とこしえの備忘録

漢字とバイオインフォマティクスと数学の人。備忘録としていろいろ書きます

とこしえの備忘録

漢字とバイオインフォマティクスと数学の人。備忘録としていろいろ書きます

マガジン

最近の記事

1-2真核細胞の分裂制御

細胞周期 1つの真核細胞から2つの細胞が生じる過程を細胞周期と呼ぶ。細胞周期は大きく分裂期(M期、mitosis=有糸分裂)と間期に分けられ、大半が間期にあたる。この記事では間期においてどのようにして有糸分裂が促されるかについて書く。  間期はG1期、S期、G2期に分けられる。特にS期はDNAの複製が行われる。Sはsynthesisの略。 G1期とG2期はS期とM期の間にある。GはGapの略。 G1期  基本的にはS期のために準備している。大事なのが細胞によってその長さ

    • 1-1原核細胞と真核細胞の分裂

       単細胞生物と多細胞生物の分裂はその基本的な目的が異なる。前者は繁殖するために、後者は成長や組織の修復に際して、細胞分裂という手段が用いられる。 細胞分裂するために必要な4つのステップ増殖を促すシグナルが必要 DNAや細胞内小器官の複製によって新しい2つの細胞が同一の遺伝子と完全な機能を備えている。 複製したDNAを2つの娘細胞に分配する過程が必要。(分離と呼ばれる) 細胞膜の再構築(細胞質分裂と呼ばれる)が行われ、新しい細胞に分離すること。  これらの過程は原核細

      • Hi-C法の原理と目的、解析ツール

        基本事項ゲノムの三次元構造の解析法の一つで、2009年に開発された。次世代シーケンサーを用いて空間的に近接したゲノム領域を網羅的に検出することで、ゲノムの三次元構造の解析を行える。Hi-Cはhigh-throughput chromosome conformation captureの略。 ゲノム情報自体は塩基配列の1次元情報ですが、遺伝子発現を効率よく制御するためにはその細胞及び器官での特異的な3次元構造を持つことが必要になってきます。そのため、三次元構造を解析する手法が必

        • 映画レビュー『Otesánek』

          基本情報感想 アマプラでたまたま見かけたので興味本位で見ました。最初30分は構成やカメラワーク、トランジションが陳腐で「あまり期待できないかなぁ」と思っていましたが、終わってみればかなり纏まりの良い映画で、構成も面白かったです。  元の民話のストーリーは至ってシンプル、バッドエンド版桃太郎みたいな雰囲気を感じました。切り株が化け物になり、それが人々を襲う。そして最後は斬り殺されてみんな助かるという至極単純な物語。  しかし、この映画ではそれに加えてホラーク夫妻の世間に対す

        1-2真核細胞の分裂制御

        マガジン

        • 分子遺伝学
          2本
        • 世界史メモ
          44本
        • 映画レビュー
          6本
        • 植物・遺伝子など
          7本
        • Excel関連
          2本
        • 大学入試世界史解説
          1本

        記事

          補講4:中国周辺の異民族史

          スキタイ(前6世紀前後)→ユーラシア大陸の騎馬民族として最初に登場する民族。イラン系の人々で黒海北岸~カスピ海北岸地域を中心に活動。古代ギリシアとか春秋戦国時代と同じ時期。 ◎スキタイ文化 →金、青銅、鉄器などを扱う高度な文化。首長の墓(クルガン)には数多の金製品が副葬されている。 ●黄金人間の尖り帽子 →アケメネス朝ペルシア(前550年~前330年)の碑文やヘロドトスの記述にあったもの。1969年にカザフスタン南部の遺跡から発見。 ◎ヘロドトスによる記述 →『歴史』の

          補講4:中国周辺の異民族史

          映画レビュー『時計仕掛けのオレンジ』

          基本情報監督 スタンリー・キューブリック 『シャイニング』(1980) 『2001年宇宙の旅』(1968) 登場人物 アレックス・デラージ(役:マルコム・マクダウェル) 感想 1971年公開の映画『A Clockwork Orange』こと『時計じかけのオレンジ』を見ました。  露骨なまでの暴力・セックス表現(ナッドサット言葉ならウルトラヴァイオレンス)、要するに野蛮さ/人間の本能に従うような嗜虐的な悪と、アレックス出所後に家を追い出した両親や利用しようとした作家の老

          映画レビュー『時計仕掛けのオレンジ』

          テトラゾリウム浸透試験

          「テトラゾリウム浸透試験」(Tetrazolium Penetration Assay)は、生物学や生化学の研究で使用される実験的な手法の1つです。このアッセイは、細胞の生存能力や代謝活性を評価するために利用されます。 通常、テトラゾリウム塩と呼ばれる化合物(例えば、MTT、XTT、WST-1など)が使用されます。これらの化合物は、代謝活性の高い細胞内で還元されることにより、可視性のある色素または形態の変化を引き起こします。この変化は、細胞が生きており、代謝活動を行っている

          テトラゾリウム浸透試験

          Y1H assay

          ChIP-qPCR ①DNAとその領域に結合しているタンパク質(ヒストンとか転写因子とか)をホルムアルデヒドで架橋固定 ②超音波処理や酵素処理により可溶性の断片化クロマチンにする ③タンパク質に対する特異的抗体を加えて免疫沈降 ④タンパク質をはがしてqPCRすると結合量が分かる →既知のゲノム上のタンパク質結合部位でのタンパク質-DNA相互作用の有無を定量的に評価できる手法。 ルシフェラーゼレポーターアッセイ →遺伝子の発現がどれくらい活発かを数値化する方法。 遺伝子

