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人材業界出身者から人材業界で働く人へのエール

人と会社の関係を結びつけるものが組織だとした時に、
組織の在り方をどうしたら良いか、多くの人と会社は模索している。

組織の在り方が過渡期を迎えている今。
人と会社の双方にとって理想の組織を作りたい。

これからは第三者としてだけでなく、自分も当事者として理想の組織づくりに没頭したい。

これが25Holdingsの日本事業立ち上げから加わる前、2019年12月頃に考えていた私の想いであり、それができると感じたのが25Holdingsに加わった私の理由の1つ。(ちなみにもう1つは藤田と働きたいということ)

あれから1年2ヶ月ほどが経過。
事業としてはまだまだこれからですが、1つ確信を持ったことがあります。
どこかで時間をつくってアウトプットしておこうと思っていたのですが、何かと慌ただしい日々を過ごしていたので今になってしまいました。

きっかけは学生時代の友人である西村アキラとclubhouseで話すことになったこと。

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学生時代からあつくるし・・・いや、志高く行動をしていた彼とはかれこれ16年ほどの付き合い。数年ほど前から私は日本酒が好きになったのがそのきっかけを与えてくれた友人でもあります。

clubhouseで話そうとなったきっかけは、彼のインタビュー記事「たった一人の採用が「会社の文化と成長スピード」を決定づける—カケハシ人事・西村晃に聞く、一人目人事の見つけ方」が素晴らしくてFacebookでコメントし盛り上がったこと。

せっかく話をするのであればその準備もかねてアウトプットしようと思い、書き始めたのですが、実際書き終えると、なんだか人材業界で働く人へのエールのような文章になりました。

医療従事者へのエール。自分的にはあんなイメージです。
コロナによって雇用周りでも大きな変化が起きています。未来への不安はぬぐいきれない中で、働く一人ひとりをサポートする人材業界。そこで働く人が今の仕事によりやりがいを感じる。その後押しになれば有難いです。

人材業界で得られる2つの糧

25Holdingsで働いて1年が過ぎ、確信を持って言えることは、「人材業界出身者はスタートアップやベンチャー企業などの小規模な会社の人事に向いている」ということ。
(小規模な会社に限定する必要はないかもしれませんが、私が2021年2月現在で確信を持って言えるのが小規模な会社であるということです。)

その理由をお伝えする上で、まず人材業界の構造をお伝えします。

人材業界の企業は、多くの企業や求職者、従業員を支援します。
1社のみ、1人のみを支援することは基本的にありません。

そのため、営業の場合、より多くの企業を見た上で目の前のクライアント企業に向き合うことができます。
例えば、業界や従業員規模、企業の成長ステージ、地域、カルチャーなど様々な違いを踏まえて組織のゴール(誰を採用するか、どんな社員を増やすかなど)を設定し何を伝えるべきかを感じ取ることができます。

え?人材の営業やってるけど、そんなことできてないですって?大丈夫。私もそうでした。
尊敬する上司や社外の先輩にご指導いただくことでできるようになりました。ポイントは事前準備です。困った時この人に相談してください。
といっても相談はしにくいと思うので発信されている内容がおすすめです。
ジャンプ株式会社 代表取締役 増渕さんのブログ
株式会社プロジェクトデザイン 代表取締役 福井さんが定期配信されるメルマガ

キャリアアドバイザーの場合、営業で記載した内容が企業ではなく求職者と置き換えられます。バックグラウンド、年代、価値観など様々な人がいることを踏まえた上で、その人に最適な企業や職種、環境がどこかを考えお伝えできます。

え?キャリアアドバイザーだけど、求職者に向き合いたいのに目標との葛藤があって向き合えていないですって?それは本当に悩ましいですよね。
そのあたりは、構造の問題だと思うのですが、困ったらミライフの佐藤さんのスクールに参加するのが良いんだと思います。
株式会社ミライフ 代表取締役 佐藤さん

また、人材業界の会社としては、新卒、中途、派遣、教育と幅広くやっていたとしても事業部として分かれているため、そこで働く人としては採用なら採用、育成なら育成と何かしらの領域の中で、多くの企業や個人と向き合うことができます。

「何かしらの領域の中で、多くの企業、求職者に向き合える」というこの構造が、結果的に2つのことが身につきやすいと感じます。

1つ目は、客観的に見て考える癖が身につく
2つ目は、専門領域を深められる

個人的には、この客観的に企業や求職者を見れることと専門領域を深めることができること。この2つは人材業界にいる人間として、人事になった時に大きな糧になると感じます。

