(株)アクシオンテクノロジーズの個人投資家向けプレゼン資料を公開
自己紹介とまえがき
どうもはじめまして。吉田拓史です(写真左)。インドネシアと日本で記者と編集者をした後、サブスクニュースアプリのAxion(アクシオン)というプロジェクトを2017年9月に開始しました。2019年4月に法人化し、目まぐるしいほどの紆余曲折を経て、現在に至っています。
トライアンドエラーを繰り返した結果、プロジェクトの有望さは2019年春頃に示すことができました。しかし、資金調達に課題がありました。私と日本のベンチャー界隈の相性が悪かったのです。
日本のエコシステムの規模は米国の2%未満であり、他の先進国や新興国と比較しても小さな規模にとどまっています。ここでは小規模のIPOとM&Aが主要な出口戦略であり、ステークホルダーの間でのゼロサムゲームの様相を呈しています。様々な情報収集の末、少なくとも「私が」日本の既存システムのなかで現代的なテクノロジー企業を作ることはほぼ不可能と結論づけました。
こうなったら自分でシステムをつくってしまおう、という考えに最終的に至りました。やり方はシンプルです。日本のエコシステムが担当してきた部分を個人投資家からの資金調達で代替することです。今回の個人投資家ラウンド以降は、企業や海外投資家から資金を調達しようと計画しています。
投資要件と現況
ということで、このブログを読んでいる皆さんに株式会社アクシオンテクノロジーズへの出資を募ります。●7月19日改定始め●1口50万円。最大20口。今回が最後の個人投資家ラウンドの予定です。事前の数回のプライベートラウンドで15口が予約済み(2021年5月13日現在)で払込、登記手続き中。今回申込いただく投資家の方の契約書締結、払込プロセスは開始は6月1週以降となります●7月19日改定終わり●→筆者注(2021年7月19日現在):引き合いが多くあるため、秋から冬にかけて再度、個人投資家ラウンドを予定しております。それまでビデオ会議による事業説明や投資の予約を受け付けています。このブログを読んで興味を持たれた方や詳細な説明が必要になった方はTwitter(@axion_zone)、メールアドレスのyoshi(アットマーク)axion.zone にぜひご連絡をいただけると幸いです。
弊社にはすでに個人投資家の投資を受け入れてきた経緯があり、増資の法的な手続きに関しては十分な知見があります。
ウェブアプリ、ニュースレター、ポッドキャスト、会社報告用のYouTubeチャンネル、モバイルアプリのプロトタイプ(利用サービスの障害で表示されない可能性があります)はリンクをたどってください。
プレゼン資料はこちらからダウンロードできます。また、プレゼン資料の説明は動画でも行っています。
1. 現代のニュース消費の課題
まず、現代のインターネットニュース消費の課題について触れてみましょう。デジタル広告はクリック数や表示数を評価するので、安かろう悪かろうのコンテンツの伝播を促進します。人種差別やフェイクであっても人の関心さえ買えれば儲かります。
大手テクノロジー企業は広告ビジネスで競争をしていますが、それは可処分所得の獲得競争につながっています。競争の結果、サービス提供者は利用者の認知や心理をついて、中毒状態にしようとする技巧を進化させてきました。これは利用者側にとっては有害なことがあります。さらにモバイルとSNSの普及は、悪意の攻撃を行う国家、組織、企業、個人にとって搾取可能な攻撃経路を生み出しました。有名なケンブリッジ・アナリティカ事件だけにとどまらず、世界各国で世論誘導を図ったり、不安定化工作を行ったりする例が積み上げられています。
2.解決策
現行の仕組みは利用者の関心をフックするセンセーショナルな情報(フェイクでも構わない)を流通させ、広告がユーザーの眼球に写されることを目的としています。これのせいでユーザーは陰謀論やフェイク、低品質情報への過剰な露出にさらされています。これを解決するためには、仕組みとその目的を変えることです。私はユーザーの幸福を最適化することを目的とした新しいニュース消費を提案し続けてきました。
3.ニュース消費の変遷
