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COVID-19、アメリカの主要宗教の破綻

(The Epoch Timesから引用)アメリカで全国放送されているラジオ・トークショーの司会者、デニス・プレーガーのレポートです。

この2年間、アメリカ史上初めて、アメリカ人は、基本的自由の一部あるいは全面的に奪われ続けている。それは、集会・言論・信仰の自由であり、生計を立てたり、子どもの教育を受ける権利、致死的なウイルスに対する早期治療へのアクセスなどである。アメリカの半数、特にエリートたちが、こうした自由の剥奪を容認や支持している事実があり、多くのアメリカ人が、自由社会としてのアメリカの将来を憂慮する所以である。
さらに懸念されるのは、アメリカの偉大な宗教、特にカトリック、プロテスタント、モルモン(末日聖徒)、そしてユダヤ人の反応である。政府は非合理的な(また反宗教的で非倫理的な)命令を出しているが、ほとんどすべての教会とシナゴーグがそれに従ったことである。
これらの教会やシナゴーグは、COVID-19が若者にとって事実上何の脅威にもならないにもかかわらず、学校を閉鎖してしまった。宗教的・世俗的な学校の閉鎖や屋外であっても子どもたちにマスクをつけさせることによって、多くの子どもたちが指数関数的に傷ついている。この負の影響はCOVID-19による影響よりはるかに大きい。
この影響の大きさは、アメリカの関連データだけでなく、スウェーデンの現状と比較することによっても明らかである。スウェーデンにおいては、16歳以下の子供のために学校を閉鎖したことはなく、COVID-19で死んだ生徒や教師は一人もいないのである。
スウェーデンの医師たちは、2021年2月に『New England Journal of Medicine』誌に発表した書簡の中で、次のように書いている。「スウェーデンでは学校や幼稚園を開放していたにもかかわらず、SARS-CoV-2パンデミック時に学童や就学前の子供たちであった人たちの間で、重度のCovid-19の発生率が低いことがわかった。1歳から16歳の195万人の子供のうち、Covid-19、MIS-C、またはその両方の症状を持ち、ICUに入院した子供は15人で、これは13万人に1人に相当する・・・・。Covid-19を持つ子供で死亡した者はいない」。

(註)MIS-C(Multisystem Inflammatory Syndrome in Children:小児多系統炎症性症候群):変異株の流行に伴いアメリカで症例が急増。MIS-Cは新型コロナ感染から2~6週間の間に発症するとされる。心臓や肺、腎臓、胃腸などの臓器のほか、脳や皮膚、眼球など全身のさまざまな部位で炎症が起こり、下痢や発熱、発疹、心不全などの症状が起こる。最悪、死に至ることがある。最近、MIS-Cを発症した子供の99%が新型コロナにも感染していたという報告もあり、発症メカニズムの解明が急がれている。