なぜ「客観的に見て考える癖」が糧になるのか。

まずは客観的に見て考える癖が身についている点について。

人事になると、最初の仕事としてやりやすいのは自分が専門にしていた領域です。

私であれば採用。もっと絞ると新卒採用でしたが、そこが中途採用になったところでその違いを理解できていればベースの考え方は一緒ですので問題なく推進しアウトプットを出すことができます。

求人サイトを見ると、よくこういった打出しを目にします。
「オフィスがきれい、裁量権がある、リモートワークで働きやすい、社員が仲良し」
こんな万人ウケすることを言っても仕方がないわけですが、不思議とアピールしてしまう。言うなというわけではなく、そこを初期接触のフックにしてしまう。

なぜ、そんなようなことがなぜ起きてしまうのか。
それは、ターゲットが見えていないからです。
採用ではうまくいっていない要因の多くは、「誰が採用ターゲットなのか」、「そのターゲットに何を訴求したら良いのか」がわからないことです。

ターゲットが見えていない。これは2つ考えられます。

1つは、組織ビジョンが見えておらず、どういう役割やカルチャーの人が自社に合うかがわからないパターン。西村晃先生の言うところの、経営者とシンクロできていない状態です。これは人材業界出身関係なく、がんばるしかないです。

もう1つは、知っている人種の幅が狭いということ。
どうでしょう?少し想像してみていただければと思いますが、どんな業界や企業規模の企業にどんなことをやりがいにして働いている人が多いか。想像することができますでしょうか?
この時に短い時間で想像できる幅が広いのが人材業界で働く人の糧になります。

そして採用すべきターゲットを描けた時に何を伝えるのが良いのか。
自分の良さは自分ではわからない。ということがるように、その会社で働く人にとって自社の良さとは気付きにくいものです。感じていたとしても他社との比較ができない。できてもその比較の社数が少なくなります。
しかし、人材業界での働いた経験があれば、採用すべきターゲットに対して伝えるメッセージも考えることも短い時間でできる。これも貴重です。

なぜ「専門領域を深められること」が糧になるのか

次に専門領域を深められる点について。

「経営コンサル出身者が起業しても最初はつまづく」という話があるように、人材業界で深められる専門性は、人事の領域のごく一部です。

例えば、私は採用支援をどっぷりとやってきました。
素晴らしい組織をつくる上で、素晴らしい採用をすることはとても重要ですが、素晴らしい採用をするだけでは、素晴らしい組織をつくることはできません。・・・なんだかわかりにくいですね。
採用だけでは素晴らしい組織はできない。ということです。

ご存知の通り、人事には採用以外にもたくさんの役割があります。育成、配置、評価、労務、総務などなど。
これらをミッションや行動指針などの元、一貫性あるものにしていき、自社らしい強い組織をつくっていくことが求められます。

では、人材業界での専門性が人事の一部であれば意味がないではないかと感じるかもしれませんが、そうではありません。
たくさんある役割の中で、1つでも専門性を持つことができていればほかの領域を深く考える時間を取れるわけです。

ここでいう、専門性といえるだけの状態は「まるで呼吸するかのように考えることができる」そんなイメージです。
その領域であれば、どんな状態でも課題を整理し施策の方向性を短い時間で深く考えられるレベルです。

私の場合、採用に関しては一般的な人が考えるよりもかなりのスピード感を持ってやるべきことを考えることができます。そのため、育成や配置、評価、労務などまだ自分の経験としては浅い領域を深く考える時間を取ることができます。なんでも突き詰めると他の分野でも通じる考え方が見つかるように、採用も突き詰めていると、育成や配置でも対象や役割は変わっても考え方は通じるものがあると気づくこともできます。

スタートアップの新規参入にも考え方は似ているかもしれません。最初はニッチな領域で尖って入り、その後じわじわと広げていく。

そんな展開をする上でも、自分の領域にフォーカスして幅広い会社や個人を支援できる時間は人材業界にいる人の特権だと思います。

人事ではない職種を経験していたことも糧になる

ここまでをふまえると、何もスタートアップやベンチャーなどの小さな組織に限らないではないかと感じる方もいるかもしれません。

ここまでのところはおっしゃる通りです。
スタートアップやベンチャーなどの小さな組織に限った時、もう1つ大きな糧になることがあります。

それは人事ではない職種を経験していたという事実です。

小さな組織の場合、組織の状態が良い状態になれば、人事としての仕事はボリュームとして減っていきます。

例えば、良い人を採用し、活躍し続けてくれている状態があれば、定期的な1on1を実施はしますが、必要以上の採用活動をする必要はありません。
働きやすい職場をつくることができていれば、今後の陣容拡大に向けた新たなオフィスやリモートでの働き方をふまえた働きやすい環境に対するアンテナを貼る必要はありますが、急いで何かを探す必要はありません。