          PCで編集したExcelがOnedrive経由だとiPhoneで読み取り専用になる問題のトラブルシューティング

          設定→Officeドキュメントのプレビューを「オフ」にすると解決しました。

          PCで編集したExcelがOnedrive経由だとiPhoneで読み取り専用になる問題のトラブルシューティング

          中国と朝鮮の自立

          中華人民共和国の動乱毛沢東の動向 ◎ソ連との関係悪化 ●中ソ友好同盟相互援助条約(1950) →建国間もない中華人民共和国は、台湾の国民党政権がアメリカの支援を受けて「大陸反攻」をうかがうという情勢の緊迫があり、ソ連も1947年3月のトルーマン=ドクトリンによって東西冷戦が明確になり、アメリカとの全面的な武力対立に備えなければならないという事情があった。 ●中ソ論争 →革命観の違い、戦略論の違い、国際政治上の意見の対立などが目立ち始めた。きっかけは1956年のソ連のスター

          中国と朝鮮の自立

          補講3:アイルランド史

          ケルト文化とカトリック文化ケルト文化 ◎ケルト人 →ローマがアルプス以北に進出する以前からのヨーロッパの先住民族。鉄器文化の段階に達しており、独自の美術様式や宗教を発達させていたが、ローマ帝国の支配を受ることによって独自性を失い、さらにゲルマン人に圧迫されたためアイルランドやスコットランド、ウェールズなどの一部に残るだけになった。  前5世紀ごろ、大陸から渡来。アイルランドに鉄器文明をもたらす。ローマでは十二表法が出来たくらいの年代。 ●ドルイド → ケルト文化における司祭

          補講3:アイルランド史

          第三勢力の台頭

          非同盟主義の新興国第三勢力 →米ソ両陣営に入らず積極的中立を主張した勢力。アジア・アフリカの新興諸国が中心。 ◎ネルー・周恩来会談(1954.4) →平和五原則の発表。「領土保全及び主権の相互不干渉・相互不侵略・内政不干渉・平等互恵・平和的共存」の5項目 ◎アジア=アフリカ会議 (バンドン会議、1955) →スカルノ大統領の提唱。史上初のアジア・アフリカ首脳会議を主催。 ●平和十原則の発表 →平和五原則に追加する形。しかし、五原則にあった「平和共存」の語句は社会主義国・

          早稲田大学-文化構想2018

          問1 ユネスコの世界遺産設問3 →ジェゼルはエジプト第三王朝のファラオ。階段ピラミッドの作成で知られ、史上初のピラミッドとされる。 設問4 ・チムー帝国 →アンデス文明の中でインカ帝国に先行して存在した国家。11世紀ごろから存在し、1450年にインカ帝国に滅ぼされる。 ・アステカ帝国 →アステカ文明期の王国。15世紀にメキシコ高原一帯を支配したが、1521年にスペインのコルテスによって滅ぼされた。    チチメカ人の一派であるアステカ族(またはメシカ人ともいう)の建てた王国

          早稲田大学-文化構想2018

          冷戦の激化と経済復興

          朝鮮戦争と軍拡競争朝鮮戦争(1950~) →北朝鮮軍のソウル占領。戦争の開始。 ●国連軍出動 →アメリカ軍主体。元々ソ連は、安保理の五大国の中国が大陸中国(中華人民共和国)ではなく台湾(中華民国)であることに対し、反抗して安保理を欠席していた。その隙を狙いアメリカは、ソ連は自ら欠席しているのだと言って、安保理で国連軍の派遣を決定した。  これによって北朝鮮軍を中国国境まで追い込む。 ●中華人民共和国、人民義勇軍派遣 →北朝鮮を支援。実質正規軍だが、それだとアメリカと戦争を

          冷戦の激化と経済復興

          冷戦の時代

          第二次世界大戦後の欧州西ヨーロッパ世界 ◎イギリス ●アトリー内閣(任1945~1951):労働党 →イングランド銀行や石炭関連など重要産業の国有化や、「ゆりかごから墓場まで」と呼ばれる社会福祉制度の充実を図る。 ●エール、イギリス連邦離脱 →アイルランドと改称 ◎フランス ●第四共和政(1946~1958) →①国民公会②二月革命後の臨時政府③ナポレオン3世後の臨時政府 →議会制内閣を採用。フランス共産党が勢力拡大 ◎イタリア ●王政廃止 →国民投票で王政が廃止さ

          第二次世界大戦

          独ソの猛進ドイツのヨーロッパ進撃 ◎ポーランド侵攻(1939.9.1) →これをもって第二次世界大戦がはじまる。強制収容所アウシュビッツの建設がこのタイミング。 ◎デンマーク・ノルウェー・オランダ・ベルギーに侵入 →「電撃作戦」と呼ばれる戦いで制圧。空軍で首都までの道を爆撃し、兵隊をトラックに積んで都に運び、占領を行った。  これら国を占領することでフランスに迫ること、それからイギリスを封じることが同時に出来た。 ◎チャーチル挙国一致内閣の発足(1940) →ドイツ軍