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30代からの友達づくり 2「夢をアテンドしてくれる存在」

3号との出会い

3号に会った。

笑顔の爽やかな男だった。メインの職業は大手の会社に所属しており営業職をしていると言う。その傍ら、自分で会社を立ち上げて社長をしているそうだ。3枚名刺を差し出され、1枚ずつ丁寧に説明してもらった。キャリアアドバイザーやSNSのコンサルをしているとのことだった。

サラリーマン名刺じゃんけん

まじまじと名刺を見る。大手クレジット会社の営業部の名刺と独立系コンサルの社長の名刺……!これはレアカードだ。コンボも狙える。酔っぱらったときに友達とやる「サラリーマン名刺じゃんけん*」で使えそうだと思った。

*カードゲーム「サラリーマン名刺じゃんけん」はバブル期のゲスな遊びなのでおすすめはしない。極道版などもあるが、いずれにしても、まともな人間がやる遊びではない。

なぜこんな人がジモティに?

僕は疑問に思ったことを聞いてみた。
「なんでジモティで友達を募集してるんですか?」
「引っ越してきたばかりで、ビジネスの繋がりはあっても普通に遊ぶ友達がいないんです」
「なるほど~」

仕事の人脈がふんだんにあっても、腹を割って利害関係なしに付き合う相手がそれほどいないとのことだった。その気持ちはよくわかる。僕も会社の同僚はたくさんいるが、気軽に誘える友達となると少ない。

本を出した話

3号は最近、本を出したらしい。その話を聞いた。ちょうど読みたかった本の種類だったし、いきなり喜ばせたかったので、3号の目の前で買ってみせた。

名刺のQRコードから情報を読み込み、Amazonの購入後の画面を見せた。3号はこのノリを喜んでくれた。笑顔が謎解きクリエイターの松丸亮吾くんみたいで可愛い。

営業を長年やっているだけに笑顔が自然だ。喜び方も素直なので、営業としての才覚も素晴らしいものをお持ちなのだろうと思う。

SNSでの人気の獲得方法や営業の仕方を教えてもらう。

それに本の出し方も教えて貰った。

社会的なミーム

僕の夢は社会的なミーム(脳内に保存され、他の脳へ複製可能な情報)を残すことだ。

文化的な情報をこの世に残せれば、僕の事を現実で忘れさられてしまっても、社会的なミームさえ残っていたら、僕は永遠に人々の中で生きることができると思っている。だから、手始めに一冊本を出したいと思っていた。

本を出すための具体的な費用や労力、手順を聞いて、久しぶりにテンションがあがった。やるべきことが明確になって頭がスッキリとした感覚があった。この感覚は久しぶりだった。

救世主

ずっとエンジニアをして、限りなく消耗してきて、この先、断崖絶壁しかないと感じて絶望していたところ、迂回路を見つけたような感覚だ。こんなの3年以上は味わっていない。

ひとりで考え事をしていると、いつの間にか袋小路に入って、同じ事をぐるぐる考えてしまう。どうにか打開したいと考えていた。いつもそういう時には、救世主が現れる。この人は、そういう人だと思った。

この心強い味方にきっかけを貰えれば、僕でも一冊、本を出す事ができるかもしれない。それは、僕の中のエンジンに火をつけるには十分すぎる情報だった。

夢をアテンドしてくれる存在

普段やってることや趣味の話もしたが、会ったのは1時間とちょっとだけだったので、それほど深い話はできなかった。

それでも濃厚な時間だった。ダレた瞬間は一秒もなく、詰まっていた。その詰まり具合といったら、老舗のたい焼きくらい、あんこがギュウギュウだった。

僕が探していたものは、孤独感を紛らわすのを助けてくれる友達だったけれど、ふとした出会いで僕の夢をアテンドしてくれる存在に出会えた。

これまで僕の夢を応援してくれる人は少なからずいたが、これまで先を走る人はそばにいなかったので、心強い味方を得たと思っている。

先立つものは金

本を出すには。お金と時間が必要だとわかった。稼いで倹約して、貯めなければいけない。それに投資でも稼がないと追いつかない。

投資の話をしたら海外の不動産の営業(美女)を紹介してもらえることになった。友達の繋がりで人脈が拡大していく。

いかにも30代らしい生き方だな、と思った。

つづく

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