見出し画像

H2O,CO2,CH4の温暖化効果と低炭素化の勧め

基本的なことですが、地球温暖化については、当初からH2OとCO2の温暖化係数の数値についての議論がありました。国立環境研究所の地球環境研究センターからは、温室効果物質の寄与として、水蒸気; 48%、CO2;21%、雲;19%、オゾン;6%、その他;5%などの数値が公開されています。

IPCCは、CO2濃度が2倍になった場合の気候変化を推定しています。それによれば、複雑な大気熱力学の解析を試みた多くの科学論文に基づいた推定値では、1.5〜4.5℃の幅で変化するということです。「産業革命から1.5℃削減」という数字もこうしたシミュレーションから出ているのでしょう。

これに対して、大気に地球温暖化ガス(GHG)が吸収されることによる温暖化効果を論じるペーパーが出ていました。GHGとしてはCO2だけでなく、同じく強い温室効果ガスとされるCH4、N2Oについても、大気吸収がどのような温暖化効果(現在の33K )をもたらすのかを明らかにしています。

(註)33 K; Current 平均温度(288K15℃)ー Zero大気温度(255K-18℃

その結果を外挿して、将来の温室効果ガス濃度上昇による予想温暖化を算出することにより、気候感度の数値を迅速に得る方法を提供しているのです。

気体吸収スペクトルのデータベース「HITRAN」では、個々の大気成分について、現在の気温 288K(15℃)における地球放射及び大気全体の吸収量を正確に求めることができるということです。このデータから導き出されたのは、33Kの温暖化のうち、H2Oが 29.4K、CO2が 3.3K、CH4とN2Oの合計は 0.3Kであるということです。

また、将来起こり得るGHG濃度増加に対する気候感度は、CO2の場合、H2Oの正のフィードバック効果を含めて 0.50Kと算出されていますが、CH4とN2Oについてはそれぞれ 0.06Kと0.08 Kということで、ほとんど検出されなかったということです。

世界の流れですが、これまでは、IPCCやUNEPなどが中心となり、地球温暖化の原因を CO2一辺倒で、CO2削減目標や対策が議論されて来ました。その対策も上手く行かないと思ったのか、Mitigation(緩和策)からMitigation + Adaptation(適用策)も交えた対策に変化しています。

CO2対策も上手く行かないと思ったのか、CO26を前にして、CH4の方がより緊急性があり、温暖化防止対策としては効果が出やすいものとして取り上げられています。

我が国でもCO2削減対策として、エネルギー由来のCO2削減、脱炭素化、即ち、火力発電の段階的な削減や撤廃の検討、再エネ発電の推進が進められています。また、産業の電動化についても、色々な議論が交わされています。代表的な話としては車の電動化、自動運転などがあり、自動車メーカーなどはEV車の開発、販売を開始したところです。

仮に、発電の脱炭素化に邁進してしまうと高額な電気料金を招くことになり,その上で、産業電動化を進めていくのは大変難しい状況に陥るのではないでしょうか。

寧ろ、今後は、手頃な電気料金を維持しつつ、即ち、火力発電も維持しつつ、エネルギーミックスを堅持し、産業の電動化を進めていき、それから発電の【低炭素化】を進めることが望ましいと思われます。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?