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3歳児の父にとって、お風呂の時間が一日の山場

一日の疲れが癒える時、それは温かな湯船に体を沈め、両手ですくった湯で顔を拭い、フーっと一息つく入浴の時間。そう思っているときが、ぼくにもあった。

しかし、小さな怪獣こと3歳の長男つむぎとのお風呂の時間は一日の山場だ。

つむぎがお風呂に抱く感情は長めの周期で変動するベースの変化と、毎日のように変動するゆらぎの変化が、予測できない株価の様に組み合わさって決まってくる。

現在、つむぎのお風呂相場はかなりの好景気。お風呂が大好きだ。

脱衣所で服を脱いだつむぎ、お風呂に入ると、まずは自分の体や頭を洗う前に、おもちゃを洗い始める。石鹸や子ども用シャンプーをふんだんに使い、風呂桶のなかでじゃぶじゃぶ、じゃぶじゃぶ。洗車ごっこらしい。

「つむ、シャンプー無駄遣いしないで!ワンプッシュだけだよ」
聞こえないふりをして、おもちゃをゴシゴシ。
「石鹸はお湯につけると溶けちゃうんだって!」
やっぱり聞こえないふりをして、おもちゃをチャプチャプ。
「はぁ、もう」

毎日、このやり取りが繰り広げられる。

つむぎがおもちゃを洗車している間に、仕方なく、ぼくはつむぎの体を洗車する。ダブルの洗車が終わると、ようやく入浴の時間。

おもちゃを使って遊んだり、壁に貼ったウォーリーのポスターでクイズを出し合ったり、風呂桶を使って遊んでみたり、さまざまな遊びが始まる。最近「となりのトトロ」の魅力に取り憑かれたつむぎは桶を頭にかぶって、上からシャワーを浴びて、トトロが傘を差すシーンの再現にハマっている。

この時間がなかなかに長い。長風呂があまり得意でないぼくは、「よし、そろそろ出ようか」「じゃあ、あと10秒浸かったら出るか」「だでぃ、先に出るね」となんとか脱出を試みるが、結局はつむぎが満足するまで浸かり続けることになる。

ようやく、お風呂を出てもまだ戦いは続く。何ならここからが山頂前に突如現れる最後の切り立った壁と言ってもいいだろう。

裸ではしゃぎまわるつむぎをどうにかこうにか捕まえて、バスタオルで拭き上げる。段々と寒くなってきた八戸、風邪を引かせないように必死だ。

体を拭いたら今度は、ニベア。これも一筋縄ではいかない。自分で塗ると言い張り、大量のニベアを取り出しベタベタべたになったり、ぼくが塗ろうとしても変なポーズでなかなか塗らせてくれなかったり。うん、大変。

ニベアのあとはようやく服を着せ、最後にドライヤーで髪を乾かす。もちろん元気いっぱいのつむぎはじっとなんてしていない。

全てが終わり、脱衣所からママがいるリビングに向けてかけていく小さな怪獣。

脱ぎ散らかされた服とともに残されたぼくは、静かに脱衣所とお風呂場を片付け、服を着て、髪を乾かし、今日も一日の山場が終わったことを感じるのだった。

それにしても産まれたばかりの次男と比べると、たった3年でこんなにも大きくなる子どもの成長はすごいものだ。

3歳のつむぎはとっても元気な怪獣です

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