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テーピング革命 Dynamic Tape 3つの特徴

  ワタシとDynamic Tapeの出会いは2015年の暮れにさかのぼります。2016年3月にテクニカ・ガビランの創始者、Gary Lang MS ATC が来日して、テクニカ・ガビラン アドバンスドコースを開きたい、ということで電話で様々な打ち合わせをしていたのですが、そんなある日、ラスベガスの空港でフライトを待っているGaryから興奮した声で電話がかかってきました。

Gary:「実は今、Dynamic Tapeのセミナーを受けてきた、これは凄いぞ」
ワタシ:「キネシオテープみたいな奴でしょ?どう違うの?」
Gary:「アキレス腱のテープだと、普通のテープでアンカー巻いて、下腿から前足部にブリッジとしてエラスチコン(伸縮性テープ)使うだろ?それ、アンカー無しで貼れて、そのまま貼りっぱなしで数日持たせられて、かつ凄い収縮力なんだ、あ、飛行機に乗り込むから、またあとで!」

当初私は、キネシオテープに類似した製品が米国市場にいくつか現れた時期でもあったので、どうせその一つなんだろう、くらいに思っていました(Ryan ゴメン)。そして翌年の3月Garyが来日して大阪でアドバンスコースを開催した際、その実物に触れることができました。

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ワタシの心の声:「え?全然違うやん。これ凄いやん、もしかしたら投球障害の肘や肩にも使えるかも!」

衝撃でした、テクニカ・ガビランの時もそうでしたが、触ってみないとわからないものですね。ただ、そのアドバンスコースでは、Dyamic Tapeを貼付した上からでもテクニカ・ガビランのようなISTM施術ができる、という特徴が説明され、いろいろとその他にもアドバンス的な内容が披露されたのですが、残念ながら、一部の受講者の方々からは

「凄いのはわかったけど、日本で売られていない商品を使って行う技術を紹介されても…」

と後でお叱りを受けることになってしまいました。まあ、この件がきっかけで、2017年、Ryan Kendrickが来日することになり、2018年に日本国内に代理店が創設されることにつながるのですが、今振り返っても少し苦い思い出です。当時お叱りを下さった皆様、ちゃんと入手できるようになりましたのでどうかお許しください。

あ、また前置きが長くなってしまいました。

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 Dynamic Tapeのここが凄い、その1:縦にも横にも伸びる

 従来の、キネシオテープに代表される、台紙からはがすタイプの伸縮性テープはその素材の制約から、縦方向には伸びても、横方向には伸びませんでした。どうしてもフィットしない場所に、浮き上がったテープを押さえつけるために交差してテープを貼ると、その部分での伸張能力は期待できなくなってしまう、大腿四頭筋の働きに合わせて幅の広いテープを使っても、膝蓋骨、膝蓋靭帯など形状的に合わない部分は、その浮き上がりを抑え込むためのテープが元のテープの伸縮を阻害する、そういうジレンマがありましたが、このDynamic Tapeは縦にも横にも伸びるので、そういった部分にフィットさせやすい、もし、浮き上がってしまう場所を別のテープで横切るように抑えこんでも、その元のテープの動きを阻害することがない。手に取っていただければすぐにわかっていただけるとは思うのですが、下の写真を参考にしてください。

テープの張力吸収能力比較

Dynamic Tapeのここが凄い、その2:圧倒的な伸び率

 縦横に伸びる素材のテープは実は他にもあるのですが、このDynamic Tapeが凄いのは、従来のテープの常識を超えた圧倒的な伸び率、例えばキネシオテープはだいたい元の長さの1.4~1.5倍に伸びるとされていますが、このDynamic Tapeは(テープとしての使用を考えないなら)2倍の長さまでは間違いなく伸びます、実はその2倍の長さを過ぎても紐状になってさらに伸びようとするのです。文章や写真、動画では伝えにくいポイントではあるのですが、実際に貼付できるレベルの範囲であれば、いわゆる「エンドポイントを感じない」状態、これがテープを貼っていても「動きを阻害されない」感覚に繋がります。

