見出し画像

ChatGPTで企業の財務諸表を分析させる方法(テンプレート付)

Chat-GPTは、OpenAIが開発した大規模な自然言語処理のモデルであり、様々なタスクに使用されます。今回は、Chat-GPTのWeb版を使用して、財務諸表から経営状況を分析してみました。


Chat-GPTのWeb版の簡単な使い方

Chat-GPTのWeb版を使用するには、OpenAIのWebサイトにアクセスし、登録をおこないましょう

登録に必要な情報は下記のとおりです

  1.  メールアドレス

  2. 氏名

  3. 電話番号(SMS認証に使用します)

ログインできるようになると、下記のようなチャット画面が表示されます。
下のフォームに質問を入力し紙飛行機のボタンを押すとChat-GPTからの応答が返ってきます。

ホーム画面
会話例


⚠️注意事項

当アカウント発信の情報に基づいて投資・経営判断等を行い、損失が発生した場合でも、当方は一切の責任を負いません。
また、ChatGPTが発信する情報は常に正しいとは限りません。出力結果に対して鵜呑みはせず、必ずご自身で真偽を判断いただくようお願いいたします。
投資にはリスクが伴うため、投資判断は自己責任でお願い致します。

AIに財務諸表を分析してもらう

次に、Chat-GPTのWeb版を使用して、日立の財務諸表から経営状況を分析してみました。いくつかコツが有るのですが、まずは単純に質問してみましょう。

Q:日立の財務諸表から経営状況を分析して
A:ここでは、日立製作所の財務諸表から経営状況を分析してみます。

まず、財務諸表から重要な指標である財務比率を計算し、日立の経営状況を分析してみましょう。

1. 収益性指標
収益性指標は、企業の収益性を測る指標です。代表的な指標として、営業利益率、純利益率などがあります。日立の収益性指標を見てみましょう。

日立の営業利益率は6.1%であり、純利益率は3.7%です。営業利益率が低いということは、コストや費用の増加が売上高の伸びに追いついていない可能性があります。一方、純利益率が低いということは、税金や減価償却費用などの費用が増加している可能性があります。

2. 財務安定性指標
財務安定性指標は、企業の経営安定性を測る指標です。代表的な指標として、流動比率、自己資本比率などがあります。日立の財務安定性指標を見てみましょう。

日立の流動比率は1.5倍であり、自己資本比率は23.5%です。流動比率が1を下回るということは、流動資産が短期借入金に対して不足している可能性があります。自己資本比率が低いということは、負債比率が高くなっている可能性があります。

3. 投資効率指標
投資効率指標は、企業の資本運用効率を測る指標です。代表的な指標として、総資本回転率、固定資産回転率などがあります。日立の投資効率指標を見てみましょう。

日立の総資本回転率は0.56倍、固定資産回転率は0.57倍です。総資本回転率が低いということは、投下資本に対しての売上高が少ない可能性があります。一方、固定資産回転率が低いということは、固定資産の活用効率が低い可能性があります。

4. 株主還元指標
株主還元指標は、企業が株主に対してどれだけ配当や自社株買いなどの形で還元しているかを測る指標です。代表的な指標として、配当性向、自己株式保有比率などがあります。日立の株主還元指標を見てみましょう。

日立の配当性向は30.4%であり、自己株式保有比率は1.6%です。配当性向が低いということは、企業が配当に回す余裕があることを示しています。一方、自己株式保有比率が低いということは、自社株買いを積極的に行っていない可能性があります。

以上の指標から、日立の経営状況はやや不安定な状態にあると言えます。収益性指標や投資効率指標が低く、財務安定性指標もやや不安定な状況にあることが分かりました。ただし、配当性向は比較的高い水準にあり、株主還元には力を入れていることが伺えます。

このように詳しく財務諸表を分析能力はありますが、回答の再現性がなかったり、観点がバラバラであることがしばしばあります。また、上記の例では完全に財務諸表が創作されています。

(2023.4.1追記)
また、ChatGPTは学習データから偽の財務諸表を作る可能性があるため、実データに基づいた解析が必要が必要となります


これらを是正するChat-GPTの質問に下記4点の工夫をすることが重要です

Tips①:視点を定める

どのような視点で分析してほしいか、事前にインプットすることで、回答の再現性をある程度高める事ができます。

Tips②:期間を定める

分析したい期間を質問文に定義しましょう。
明示的に示さない場合、前年度末のみが分析対象となります。財務諸表は年度内だけでなく、過去からの推移を確認することが重要です
ChatGPTに提示するデータを必要な期間のみに絞っても良いです

Tips③:役割を定める

Chat-GPTのコツとして、Chat-GPTに専門家としての役割を与えて命令すると、ポイントを押さえた回答を得ることができます。

Tips④:実データを添える

Chat-GPTのデータの出典は不明で、実データなのか、学習に基づいて生成されたものなのか、区別する事ができません。そのため、質問に実データをそれることが一番安全です。今回の例では財務データはIR BANKより入手しました。

(2023.4.2追記)
実データを手動でまとめることが難しい場合、自動で取得するツールを作成しましたので、よろしければご使用ください

(2023.5.15追記)
プログラミングに抵抗がある方向けに、上記データ収集プログラムと同様の機能を持ったGoogleChrome拡張機能を作成しました。よろしければご活用ください。

上記を押さえた上で質問を行った回答を下記に示します。
実データベースの解析となっており、また要点を抑えた回答が得られています。

【分析結果】

・流動比率:2018年度から2022年度にかけて、流動比率は減少している。特に2021年度と2022年度は低下が著しい。これは企業の流動性が低下していることを示唆しており、将来的な資金繰りのリスクがあることを意味する。

・当座比率:2018年度から2022年度にかけて、当座比率は上昇傾向にある。ただし、2022年度は前年度に比べて低下しているため、今後の推移に注意が必要である。

・営業CF対流動負債比率:2018年度から2022年度にかけて、営業CF対流動負債比率は低下傾向にある。特に2022年度は前年度に比べて大幅な低下が見られる。これは企業の流動性の低下に起因しており、将来的な資金繰りのリスクがあることを示唆している。

・売上高総利益率(粗利益率):2018年度から2022年度にかけて、売上高総利益率はやや低下傾向にある。特に2021年度と2022年度は低下が著しい。これは、原材料費や人件費などのコストが増加していることを示唆しており、将来的な利益の低下が予想される。

・売上高営業利益率・売上高純利益率:2018年度から2022年度にかけて、売上高営業利益率はやや低下傾向にある一方、売上高純利益率は大きく変動している。特に2019年度と2020年度は極端に低い水準であり、経営の安定化に向けて改善が必要である。

・ROE・ROA:ROEは2018年度から2020年度まで低下しているが、2021年度からは改善傾向にある。一方、ROAは2019年度から2021年度まで低下傾向にある。いずれの指標も、将来的な収益性の向上が求められる。

・売上高販売管理費比率:2018年度から2022年度にかけて、売上高販売管理費比率はやや増加傾向にある。特に2021年度と2022…

なお、Chat-GPTの回答には600文字程度の文字数制限があり、これ文章が途中で途切れた場合は「続けて」とお願いすると、続きの回答を得ることができます

財務分析テンプレート(2023/4/1更新)

以上を考慮し、質問文のテンプレートを下記のように作成してみました。

ここから先は

1,085字

¥ 500

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?