その時に、会社としてやるべきことは「あとはビジョンの実現に向けて突き進むべし」なわけです。
ビジョンの実現に向けて、何が必要か。組織の一員としてやるべきことは、もしかしたら営業かもしれないし、インサイドセールス、マーケティング、エディター、カスタマーサポートかもしれない。

では、そこに対して新たな人を採用すべきかと言うと人件費が増えてしまう。業務委託?外注先?それも違う。
配置転換か?小さな組織の場合、全員が兼務だから意味が少ない。
育成プログラムでも行うか?むしろ現場の仕事をやる方が能力開発につながっている。

では、どうすべきか?と考えると、自分がやるべきなことも多かったりします。自分がやるからには、人件費は増えないですからね。

つい昨日まで人事だった自分。でも思い返すと自分は営業だった、キャリアアドバイザーだった、メディアの編集をしていたなど、今度はその経験を活かして別の顔になれる。

これが人材業界出身者が、人事以外の職種の経験をした事実が大きな糧になる理由です。

実際私は、入社してから人事以外に、商品の輸入、自社ECに掲載する記事の編集、商品撮影のカメラマン、最近では自社ブランドを扱っていただける他社への営業なんかもしています。

その職種をやってしまったら人事に戻れないかもしれないじゃないか!と思ったとしても大丈夫。
もしその職種がうまくいったのであれば会社は伸びていますので、自分の後任を採用するか社内から抜擢、副業の人を採用、外注などなんでもできます!

むしろ現地現物。現場の仕事をすることで、より事業や仕事に対する理解が深まり、人事業務をやるときの解像度が上がる訳です。

以上が、「人材業界出身者はスタートアップやベンチャー企業などの小規模な会社の人事に向いている」と考える理由でした。

・様々な企業や個人を知っているからこそ自分たちが増やすべき人や伝えるべきメッセージをはっきりさせることができる。
・人事全般からするとニッチな専門性があるからこそ、人事全般の専門性を深めていくことができる。
・人事以外の職種を経験したからこそ、自分の顔を変えることができる。

これまでの話をふまえると、西村晃大先生のインタビュー記事でいうと、COOタイプになり得るのは、私は人材業界出身者だと思っています。

とはいえの話

とはいえ、という話もありますので、最後に。

当然ですが、人材業界にいるだけでは意味がありません。
人材業界のミッションであるクライアント企業の組織の発展と、支援する求職者や社員の活躍に向き合う。これが大前提としてできている必要があります。表層的ではダメです。

そこの営業のあなた!
一見すると顧客の課題を解決していると思っているかもしれませんが、自社が解決しやすい課題の優先順位を華麗な営業トークで上げて満足しちゃってませんか。
本来解決すべき課題はなんなのか。相手の視点に立ち、時には他社サービスを紹介するくらいの姿勢でいきましょう!

そこのキャリアアドバイザーのあなた!
一見すると、キャリアの相談に乗れていると思っているかもしれませんが、自社のクライアントへの採用決定を優先していませんか。
その人のキャリアを想い、自社のクライアントだけでなくどういう環境が良いのか。時には今いる会社や環境で成果を出すためにはどうしたらよいかを共に考える姿勢でいきましょう!

じゃあ新治、お前はできているのか!
と言われると自分のことは棚に上げてお伝えしていることも正直ありますが、私はこれまで社内、社外の上司の方達に上記のことを厳しく、時に優しく指導いただけたからこそ今の自分があると心から感じています。

私自身もまだまだですが、大好きな人材業界への感謝と今も人材業界で働く同士の人へのエールの気持ちで書かせていただきました。

先行きが見えない時代。これがこれからのスタンダードなんでしょう。
雇用を創り、雇用を支え、仕事を楽しめる社会をつくる。
そのために人材業界が果たす役割はとても大きいと思います。

良い仕事をし続けましょう!
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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