ニュース消費はポータルサイトからSNSへと移ってきました。PCからモバイルへと人々が普段遣いするデバイスが多様化していることも、この変化を加速させました。ポータルには低品質コンテンツの問題が常につきまとい、一部ポータルのコメント欄は百鬼夜行の状態です。SNSはポータルのローテクな運用とは異なり、推薦(レコメンド)でユーザーとコンテンツのマッチングを改善し、ターゲティング広告を当てるという発展を遂げたが、前述したとおり、しばしば社会不安に大きく関与している可能性に注目が集まっています。欧米でも2016年にケンブリッジ・アナリティカ事件を通じてこれらの状況への関心が高まり、次のニュース消費のあり方が模索されているのです。
Axionが提案するのはレコメンドとサブスクの組み合わせです。広告の薄利多売から、サブスクの厚利少売への移行は、利用者の幸福のためのコンテンツのレコメンドを可能にします。そして、高品質コンテンツへの報酬を確実にすることで、プラットフォームを通じて得られるユーザーの本質的な対価は一気に増進するでしょう。
4.市場規模
Total Available Market (TAM) , Served Available Market, Total Marketは以下の通り。後述しますが、日本ニュース産業はデジタル化の際に効果的なビジネスモデルを作り損ねており、少なくとも1兆4,000億円市場を失いましたが、私はそれは救出可能だと仮定しています。また市場には主要なニュースアグリゲーションサービスが4つありますが、それに関連する収益を足し合わせると、3,574億円になります。私は、これらのサービスが、もともと高かった出版物販売を、安いデジタル広告価格で代替し、現在の市場規模に圧縮された考えております。広告売上は広告主の予算によって規模が制約される性質があるからです。裏返すとこれはサブスクリプションモデルにとってはポテンシャルと言えるでしょう。
5.なぜ今やるか? 市場の歪みをつく
日本では、広告市場で非デジタルからデジタルへの市場の移転が置きました。しかし、新聞販売、出版物販売の市場は、デジタル側での受け手がうまく設計できませんでした。多くの場合、インターネットのフリーミアムの中に溶けてしまったと言えるでしょう。これらのデジタルメディア体験は広告によって収益化されているものの、デジタル化による市場の縮小が起きています。
6. 新聞・出版ビジネスはデジタルで再現可能
しかし、私は日本のデジタルコンテンツ消費には潜在性があると考えています。日本の新聞ビジネスを例に取りましょう。日本の新聞は生活必需品の地位を持っていました。その利用者はおおむねロイヤルカスタマーであり、購読者の77.9%が10年以上前から購読を開始している。新聞の平均購読期間は14.6%と非常に長い。このような利用形態をインターネット上で再現することができれば、非常に大きな市場を見つけたことと同義です。
7. デジタルコンテンツとサブスクは好相性
Netflixはレンタルビデオをビデオストリーミングのデジタルサブスクに転換した。SpotifyはCDの衰退と違法コピーが蔓延し、衰退していた音楽業界を組成させています。フェイク、扇動、不安定化工作、カルトが跋扈する現代のインターネットニュース産業でも同じシナリオが起きることは用意に想像できるでしょう。
8. 製品の特徴:ニュース産業のiPhone
Axionはニュース産業に不在である、高品位のプロダクトを開発するプロジェクトです。それはニュース産業のiPhoneやテスラを作る、と言い換えられます。
我々はAxionを数ヶ月使うだけで、他のプロダクトでジャンクニュースを読むのに比べ、長期的な人生の豊かさ、知性の発達、心の健康を得ることができます。月額1,000〜6,000円で広告のない滑らかな体験を楽しみ(我々はフリーインターネットの中で驚くべき数の広告を目にしています)、厳選されたコンテンツに出会い、フェイクや扇動、陰謀論のようなインターネットのリスクを排除し、毒性のないレコメンドを使うことができます。
9. モバイルアプリのUI
AxionのモバイルアプリのUIは以下のようになる予定です。ビジュアルを重視した直感的な現代的なデザインとなっています。ポッドキャストや動画も楽しめるでしょう。
