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Vol.11_『その計画、頓挫します…』

長年、会社施策について『どうして計画通りにコトを進めようとしないんだろう』『どうして言ったことをやろうとしないんだろう』『どうしてやり始めたことを終わらせようとしないんだろう』といったことを思ってきました。

会社でのポジションが上がるにつれて、そういった事象が階層の高いところでもごく当たり前に横行しているのを目の当たりにし、ますますその思いを強くするようになりました。

今日は、企業の経営者やマネージャーに焦点を当て、計画がなぜ頓挫するのか...、私が思う『計画が頓挫する4大要因』についてお話ししたいと思います。

※貼り付けた写真はドライブに行った先々で写したものですが、特に意味はなく、本文とはなんの関係もありません。


要因1.重要性の認識

計画とはなにか?については様々な定義があると思いますが、最近読んだ本でピッタリな定義があったので紹介します。

目的・目標を実現するために構想を練り、その構想を具体的にするために必要な段取りや手順を考えること。「計画力」を強くする(講談社、加藤昭吉著)より

計画の重要性をここで説くつもりなど毛頭ございませんが、計画なんぞしなくても仕事は目の前に山ほどあるという状況が、その重要性をあやふやにし、おろそかにさせていると感じます。

しかし、マネージャーの仕事は目の前にある仕事をさばくことではなく、戦略を立て、組織をマネジメントしながらそれを実行し、設定した目的・目標を実現すること、即ちご紹介した『定義』に書かれている事が仕事ですから、本来は計画が無いところにマネージャーの仕事はない...

そういう役割と絡めての計画の重要性について、マネージャー自身が認識不足であり、それがいい加減な計画作成に繋がり、そのため計画が実行されないままに頓挫してしまう、のではないかと思います。

いっそのこと『いかにきちんとした計画を立て、成果に結びつけたか』という計画立案実績もマネージャーの評価に入れてほしいと思うくらいです。(ダメかな...。いや、いいかも)

要因2.合目的的活動

マネージャーは部門の責任者なので、『結果(成果)が重要...』とはよく言われますが、正確に言うと『どのように結果(成果)を出すかが重要...』ということ。この事をよく理解しておかないと、当初の目的や目標を横に置いて、とにかく数値に結びつく動きに飛びつくといった安易な動きを採ることになります。

企業には単に売上・利益を上げるという施策だけではなく、市場を攻略したり、他社との差別化をしたり、あるいは将来の業界動向などの理由で、事業構造、商品構成、ターゲット等の変化を狙った施策もありますし、人材育成や生産性向上など組織領域の取り組みもあります。

このような活動は、売上額や利益額といった最終結果だけを見ていると目的を見失いがちで、目的を見失った活動が計画通りに遂行されることなどあり得ません。行き先を失った活動は途中で力尽きて止まってしまうしかありません。なんのためにやっているのかもわからない活動をコツコツと続けられるほどのお人好しはそうそういないものです。

『合目的的活動』をどのようにマネージャーに浸透させ継続させるのかも、経営者にとってはとても重要なことで、常に目を光らせておかなければなりません。

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要因3.計画を立てるスキル

要因1.2.はどちらかと言うと姿勢や意識の問題ですが、そもそも計画を立案するスキルが無いので実効性のある計画が立案できず、そのため重要性の認識がしにくくなり、目的を見失いやすくなる...そういうこともあるなと思います。

このスキルは案外と難易度が高いというか奥が深いというか...

マネージャーは上位方針や全社戦略を受け、自部門の強みや弱み、保有戦力や職場環境、ターゲットや商品構成などなど、様々なことを踏まえて自部門の戦略や施策を考えなければなりません。

そして、戦略の実行にはどういった準備が必要なのかをピックアップし、それらを目的や目標に到達するまでの「段取り・道のり」として、実行のステップとともに適正に構成・配置する、、、つまり『プロセスを構築する』ことが重要になります。

こういったことをするには、事実を把握し、その事実を解釈し、解釈に基づいて行動を考える、という論理的思考も必要だし、様々な準備や対策を的確に行うということからは全体を俯瞰して見る力、それらを道のりとして繋げて目的・目標に到達させるということからはストーリーを構成する力などなど、必要スキルを上げるとキリがありません。

既にこういったスキルを習得した社員をマネージャーに登用するのが一番良いのですが、中小企業ではなかなか簡単にはいきません。実際にはマネージャーになってから実践の中で習得していくということになるでしょう。時間のかかるトレーニングですから、『頓挫しない実効性のある計画を立てる』というのは非常に難題であると言えます。

要因4.進捗管理する執念

どんなに重要性を認識していても、目的を明確にしていても、実効性のある計画を立てていても、忙しい日常の中ではどうしても計画がおざなりになってしまうものです。

もう中小企業のマネージャーなんて、上からは報告求められるし、下からは問い合わせがあるし、クレーム対応もせんならんし、顧客とのお付き合いもあるし、新人にはまだまだ手がかかるし...嵐のような毎日を過ごしているものです。

そんな中で「あの施策の進捗はどうかなぁ...」なんて思考が働くわけがありません。ということで、この進捗管理は経営者が主体的にしなければならないと私は思います。

マネージャーに嫌がられようが、煙たがられようが、不満に思われようが、そこは『経営者の役割』と考え、突っ込んでいかなくてはいけないと思うのです。

そして、進捗管理が習慣化されるくらい執念で継続する...この取り組みが弱いために計画が頓挫してしまうケースが多いのではと感じます。頓挫するのはマネージャーの責任というよりも、むしろ経営者の責任とすら言えるように思います。

期末に振り返りを行う企業が多くありますが、頓挫した計画について経営者からマネージャーに叱責・指摘する、あるいはマネージャーの評価を下げる、ということはあっても、経営者自身が『進捗管理を適正に行えなかった...』という反省は聞いたことがありません。

この経営者自身の役割意識の低さが、計画の頓挫を招く最大の要因だと私は見ています。

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まとめ

計画を立てるのは面倒だし、どうせ計画通りにいかないし、自由に動けるほうが素早く対応できるし、結果は出しやすい、と考える人は多いかも知れません。しかし、計画がなければ実行の振り返り・評価が難しくなります。

振り返り・評価が難しくなれば、場当たり的な活動に終始して、組織の成長は止まり、将来の発展が難しくなります。計画を頓挫させてはいけないのは、これが一番の理由だと思います。

頓挫する要因を冷静に見定めて、対応していくことが組織にとって大変重要な活動だと思います。

え?私?
もちろん、チクチクチクチク杜撰な計画を指摘して、ギャーギャー口うるさく進捗状況の把握をしております。そして、経営者に成り代わって、マネージャーから嫌がられ、煙たがられ、不満に思われてます!(笑)

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