【昔話】初対面なのに信用されすぎて、逆に怖かった話
たまに昔話の投稿をします。
今回は20代の頃のバイクネタ。
信用されすぎて、逆に怖かった話です。
ホラーな話ではないですよ。
(※見出しの画像はフリー素材です)
昔、バイク関係のホームページを作っていた
インターネットが急激に広がった1990年代の後半頃だったか。
世の中の、ちょっと先進的な人は、ITが得意かどうかに関わらず、猫も杓子も「個人ホームページ」の開設が流行りました。
私も面白いもの好き、新しいもの好きだったので、早速ホームページを作って、日記的ページやツーリングレポートなどを、こまめにアップしていました。
最初は友人たちしか見ていなかったのが、徐々に全国のバイク乗りの人たちに広がり、メールやコメントが来るようになって、牧歌的で楽しい時代だったと思います。
日本一周娘から連絡来た
ある日、バイクで日本一周に挑戦しているという同年代の女性から、「もうすぐそちらの近くを通るので会えないか」というメールが来ました。
ホームページの読者さんのようでした。
ちなみに、出発地点は東北、こちらは四国です。
なかなかびっくりな体験ですよね。
でも、面白そうなので、すぐさま「OK!」の返信をしました。
当時は、今ほど個人情報にはうるさくなかった時代。
日記のほか、写真も結構アップしていたので、見ている人にとっては、私のことは「よく知った人」だったのかもしれませんね。
連絡では、ちゃんと本名も名乗ってくれて、文面も丁寧だったので、まあ信用してもいい相手だろう、と判断していました。
そもそも、バイクに乗り始めて何年もの間、数多くの見知らぬツーリングライダーと接してきて、「同類」の雰囲気、空気感は分かります。
その日を楽しみに待っていました。
そして数日後――
「近くまで来たよー」という連絡が来ました。
(うわ、ほんとに来たよ・・ww)
当時、私は小さなワンルームマンションで一人暮らし。
広い道路沿いだったので、目印を伝えて家の前まで来てもらいました。
後ろにでっかい荷物を満載したバイクなので、すぐに分かります。
そして、無事にご対面できました。
相手は私を(ネット上で)ご存じですが、こちらはもちろん初対面です。
ただ、初めて会った気はしなくて、すぐに打ち解けた感。
しかし。
あいさつをした後、どれほども話をしないうちに、耳を疑うことを言い出したのです。
「今から家に帰るんですけど。飛行機で」
「・・・・・は?」
予想外の展開に、なかなか理解が追いつかないぞ。
「詳しく、、、く わ し く」
よくよく聞いてみると、バイクで日本一周チャレンジをしているが、途中で地元の友人の結婚式に参加するため、一時帰省するらしい。
で、その間、バイクと荷物をここで預かってほしいのだが大丈夫か?と。
なんという大胆不敵。
初対面だよ?
信用してくれるのはありがたいが・・。
逆に、他人をそこまで信用していいのか?と怖くもなり。
ヤバい人じゃなかろうかと構えてしまいましたがな。
でも結局、思わず「いいよー」と言っていました。
その後、貴重品や必要最小限の荷物だけをまとめ、私の車で駅前の高速バス乗り場まで送ることになりました。
一緒にご飯を食べていろいろ話し、空港バスをお見送り。
しばらくの間、荷物満載の他人のバイクを、部屋のドアの前に停めたまま暮らすことになったというレア体験でした。
人を信用する嗅覚
今の時代なら、他人の「人となり」を知るには、SNSが一番手っ取り早いのでしょうね。
当時は、まだSNSというものはありませんでした。
個人ホームページが、最も自己開示に役立っていたツールだったのかな。
同類の趣味を持つ仲間意識で、世界が一気に広がった感覚がありました。
それに、「ネカマ」や「なりすまし」といった、オンラインでは全くの別人格というプレイ?も、ほとんどなかったと記憶しています。
こういう土壌があって、初対面であっても「信用できる」という裏付けが取れていたのだと思います。
それにしても、初対面かつ異性の家に、大事なバイクとほとんどの荷物を何日間も預けるというのは、今考えると常軌を逸した大胆行動ですよね。
これくらいの思い切りがないと、ソロで日本一周なんてできないのかな。
家賃4万円台のワンルームでしたが、一応オートロックにはなっていて、基本的に住人以外は気軽に入れない建物でした。
住人は、自転車やバイクもオートロックの中に停められるようになっていたので、その点は少し安心でしたね。
なんとか守り抜きました。
後日談
結局、10日後に再会し、無事に旅に送り出すことができました。
ただ、完全なる日本一周(全都道府県制覇)は達成できなかったらしく、「日本一周ならず娘」と呼ばれるようになりました。
その人は、毎年夏になると北海道に渡るということで、数年後、今度はその人のバイク仲間の人たちと一緒に、北海道ツーリングをご一緒したり、東北ツーリングの際に会ったり、といった交流は続きました。
時はたち、現在それぞれ家庭を持つ身になっても、たまーに連絡を取ることもあります。
直接お会いするのはなかなか難しいですが。
現代は世知辛い世の中ですが、無条件で他人を信用するというリスクの高い行動でも、リスクを取ったからこそ得られた大きな財産と言えます。
時代は違えど、これもホームページという情報発信をしていたからこそですね。
いろいろ面白いことは起こるものです。
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