10. コンテンツの構成と料金体系
コンテンツは基本的に外部調達が95%を占め、デジタル経済と定義するジャンルについては内政しようと考えています。外部調達が首尾よく行かない場合やNetflixのように内製に利得を見出した場合、内製の比率を高める可能性があります。マイクロソフトやテンセント、ソニーが世界中のゲームスタジオを買収・出資していることからも分かる通り、コンテンツ製作部門は単なるコストセンターではなく、コンテンツビジネスの価値創造の源泉です。ニュースコンテンツの制作費は映画や音楽と比較すると安いことや、単に広告を買うよりも高品質のコンテンツを配信する方が効果的であるケースがしばしばあります。また、後述しますが、私は自分の経験から現行の10倍程度効果的な編集部を作ることができると確信しています。
11. ビジネスモデル
Axionはサブスク収益の60%をコンテンツを提供するメディア企業に分配し、残りの40%をもらいます。Spotifyとほぼ同じ収益分配のあり方です。これは既存のニュースポータルやニュースアプリが行っている分配と比較すると、破格の条件であり、合理的な経営マインドを持つ会社は、Axionと取引するようになるでしょう。
12. 従来型より10倍効果的な編集部
私はメディア業界で10年近いキャリアを積んできましたが、過剰な分業、年功序列を基にした多層型の業務プロセス、生産性の低い長時間労働などの課題が見受けられます。また、現代の科学技術の進歩に対し、科学にバックグラウンドを持たない人材に偏重した組織構成をしているため、結果として読者や視聴者が現代から置き去りにされるのを助長しています。
私は10倍効果的な編集部を作れると確信しています。多重下請けシステムではなく、ジョブに適合した実力者による疎結合型組織でハイエンドコンテンツを作ります。従来型の記者・編集者の定義にしばられず、情報流通を適正化するという目標のためなら、データサイエンス、自然言語処理、機械学習、OSINT、計算社会科学等、使えるものは何でも使います。
13. プラットフォームの流動性ネットワーク効果
Axionのプラットフォームでは、流動性ネットワーク効果 (Liquidity Network Effect) が重要なファクターになると私は睨んでいます。コンテンツの流動性はユーザーの効用を増やすことと深い関係があります。その興味関心とその人の幸福を前提としたレコメンドによって、コンテンツをパーソナライズするには、良いコンテンツが多数集まっている必要があります。
Axionはメディア企業に6割の収益分配を約束しており、これがコンテンツ提供のインセンティブとなります。メディア企業が提供(①)したコンテンツは、レコメンドによって適切に配分されるためユーザーの効用が高まります(②)。その結果、より多くのユーザーを呼び寄せ(③)、より多くのサブスク収入がもたらされます(④)。そして、より多くのメディア企業が参画する(⑤)ことになるでしょう。この①〜⑤までの循環を繰り返すうちにコンテンツの流動性がましていき、ビジネスの規模もそれに相乗するでしょう。
14. 課金可能性の高い利用者群
2020年1〜11月にかけて実行したユーザーテストの結果、20−40代の男性を中心とした富裕、専門職、高リテラシーのいずれかを伴うユーザー層が形成され、彼らが仕事や学習のために長い時間を消費してAxionを利用している事がわかりました。再訪問を繰り返す熱心なユーザー1万2,000人がおり、彼らにより便益を提供できれば、有料購読を行う可能性が高いと判断しました。
これは通常のニュースサイトに集まる数秒から数十秒程度記事を読んで、別の場所に移る、脊髄反射的なユーザー行動とは対照的で、Axionが提案している「ニュースのiPhone」としての価値を意味しています。
15. 試験の結果、ビジネス機会を証明
できる限りノイズが混じらないようにした、興味関心の一致する凝集性の高いユーザークラスタを形成し、ユーザーの行動を分析した結果、先行する経済系ビジネスメディアと同様の有料購読ユーザーの獲得可能性が高いと判断するのに十分でした。このような凝集性の高いクラスタを、類似性のあるクラスタをマッチングしていくなどのさまざまなユーザー拡張方法が想定できます。