テープの張力吸収能力比較2

Dynamic Tapeのここが凄い、その3:”Visco-Elasticity”

 単に良く伸びる、というだけなら「テーピングの意味が薄れるのでは?」と思われるかもしれません、綿の靴下だって、良くフィットして伸びますものね、逆に伸びすぎって良くないのでは?とも思わるのも無理もないでしょう。ここで3つ目のポイント「Visco-Elasticity」が真価を発揮します。Visco-ElasticityとはこのDynamic Tapeの素材自体が持つ特性で、これを言葉と写真、そして動画で説明するのは本当に難しいとは思うのですが、頑張ってみましょう。

 このテープを開発したRyan Kendrickは「バンジージャンプのバンジーコードを思い出してほしい」とよくたとえに用いています。もしあのコードが伸び切ったままになってしまうと、物凄い衝撃が身体に伝わるはずです(私もバンジージャンプを経験したことはありませんが、何となく想像つきませんか?)。適度にリコイル(元の長さに戻ろうとする)ことで衝撃を吸収してくれている、形状記憶的な能力がある、というわけです。いや、従来のキネシオテープでも同じような特性があるのでは?と思われる方もおられるでしょう、まずはちょっと下の動画を見てみてください。全編英語ですが、あとで(ざっくりと、ですが)解説しますのでご安心を。

キネシオテープが伸ばされることに対して抵抗力を発揮するのは、テープが伸び切ってエンドポイントを迎えてから。それまで発生する抵抗力はゼロでした。一方、Dynamic Tapeは引っ張られ始めから抵抗が発生し、ゆっくり引っ張れば低い抵抗力で、速く引っ張ればなんと26lbs(≒11.79㎏)と、ブルーのセラバンド(動画では最大12.5lb≒5.67㎏)も超える抵抗力が発揮されています。

 キネシオテープの「伸び切ったところから抵抗が発生する」という特性を考えると、例えば筋や腱を刺激するために貼る場合は、その起始と停止部をできるだけ遠ざけた状態から、テープの張力を加減しながら貼る必要があります。例として、2015年に通訳を務めさせていただいたキネシオUSAのインストラクターの一人、Jim Wallis, MS ATCのワークショップ配布資料によると、15~20% の張力で遠位から近位に向けて貼付すると、筋に対して抑制の作用がかかり、15%~50%の張力で近位から遠位に向けて貼付することで、促進の作用がかかるとされ、そのほかにも様々な目的に応じて0から100%までの範囲で張力をコントロールする必要があるそうです。

 一方Dynamic Tapeは伸びはじめからしっかり抵抗がかかるうえに、強い入力に対しては強く、弱い入力に対しては弱く抵抗する、これらの特性を活かすには、これまでのキネシオテープの貼り方でDynamic Tapeに置き換えるだけでは効果は期待できません。上にあげた例と同じく、筋や腱にアプローチする(刺激するのではなく、実際に収縮をアシストするのですが)のであれば、その筋の起始、停止を近づけ、(素材の持つ特性によってカバーされるため)張力については神経質にならずに、といったDynamic Tape 独自の貼り方を用いることでその効果を最大限に発揮させることができます。

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 勘の鋭い方なら、もうここまでの説明でいろいろな貼り方のアイデアが浮かんでいるかもしれません。あるワークショップで参加者の方から、そしてまた別の機会で、あるベテランのアスレティックトレーナーの方からも、

「このテーピングは使う人が試される、あるいは使う人を選ぶテーピングですね」

と言われましたが、安心してください。養成校時代に学んだ運動学の知識を思い出していただいて、その患者さんの求めている動きが何か、が判ればDynamic Tape ほど強い味方はありません。それでは次回はその素材の持つ特性を説明しつつ、簡単かつ多くの方に喜んでもらえる実例から参りましょう。できればDynamic Tapeを手に取って、読んでいただければ幸いです。

購入・お問い合わせは
Dynamic Tape Japan Tel:06-6784-2280




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