20代前半の恋と、30代の恋

30代になってからというもの、友人から恋愛相談をされても「そうかぁ」としか答えようがない。

私は23歳から夫と付き合っていて、30代の恋愛を経験していない。30代の恋愛については門外漢だ。

2年ほど前だったか。別れる別れないで悩んでいる友人Aを囲んで話を聞いていたとき、別の友人Bに、「サキちゃんは別れるときどうだった?」と話をふられた。

いやいやいや。私は当時すでに34歳で、最後に恋人と別れたのは22歳のときだ。すったもんだの渦中にいる友人Aは年上でアラフォー。22歳の体験なんて、参考になる?

だから「最後に恋人と別れたのが22のときだから、私の体験は参考にならないよ」と答えた。渦中の友人Aもうんうんと頷いている。

しかし、友人Bは「恋に年齢は関係ないよ!」と言う。

そうだろうか?

もちろん、いくつになっても恋はしていいし、「30代だからこうすべき」という決まりもない。

だけど現実問題、20代前半と30代とでは、当人の状況や考え方も違ってくる。恋する気持ちは昔と同じでも、それを阻む事情が生じていたりもする。

globeも「バス停でおしゃべりしている学生 明日の事は考えてもちろんいるけど 切実さは比べようもない程明るい」と歌っているじゃないか。

年齢によって何かしらの切実さや前提条件が違ってくることは、残念ながら多い。

だから諸々の前提条件をすっ飛ばして、「20代前半の恋愛」と「30代の恋愛」を同列に語る人は、ちょっと当てにならない。

令和の今、Windows XPのマニュアルを読まされているような気分になる。

自分の過去の恋愛体験が参考にならないと思う理由は、もうひとつある。

これは完全に私自身の問題だが、私は今の夫が、初めてまともにパートナーシップを築けた相手だからだ。

もちろん、初恋でもなければ、初彼氏でも初体験の相手でもない。夫と出会う前に、いくつかの交際を経験している。

だけど、今思えばそれらの恋愛は、お互いに好き好き言って盛り上がっているだけで、まったく相手のことを尊重できていなかった。

夫と付き合って少しずつ、相手と自分を大切にし、コミュニケーションを重ね、失敗しながらもパートナーシップを構築していくことを覚えた。

『君に届け』で爽子と風早くんが高校時代からやっていることを、23歳から何年もかけてやったのだ。

だから私にとっては夫が初パートナーで、パートナーシップ構築経験は一度しかない。しかも、現在も構築中だ。サグラダファミリアみたいに、構築と、壊れた部分の修復を同時に行っているのでキリがない。

経験値が低すぎて、人に言えることなんて何もないのだ。



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