あとは、コンテンツを増やし、マーケティングするためのお金があればいいということです。
16. 18ヶ月間のゲームプラン
現在、ユーザーと製品の適合性が確認できています。また、有料購読とアグリゲーション機能はAxionのウェブアプリケーションにすでに実装されています。次の18ヶ月は以下の通りですが、昨年12月に策定した18ヶ月の計画は今年の3月までに終えてしまったので、今回も前倒しとなるかもしれません。十分な資金が得られれば、投資が加速するため、その可能性は高くなります。
従業員は吉田1人とし、フリーランスの方と組みながら最初の8ヶ月は進めようと思います。しかし、外部コンテンツの獲得のための営業や本格的なソフトウェア開発が必要となる最後の10ヶ月には、従業員数を増やす方向にシフトすることになるでしょう。最初の1ヶ月を個人投資家から資金調達に当てるとして、もしかしたら、その後1年以内に機関投資家/企業の投資を募るラウンドを計画するかもしれません。すべて流動的な状況次第ですが。
17. 18ヶ月で黒字化にメド
今回の個人投資家ラウンドで2,000万円を調達したと想定してシミュレーションを行いました。楽観、ベース、悲観の3つのシナリオを定義しました。私はこれらを外部コンテンツを迎え入れてからの有料購読者の月次成長率、10%(楽観)、5%(ベース)、0%(悲観)、で設計しました。
12ヶ月目に一時的に黒字化の兆候を示しますが、そこから、コンテンツ提供者への収益分配のコストと人件費が増し、一時は残キャッシュは600〜794万円のレンジまで減りますが、購読者の漸増により再び黒字化に近づいていきます。有料購読者の規模の拡大のペースは次第に増していきます(15ヶ月目以降)。
18. 資本政策(ファイナンス計画)
今回の個人投資家ラウンドで最大2,000万円を調達します。株式市場への上場時には現在から100倍の時価総額を目指します。その途中で増資を繰り返すため、50%の希釈化を見込んでいます。結果、5〜6年後の期待リターンは100*0.5 = 50倍を想定しています。これはあくまで目標ですが、プロジェクトが針の穴を通してうまく言った場合はこの程度のリターンが見込めるという目安です。
19. 本ラウンドの募集
1口50万円。最大20口。今回が最後の個人投資家ラウンドの予定です。事前の数回のプライベートラウンドで15口が予約済み(5月13日現在)で払込、登記手続き中。今回申込いただく投資家の方の契約書締結、払込プロセスは開始は6月1週以降となります。
次回以降のラウンドは、機関投資家と企業をおもにその対象とします。今回が個人投資家向けは最後となります。
20. 取引条件
- 静かな株主になってもらうこと
- 反社会勢力ではないとお互いに表明すること
反社の定義は難しいところですが、株主が反社と断定されてしまうと資金調達や上場が難しくなってしまいます。静かな株主になってもらうのは事務コストの圧縮と機関投資家の参入のための環境整備のためです。
21. 取引のフロー
取引に関してはこのようなフローで行います。投資意思を示していただいた際には、第三者割当増資のプロセスを開始します。契約の締結から登記簿記載の確認まで、1ヶ月程度かかります。
22. 創業者のプロフィル
吉田拓史を創業者にする利点:多面的なスキルでこのプロジェクトにフィット。国際経験豊富で、事業を東南アジア・インドに拡大するのに向いています。メディア・コンシューマインターネット・フィンテックで創業者にするべき人物としては日本の中では群を抜いています。詳しくはこちら。
もう少し話を聞いてみたい方、少しでも興味を持たれた方はZoomでミーティングでより詳細な資料を使った説明を行っています。 Twitter(@axion_zone)、メールアドレスのyoshi(アットマーク)axion.zone にぜひご連絡をいただけると幸いです。皆さんのご連絡をお待ちしてます。
※訂正:2021年5月13日午後5時27分、募集のサイズを25口から20口へ変更。
※よくある質問(FAQ)と回答はこちら。