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わたしの非常事態宣言〜でも悪いことばかりではないぞ(青野慶久)

この日本においても新型コロナウイルスの感染者数が増えてきて、東京都では2週連続で外出自粛要請が出たり、ティッシュやトイレットペーパーまで手に入りにくくなったり、政府がずっこけ施策を発表し続けたりする中、不安を強く感じる方が増えているだろうと推測いたします。

生活に必要な物は手に入るのか。自分や家族は感染しないか。医療は崩壊しないか。学校は休校し続けるのか。自粛要請とともに減った収入は補償されるのか。この状況はいつ終わるのか...。

先が見えない中、一人ひとりが「わたしの非常事態宣言」を発し、自分自身の心と体の健康に注意を払いながら、長期戦に備えていかねばならない状況だと思います。

私も1人の経営者として、そして3人の子を育てる父親として、日々不安を感じながら暮らしております。しかし、その一方で大きな期待をしている自分もいます。それは、この30年間ずっと変わらなかった日本の風土が、新型コロナウイルスをきっかけに変わるかしれないと感じているからです。

例えば「働き方改革」。この数年でようやく全国的な流れにはなったものの、まだ残業削減のレベルにとどまっており、多様な働き方の実現には至っておりません。ところが、コロナの影響を受けて、出勤・出張を減らさざるを得なくなり、急遽テレワークにチャレンジする企業が増えています。コロナの影響が長引けば長引くほど、テレワークをする企業が増え、そしてコツをつかんだ企業は、より高い従業員満足度と生産性を手に入れるでしょう。

サイボウズ社では10年前からテレワークに取り組み、ほとんどの職種で在宅勤務ができるようになりました。そのおかげで、コロナ問題が起きても、2月28日からほぼすべての従業員が出社せずに業務に取り組んでおります。私もすでに一ヶ月以上出社していません。メンバーはグループウェア上で徹底的に情報を共有し、一体感を持って事業を継続しています。

もちろんテレワークができない業務は残ります。しかし、リアルに人と会わないと難しいと考えられてきた多くの業務が、実はインターネットを使えば代替可能であることに気付き、日本中で仕事のやり方が大きく変わっていくでしょう。

テレワークは、移動時間や交通費などのコストを低減するだけでなく、場所による情報格差をなくすことにもつながります。どこにいても高いパフォーマンスで働けるよう情報共有が進み、業務フローや役割分担が全体最適に向かうでしょう。また、勤務時間や移動に制限がある人たちも、特に不都合なく活躍できるようになるでしょう。複業もやりやすくなり、人手不足の緩和に貢献するでしょう。

なかなか進まなかった日本企業の働き方改革が、新型コロナウイルスという意外な微生物によって、一気に進もうとしています。

また、働き方以外にも、様々な分野で大きな変化が起きるかもしれません。

私が特に期待しているのは「教育」です。パソコンやタブレットで授業を受けられるようになれば、教育の現場は一変するでしょう。授業は録画したものを使い回せるので、先生のブラックな職場環境を改善できます。子供達はコンピュータやインターネットを使うことに慣れ、実践的なIT教育ができます。また、今までの一律的な教育のやり方から、一人ひとりの進度に合わせたより効果的な学習方法にシフトしていくでしょう。無理に学校に行く必要がなくなれば、いじめ問題を減らせるかもしれません。

私からみなさんにお願いしたいのは、「コロナウイルスは悪いことばかりじゃない」と考え、新しいやり方にチャレンジしていくことです。失われた30年の間、コンピュータやインターネットは劇的に進化しました。これらを駆使すれば、日本の数々の問題を同時多発的に解決できると思うのです。

ピンチとチャンスは隣り合わせ。この困難を乗り越えた先には、もっと楽しい未来が待っていると信じています。

参考1:ホームページ「サイボウズの「テレワーク」に関する情報を公開します」(ハッシュタグ「#サイボウズにテレワーク相談」でツイートしてください。可能な限りお答えいたします。)

参考2:日経新聞の記事「在宅勤務「嘘ない組織」で成果 サイボウズ青野慶久社長」(テレワークを成功させるための組織作りについてインタビューに答えました。)

エッセンシャル・マネジメントスクール西條代表、さくらインターネット田中代表とともに、「わたしの非常事態宣言 − でも悪いことばかりではないぞ」プロジェクトを発足しました。一人ひとりが自律的に、かつ連携しながら困難と向き合い、そしてピンチをチャンスに変える取り組みを広げていければと思います。みなさんもぜひハッシュタグ「#わたしの非常事態宣言」でポジティブな発信をお願いいたします!

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