米国の石炭備蓄量が歴史的な低水準に
The Epoch Timesからの引用です。米国が、石炭に依存し続ける姿を垣間見ることができます。
米国エネルギー情報局(EIA)は、最新の短期エネルギー見通しの中で、電力業界の石炭在庫が2021年12月時点で9370万トンに達したと発表した。カーター政権以来の歴史的低水準となった9月から増加している。
Center of the American Experimentの政策研究員であるオア氏によれば、「この増加は冬の気温が予想より高かったこと、風力発電の増加、電力会社が冬の異常気象への備えとして石炭を節約することを決定した結果である」との見方を示している。「電力会社は、寒波が来たときに、この石炭が必要になることは分かっている」
2021年9月、米国発電所の石炭備蓄量は8000万トン強まで減少した。これは、1978年3月に電力部門の石炭在庫が7700万トンになったとき以来の最小量である。EIAの統計によると、12月の電力部門の石炭在庫は、2021年の複数月以前の例外を除き、1970年代以降で最も低い水準となった。
国勢調査局によると、1978年初頭の米国の人口は2億1700万人で、2022年1月には3億3200万人になると予想されている。この間、米国の送電網の電源も変化した。EIAによると、シェール層からの天然ガス抽出の技術革新により、国内の発電設備に占める天然ガスの割合は1990年の17%から2020年には43%に上昇した。一方、石炭は同期間に53%から20%に減少している。
ブルッキングス研究所(民主党系)は2019年の報告書で、石炭はおそらく不可逆的に衰退していくと主張した。同シンクタンクは、ドナルド・トランプ大統領のときに、州レベルでの再生可能エネルギー義務化が進み、太陽光と風力が台頭してきたことを挙げている。また、米国のCO2排出量の減少に大きな役割を果たした天然ガスの台頭も指摘している。ブルッキングスはまた、石炭火力発電設備への投資を阻害する要因として、温室効果ガス排出の抑制を目的とした新たな政策の可能性を挙げている。ブルッキングスは、「要するに、米国の石炭生産が再び灰の中から立ち上がることはないだろう」と結論づけた。
一方、同じくシンクタンクのヘリテージ財団(共和党系)は、石炭火力は「過剰で効果のない規制」に悩まされている。さらに税金で補助されるエネルギー源との競争もあると主張し、太陽光や風力に対する税控除を廃止するなど、特定のエネルギー源を支持する直接補助金や政府の命令を抑制するための提言を議会に行った。
オア氏は、「環境保護団体や州機関は、電力会社に対して石炭発電所の使用を抑制するよう圧力をかけている。また、環境・社会・企業統治(ESG)基準により、石炭関連プロジェクトに対する融資などが制限され始めている。石炭から脱却するという政治的決断があったが、現実には、それを実現することができていない」と彼は言った。
米国の気候変動特使ジョン・ケリー氏は11月、「米国は2030年までに石炭を持たなくなる」と予測したが、オア氏は疑問を抱いている。「エネルギーの転換は、会議に出て宣言できるようなものではない。数百年とは言わないまでも、数十年はかかる長い取り組みだ」と述べている。
また、彼は、再生可能エネルギーの普及と石炭の衰退を同時に進めた州の義務付けと連邦政府の補助金の役割に注目している。しかし、一部の団体は、「多額の間接的補助金によって石炭、石油、天然ガスの収益性が維持されている」と主張している。例えば、国際通貨基金(IMF)は、地球温暖化や公害などの被害を考慮すると、石炭の99%は本来あるべき価格より安く販売されていると主張している。
EIAは、国内の石炭埋蔵量が増加することを予測している。EIA長官代理は、「米国の石炭在庫は歴史的な低水準にとどまっており、在庫を補充するために、石炭の生産量は高止まりすると予想している」と述べている。
石炭価格は、国際的には上昇傾向にある。アジア市場のベンチマークであるオーストラリアのニューキャッスルでの石炭先物は、2021年10月上旬の直近のピークから下落した後、ここ数週間で上昇している。
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