「片思い」は恋愛だけじゃない
恋愛じゃない人間関係においても「片思い」の概念がある。
たとえば、まだそれほど関係が深まっていない友人に対して
「私は友人だと思ってるけど、相手はそう思ってないかも……?」
と思うことがよくある。
また、大好きな友人との会話の中で、
「私はこの人が大好きだけど、この人は私のこと“そこそこ好き”くらいなんだろうなぁ」
と感じることもある。
それらは、両者の感情の重さが釣り合っていないという意味では片思いだ。
誤解のないように言っておくけれど、相手が親愛の情を示してくれたときは、それを疑うことはない。
あくまで、言葉や態度で示されていないとき、「私の片思いかも?」と思うのだ。
◇◇◇
数年前、友人が主催したイベントに夫とともに参加した。
そのとき、参加者のおじさんに話しかけられた。まったく知らない人だ。とてもグイグイと一方的なコミュニケーションを取る人で、端的に言って馴れ馴れしかった。
その人に、facebookのアカウントを聞かれた。
別にいいけどちょっと嫌だな……。
と思ったけど、断りきれずに教えた。
その人は、私が内心で「ちょっと嫌だな」と思っていることにまったく気づいていないようだった。
その自信はどこから来るんだろう?
「仲良くなりたいと思ってるのは自分だけかも」とか、少しも想像しないのかな?
自分の片思いだって、思わないのかな?
その後、私はfacebookにちょっとしたエッセイみたいなものを投稿した(数年前はそういった使い方をしていた)。
内容は「最近、会いたい人にしか会わないというマイルールを決めた。そうじゃない人からの誘いは全部断るようにしてる。そしたらストレスが激減した」というもの。
すると、件のおじさんから
「素晴らしい心がけですね! 私も本当に会いたい人にしか会わないので、社交辞令は言いません。飲みに行きましょう! もちろんこれは社交辞令ではなく、本当に吉玉さんにお会いしたいから言ってるんですよ」
みたいなコメントが来て、たまげた。
なぜ、自分が「会いたい人」側にいる前提なんだ……!
私にとってあなたは「会いたい人」ではありません。嫌いではありませんが、会いたいと思うほどではないです。あなたと飲むことに時間を使うのが惜しいです。なので、そのお誘いはマイルールに従って断ります。
……とはさすがに書かないけど、やんわりと断った。
私はそのおじさんの自信に驚いた。
すごいなぁ。きっと誰に対しても「両思い」の前提なんだろうなぁ。自分が思うほどに相手は自分のことを好きじゃないって、自分の片思いだって、思わないのかな?
別に、そのおじさんの自信が悪いわけではない。
ただ、「両思いのはず」と信じて疑わない人が、実は自分の片思いだったと気づいたとき。
その精神的ダメージはかなり大きいのではないだろうか?
◇◇◇
「相手も自分のことを好きなはず」という自信を持てる人が羨ましいかといえば、実はそんなこともない。
私のこういった自信のなさに共感してくれる人もいるし、私は、そういった人たちのことが好きだから。
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