないんですよね。

Aさんがわたしのところに来た当初のビジョンは「自分軸で生きる人を増やす」でした。

うんうん。確かに素敵な言葉だけど、どこかで聞いたことがあります。そこで、ひな鳥ワードの再定義をしていきます。

・・・

よしえ:『自分軸で生きる』とは、Aさんの中ではどういうことですか?
Aさん:『自分が主役の人生を送る』ということです。

よしえ:なにができれば『自分が主役の人生』になるんでしょうね?
Aさん:自分のことを、自分で決められると主役になります。他の人の目が気になっていると、自分で決められません。

よしえ:自分のことを自分で決められると、どんないいことがありますか?
Aさん:人生に満足できます。

よしえ:人生に満足できた人をイメージしてください。どんな様子ですか?
Aさん:笑顔でピースして棺桶に入ります。

・・・

こんな感じです。
(もちろん、ダイジェスト版です。こんなにすんなりは言い換えた言葉は出ません。いくつも羅列して、その中から一番しっくりくるワードを選びました)

いかがでしょうか?
「自分軸で生きる人を増やす」よりも
「すべての人に『笑顔でピースして棺桶に入る人生』を!」
のほうが、より「あなたらしさ」があると思いませんか?

オリジナルは、新しい造語を創ることではありません。誰もが知っている単語を、あなたが意味する言葉に言い換えるだけでいいのです。

もし「わたし『ひな鳥ワード』使っちゃってるかも?!」と思ったら、ぜひ言い換えにチャレンジしてみてくださいね。

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