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本帰国した駐在員は、なぜ会社を辞めようと思うのか?〜本帰国し、1年半が過ぎて思う事〜

こんにちは、よしです。アッと言う間に2022年が終わりを迎えようとしています。本日は恒例になっている部屋の大掃除を行いましたが、捨てようと思った箱を整理していると、2005年に今の会社に入社した際の「採用内定通知書」が中から出てきて驚きました。17年間箱の中に眠っていたかと思うと、少し感慨深いものがありました。

さて、2022年もアッと言う間でしたが、私も海外から本帰国しアッと言う間に1年半が過ぎました(本日時点で1年8ヶ月目)。本日は「本帰国した駐在員は、なぜ会社を辞めようと思うのか?」という少し突っ込んだテーマについて書いてみたいと思います。

✔︎Only oneからOne of themへ

海外駐在を経験した人が本帰国後会社を辞めてしまうという話は、良く聞く話だと思います。社費留学で海外MBAを取得した人が帰国して辞めてしまうのと同じくらい良く聞く話ではないかと思います。
さて、その第一の要因ですが、ズバリ「Only one」から「One of them」へ変わってしまう事だと思います。

海外駐在を経験し、そこで活躍していた人程、現地では「Only one」の存在であったと思います。勿論、赴任先の役職や役割で多少の差はあれど、希少な日本人駐在員という立場で重責も負い、かつ日本側との架け橋の役割も担っていたと思うので、現地メンバーからの信頼も厚かったと思います。まさに「Only one」の存在として、ダイナミックな仕事に対峙すべく孤軍奮闘していたのではないでしょうか。

一方、日本に本帰国した際には特別なポジションが用意されていない限りは、“それなりのポジション”に配置され、周りを見渡せば同じような年代の同じような役職、役割の人達がテキパキと仕事をしており、帰国直後というのもあり、自分がいなくても仕事が回っていく環境下に置かれ、なんとなく自分が「One of them」になった感が強くなります。海外にいた時のような大きな裁量権もなくなり、ダイナミックな仕事に奮闘していた緊張感がフッと緩んでしまうと同時に、そこに物足りなさを覚えてしまうのです。

✔︎業務も人間関係も「ふりだしに戻る」

第二の要因は双六で言うところの「ふりだしに戻る」状態になる事です。海外駐在をしていたからといって、帰任先が海外業務のみの部門とは限りません。例えそうであっても、日系企業特有の業務が人に紐づいているケースが多く、各自のJob Descriptionもないので明確な自分の役割や、自分と一緒に仕事するメンバーの仕事がなかなか見えて来ません。海外のわかりやすいレポートラインに慣れていた体質もあって、日本の「関係性重視」の仕事のやり方が引き起こす縦・横・斜めのレポートラインの存在、そしてそこから受ける仕事になかなか慣れず、誰がキーパーソンなのかを理解するだけでも多大な労力を要します。且つ、そのキーパーソンと自分自身が関係性を構築していくのには更に時間がかかります。一度「レポートラインでもないのに、なぜあの人の仕事を受けるんだ?」と質問をした時に「大学の研究室の先輩なんです」と返された時には本当に驚きました。

加えて、自分が駐在期間中にあげた仕事の実績を知る人も日本では限られており、「自分が何者か」を相手に理解してもらうのも更に時間がかかります。自分が海外駐在期間中、「誰が日本で実績をあげていたか」を余り知らないように、日本側の相手も「誰が海外で実績をあげていたか」は知らないものです。

駐在期間が長かった人程、業務も人間関係も「ふりだしに戻る」状態となり、それらをまたゼロから積み上げていく必要があるのです。ゼロから積み上げるのであれば、それは別の会社でも良く、今の会社にいることのアドバンテージが減少すると思うのです。

✔︎「日本文化」という逆異文化への適応

海外駐在したての頃は海外の「異文化」に適応するのに相当苦労したはずなのに、駐在期間を経てすっかりその「異文化」が心地よくなっているケースがあります。上司であってもファーストネームで呼び合う仲となったり、会議に少々遅れても誰も気にせず、アフターファイブで残業をするメンバーも少なく、家族との時間を大事にする人が多く、無用な飲み会にも誘われません。服装や髪型も人と違う事が「個性」と受け止められ、尊重されます。

日本はどうか・・・。フラットな組織やカジュアルな社風の実現はまだまだ日系企業どこも道半ばではないでしょうか?やはりあちらこちらに忖度が見られ、外を見てきたから余計に「日本文化」という逆異文化の異質さに気づき、その適応に今度は苦労する事になるのです。

本人だけならまだその逆異文化に適応の余地はあるかもしれませんが、意外と家族(特に子供)が面食らうケースが多いと思います。そんな逆異文化に本人や家族が再び適応する事が難しい場合も、また日本を離れ海外で仕事できるようにと新たな環境を探す結果につながるかもしれません。

✔︎会社を辞めるか辞めないかを決める前に

さて、上記「本帰国した駐在員は、なぜ会社を辞めようと思うのか?」の理由の一部を、私が本帰国して1年半日本で仕事した経験も踏まえて書いてみました。勿論、理由は人それぞれでしょう。ここではふれていないですが、サラリーなどの待遇面でも海外駐在を経験し、ある程度実績を残していれば良いオファーを受けるケースもあります。それに加え、より責任があり、よりダイナミックな仕事を行える環境を与えて頂けるケースもあるでしょう。そんなオファーを受ければ今の会社を辞めて、新しい環境で挑戦したい気持ちにも駆られるでしょう。

ここまで書いておいて何やら自分が次のステージにチャレンジしそうに受け止められるとどうしようかと思ってしまいますが、私自身は本帰国をして1年半経過後も実は1mmも今の会社を辞めようとは思っていません(笑)。上記書いた事は私も本帰国後感じた事なのですが、「あ〜、こういう気分で元・駐在員って会社を辞めようと思うんだろうな・・・」と感じたので、忘れないうちにズラズラと書き留めておきました。このような事は駐在員を経験していないとなかなか感じる事ができないと思った為です。

私は「One of themになったけど、日本でもOnly oneになるにはどうしたら良いか考えよう」「業務も人間関係もふりだしに戻ったけど、新たな業務と出会う人に興味を持って、楽しめば良い」「日本文化という逆異文化も改めて日本人として向き合えば良い」と色々ポジティブに考えております。このようにポジティブに考えられるのは、今一緒に働くチームメンバーや上司・先輩・同僚が自分の事を理解してくれ、ある意味好き勝手に色々させてくれている現在の仕事環境のおかげだと感謝しています。

細かい事を言えば色々ありますが、会社を辞めるか辞めないかを決める前に今の環境で自分が出来る事にしっかりフォーカスする事がやはり重要ではないかと思います。2022年に、OMOROIメンバーとOMOROI仕事が出来た事に感謝し、2023年もOMOROIことにチャレンジしていきたいと思ってます。そんな事をしていれば、また海外に挑戦するような機会も近い将来やって来ると思います。




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