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「THE TEAM 5つの法則」を読んで

田端大学の課題図書に上がっていたこと、個人的にチームのエンゲージメントに関しては非常に興味があったため読んでみたところ、非常に参考になる内容だった。良書。

「人間やり始めて35年ほど経っている私」からすると、「言われてみれば確かに、そういえばそうだよね」と思えるほど人間の本質を突いた法則が述べられている。
しかしながら、そして恥ずかしながら、「この本を読むまでは気にも留めていなかった」人間の本質を突きつけられ、自分がいかにチームを意識していなかったかを理解させられた。

そうした内容を納得させる上で特徴的なのは、
教科書的な理論や机上の空論ではなく、自組織も含めた経験がふんだんに書かれており、それらに裏打ちされる説得力があるからだろう。
特に、著者の自組織での失敗談などが後半に描かれているが、「あぁ、こんなチームあるよな・・・」と共感するとともに、その組織を愚直に変えていくプロセスも納得感が持てる。

Aim、Boarding、Communication、Decision、Engagement、どの法則も外してはいけない重要な要素であり、チームで仕事する人間であれば、リーダーでなくとも読み、都度読み返すことが必要だと思う。

以下、ネタバレを含む読書メモである。

序章
• チームの法則は、「Aim(目標設定)」「Boarding(人員選定)」「Communication(意思疎通)」「Decision(意思決定)」「Engagement(共感創造)」の5つから構成される

第1章 Aim(目標設定)の法則
• 共通の目的がない集団はチームではなく、グループ。ただおしゃべりをしている集団は、共通の目的がなく、チームとは言えない。
逆に、共通の目的さえあればそれはチームであり、目的はチームにとっての必要条件である。
• 「目標を確実に達成する」ということもいいチームではあるが、それ以上に大切なのは「目標を適切に設定する」こと。どうすれば目標を達成できるかの前に、どのような目標を設定するのか、を定めることにより力を注ぐべき。
• 目標には主に3種類がある。
「意義目標」:日本のチーム力を上げよう
「成果目標」:10万部売る
「行動目標」:チームの法則を事例を使って分かりやすく伝える本を作る
• 3種類のうち、意義目標に近いほど、メンバー間のアイデアが生まれてブレークスルーが生まれやすいメリットがあるものの、逆にメンバー間でやや行動レベルの認識に差が出てしまうことがありうる。
• また、メンバーのレベルによっても効果的な目標が異なる。(自ら考えて動くことができるか否か)

• 過去は、行動目標による設定が主流だったが、仕事が高度化しスピードが増す中で、行動目標では成果を出しにくくなった。そこで、MBO(Management by Objectives)の考え方のもと、成果目標が重視されるようになった。
しかしながらMBOも世の中の変化スピードに対応しきれず、意義目標に移行してきている。(OKR=Objectives and Key Results)
• OKRはObjectives=実現すべき目的や意義を立て、そこからKey Results=創出すべき成果までを目標設定する手法。目的や意義達成のためのKey Resultsは柔軟に変更することが可能。

Episode
• 従来パフォーマンスの低かった新幹線の清掃員たちの意義目標を「新幹線劇場のキャストとして、お客様に感謝感激を与える」こととし、成果目標に「7分でお客様に温かな思い出を持ち帰っていただく」としたことで変わった。
姿勢や掃除の効率性だけでなく、個々人が現場目線で新幹線劇場を盛り上げるアイデアを提案するようにもなった。
Action Checklist
• そのチームの活動の意義が明確になっているか?
• そのチームの創出すべき成果が明確になっているか?
• そのチームは推奨している行動が明確になっているか?
• そのチームでは活動の意義と創出すべき成果、推奨している行動が適切に接続されているか?
• あなたはそのチームが活動する意義、創出すべき成果、推奨されている行動を日常的に意識できているか?

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