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駐在員の自分は「現地社員から信頼されるだろう」という甘い幻想から目を覚ます

こんにちは。よしです。コロナ禍の最中、「今をどう乗り切るか?」に奮闘していにも関わらず、来年度予算作成時期であり、「予算をどう乗り切るか?」にも頭を悩ませている今日この頃です。。。

さて、今回は「現地社員から信頼を得たい」と思っている駐在員の方々に向けて、メッセージを発進したいと思います。

現地社員は駐在員のあなたを信頼するか?

海外経験が長くなってくると「現地社員といかに信頼関係を構築しているのですか?」という質問を受ける事があります。聞いている側の意図も良く分かります。早く現地社員と信頼関係を構築出来れば、そのメンバーと一緒に力を合わせて海外の困難な仕事に対応していけるだろうとの意図があるのです。そのような人には酷な一言になるかもしれませんが、まずは

“自分は信頼してもらえるという幻想から目を覚ます”

必要があります。これはあくまで私のような「駐在員」という立場の人間の話ですので、現地採用の方や現地の起業家として海外ビジネスをしている方には当てはまりませんので、その点はご留意下さい。

さて、話を戻すと「駐在員」には初めから不利な点があります。それは「駐在期間」というものです。現地社員も馬鹿ではありませんので、駐在員に2年や3年の駐在期間が存在するのは理解しています。そんなフラッとやって来た期間限定の駐在員に対し、人間性が良いからという理由だけではじめから心を開き、信頼してくれるような現地社員は残念ながらいません。

逆を考えてみると分かると思います。フラッと期間限定で外国人が日本にやって来て自分の上司になったと仮定し、その人を最初から信頼できるでしょうか?私は出来ません。しかも自分の希望地は別の国だった事をほのめかしたり、同じ外国人同士でばかりでつるんでいるのを見聞きした現地社員はどう思うでしょうか?決して嫌いにはならないと思いますが、同様に信頼もされないでしょう。

そう、最初から“自分は信頼してもらえる”というのは「幻想」であり、駐在期間のせいで最初から”あなたは信頼されにくい”という不利を抱えているのです。

海外で信頼してもらう為には「理」が8割、「情」が2割という事実

では、駐在期間中「信頼」が得られないかと言うと、そうではありません。「信頼」の獲得方法が少し異なるところがあると思うのです。それを「理」と「情」の2側面で考えてみたいと思います。

「理」で得られる信頼について

現地社員が働く中で一番重要視しているのが「お金」、つまり給料です。私が駐在経験したシンガポール、ベトナムそしてタイでも優秀な人であればある程「ジョブホッピング」が盛んで、その都度給料がどんどんアップして行きます。

ジョブホッピングしていない人でも給料には敏感で、日本人のように

「給料が低くても今の仕事にはやりがいがあるので、僕は大丈夫っす!(^_^)v」

みたいな事は言いません。やりがいもあって、良いパフォーマンスを発揮すれば、皆昇給をしっかり要求して来ます。

そうです、現地社員がお金に敏感だからこそ、私たち駐在員もまずは彼らの給料にきちんと向き合わないといけないのです。

「それは人事の仕事」と言わず、少なくとも自分のチームメンバーの給料は把握しておき、それが市場平均と比べてどうなのか、平均を下回るようであればそれは彼らの能力の問題なのか会社のビジネス状況が左右しているのか、きっちり分析し説明できるようになっておかなければなりません。場合によっては自分から人事に確認し、メンバーの給料交渉などを事実に基づいて行う必要があります。ここを更に片手間でやると「信頼」は間違いなく得られませんが、ここを真剣にやると「信頼」への一歩は間違いなく踏み出せます。
(以下参考。実際には業界・役職により給料範囲は全く異なります)

メンバーの給料に関与できる立場でない駐在員に関しては、もう一つ大事な「理」が存在します。それは「仕事で圧倒的な力を見せる」に尽きます。

現地社員は給料もそうですが、勿論自分自身の「自己成長」を望んでいます。自己成長なくしてジョブホッピングも出来ません。できてもあるところで頭打ちになります。ですので、その現地社員が「この人と一緒に働いていたら自分も自己成長出来る」と思わせる程「圧倒的な力を見せる」必要があるのです。

駐在員として選抜される程ですから、1つや2つの専門分野があると思うので、それを確実に現地に落とし込むのは勿論、駐在後も誰よりも努力してどんどん力をつけて行けば良いのです。そんな姿は必ず現地社員も見ていますし、こちらもノウハウを伝えて行くことで「信頼」は深まって行くと思います。

端的に言うと、現地社員に「あなたと働く事の意味」を知ってもらうのです。とは言え駐在員も最初から何でも出来るという事はなく、逆に出来ない事のほうが多いと思います。そんな時でも果敢に立ち向かって、自分も現地社員も自己成長出来るような環境作りが出来れば信頼構築に必要な土台が間違いなくできます。頑張っているあなたの姿を見た現地社員から応援され、それはいずれ信頼へ昇華されて行きます。(*現地社員からどうしたら応援してもらえるかは以下のブログ参照)

「情」で得られる信頼について

さて、ここまで「理」について話して来ましたが、最後「情」についても触れておきたいと思います。給料や仕事など「理」を通じての信頼醸成が海外では大半を占めると思うのですが、かと言って「情」で信頼醸成が出来ない訳でもありません。とは言え、日本のように

「俺はお前に心底期待しているぞ!このプロジェクト任せたぞ!」

「はい、部長の為にも頑張ります!期待しててください!」

みたいに飲み会の席から生まれそうな信頼は極めて少ないのです。ここでは冒頭説明した「駐在期間」を逆に利用し、以下のような言葉を現地社員に向けて、体重乗っけて言えるかどうかが肝となります。

「駐在期間が決められているからこそ、私は○○ということをこの期間内に成し遂げたい。そしてこの〇〇を皆と一緒に成し遂げたい!」

究極的には駐在員が何をミッションに駐在しているか、駐在員自身がそれを確実に把握しているかがポイントであり、それをちゃんと自分の言葉で現地メンバーに伝えられるかどうかなのです。これが伝えられれば、短期間というのは逆に利点となり、その短期間で一緒に何かを成し遂げたメンバーとはとてつもない強固な信頼関係を構築する事が出来るのです。そう、「理」ではなく「情」で人が動き信頼が醸成されるケースも勿論存在するのです。

書きながら久しぶりに自分の言葉に体重乗っけて話してみようかという気分になって来ました。昔書いた以下のブログも参考になれば幸いです。

「理」と「情」の使い分け。これからしっかり学んでいきましょう。


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