最近、一部の教会やシナゴーグで、「礼拝出席のためには、5歳の子どもにも予防接種を受けさせなければならない」と信徒に告げたところがあった。長期的な安全性のデータがないCOVID-19ワクチンを幼い子どもたちに接種することは不道徳であり、特に子どもたちがウイルスに感染する危険性がない場合には、なおさらである。しかし、ほとんどの教会やシナゴーグ、牧師、神父、ラビはそれを強く要求している。
アメリカの宗教指導者や組織の多くが、羊のような振る舞いをしていることを考えると、問題は「なぜ」なのか、ということである。
其々の宗教には、共通とみられる回答と異なる答えの両方が考えられる。前者の理由は、ほとんどの宗教団体や指導者が世俗的な団体とほとんど区別がつかなくなってしまったことです。教会やシナゴーグに通うことを除けば、ほとんどのキリスト教徒やユダヤ教徒は、世俗的なアメリカ人と同じように考え、行動している。
COVID-19については、ほとんどの宗教指導者が、世俗の指導者と同じように怖がっている。恐怖に関する、アメリカ人の間の唯一大きな違いは、宗教家と世俗家の間ではなく、右翼と左翼の間である。保守的で無宗教のアメリカ人が、リベラルで無宗教のアメリカ人より怖さを感じていないのと同様、保守的な聖職者はリベラルな聖職者よりも怖さを感じていない。ここで疑問が生じる。「宗教は人々をより賢く、より良く、より勇敢にするのか?それとも、宗教は信奉者を、ただいい気分にさせるだけの存在になってしまったのだろうか?」
クリスチャンについていえば、新約聖書には、「世俗の権威に従え」という戒めがある。最も有名な箇所を引用すると、「すべての人は、権威あるものに従わなければならない。なぜなら、神からの権威以外に権威はなく、存在する権威は神によって制定されたものだからである。ですから、権威に逆らう者は、神が定められたものに逆らい、逆らう者は裁きを受けるのです」(ローマ13:1-3)。
モルモン教徒には、さらに別の問題がある。彼らは聖書に従うだけでなく、末日聖徒の指導者にも従うことを期待されている。末日聖徒イエス・キリスト教会のトップは大管長会で、大管長会は3人の預言者で構成されており、彼らを通して神が語られると考えられている。従って、忠実なモルモンは、大管長会の発表を神の言葉として受け止めている。
2021年8月12日、大管長会(会長は驚くなかれ医師)は声明を発表した。「私たちは、個人が予防接種を受けるよう促します」、「皆が医学専門家と政府指導者の賢明で思慮深い勧告に従うならば、この戦争に勝利することができます」と述べている。
モルモンは、一般的にアメリカの宗教団体の中で最も社会的・政治的に保守的であるため、彼らの多くは 「医学専門家や政府指導者の勧告」を 賢明で思慮深いとは考えてこなかった。非モルモンの保守派の多くがそうであるように、モルモンの保守派の多くは医学の専門家や政府の指導者のほとんどを、思慮がなく、賢明でもなく、頻繁に腐敗していると見なしている。
では、これらのモルモンはどうすればよいのだろうか?ブリガム・ヤング大学の出版物「デイリー・ユニバース」は、ハンナ・コルビーというモルモン教徒の女性の言葉を引用し、「私は、大管長会と対立しているが、ネルソン総裁が神の預言者であることを知っている」と述べたということだ。同紙は、コルビーが緊張関係をどのように解消したかは明らかにしていない。
クリスチャンは、新約聖書の「世俗の権力者に従え」という戒めに取り組む必要がある。1930年代、ドイツのキリスト教の牧師や教会の大多数はそうしていた。ローマ13章に照らして、彼らは正しかったのだろうか、間違っていたのだろうか?仮に、アメリカ(そして西洋の他の国々)の世俗的権力者の不合理で自由を破壊する命令が、真面目なキリスト教徒に対して、「キリスト教徒は、常に政府に従うべきなのかという問題に直面させた」ならば、それはCOVID-19から派生した数少ない良いことなのかもしれない。
そして、ユダヤ人、そしてほとんどすべての非正統派(そして少なからぬ数の現代正統派)のシナゴーグが、世俗的権威の不合理で不道徳な規則に従うようになった理由は何であろうか。
一つの明白な答えは、非正統派ユダヤ人の多くが左派であることだ。そして左派は恐怖の中に生きており(COVID-19、地球温暖化、受動喫煙、飛び込み台、その他諸々)、その恐怖を和らげるために、あらゆる自由を破壊する用意がある。いずれにせよ、自由は左翼的な価値観ではなく、リベラルな価値観であるが、ユダヤ人であろうとなかろうと、ほとんどのリベラル派は、現在左翼を支持している。
シナゴーグをはじめとするほとんどのユダヤ人組織が疑うことなく従順である理由は、あまり明白ではないが、2つあると思われる。一つは、ユダヤ人は医者を偶像化する傾向があるということ、もう一つは、ユダヤ人は 「専門家」に疑うことなく従う傾向があるということである。正統派でないユダヤ人にとっての「専門家の言葉」は、正統派のユダヤ人にとっての「主の言葉」なのである。もちろん、「専門家」に疑問を持たずに従うことは、ユダヤ人以外の多くの人々にも特徴的であり、実際、ほとんどの高学歴の人々に特徴的なものとなっている。しかし、ユダヤ人はたまたまアメリカで最も教養のある民族・宗教集団である。
しかし、不合理で違憲な政府の命令に逆らった人々のうち、不釣り合いな割合で宗教的なアメリカ人がいたことは事実である。アメリカの宗教生活の悲劇は、勇気のない宗教家が指導的立場に集中していることである。
2021年9月、15年連続(2020年を除く)で、私は、約400人のユダヤ教ハイホリデー礼拝を、マスク不要、予防接種不要で担当した。他のシナゴーグでも同じことができたはずだが、ほぼすべてのラビとシナゴーグの理事会は、怖くて従順すぎてできなかった。もちろん、カトリック、プロテスタント、モルモンなど、ほとんどの教会で同じことが言える。あまりに怖くて。そして、不合理な命令に従順すぎる。
その代償は、宗教指導者の弱さを人々が徐々に理解するようになることだろう。そして、もう一つの代償を払うことになる。教会やシナゴーグを(正当な理由なく)長い間閉鎖しておくことで、信者の多くが戻ってこなくなるかもしれないのだ。もし聖職者が、私が2年近くも教会に通うことを重要視していなかったとしたら、単にそれほど重要なことではないのかもしれない。


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