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「創作」は誰でもできるという話とその理由

世の中には数え切れないほどのコンテンツがあります。

自分好みのコンテンツを「消費する」ことはもちろん楽しさを感じる幸せなことですが、それはベースにあった上で「創作する」こともまた別軸の幸せを得られるものだと思います。

すなわち「消費だけでなく創作もする」という生き方は、幸せの入れ物の次元が1段階拡張されるようなものだ、と私は思っていて、国民総クリエイターな世の中になれば全体としてのハッピーの総量は増えるに違いない!と思っています。

ただ、世間一般にはなんとなく "創作に対する得体の知れないハードル" というものが存在している気がしているので、それが少しでも下がって有限な人生の時間の使い道のひとつとしての創作を始めてみる人が増えたらいいなと思って書かせていただきます。

《前提》普遍的な正解などというものは無い

音楽、文章、絵、などなど、私たちは人生でいろいろな作品に触れてきました。お金を払って鑑賞するものもあれば、SNSや街中でたまたま目にするものもあります。

その中で「いいなと感じた作品はこれまで何一つなかった」という人はおそらくほとんどいないと思います。
ということはつまり、誰しも自分の中に "良い作品の評価軸" なるものが存在しているということになります。

"客観的な評価" というのは競争や商売が目的となるとついてまわって避けられないものですが、自分自身にとって満足できる作品をつくることにおいて言えばそれは全く関係ありません。自分の中の評価軸のみが正解です。
これは普遍的でなくて当然です。

作品をつくる、となるとどうしても「評価されなかったら悲しい」とか「世の中にはすごい人がいっぱいて追いつけない」とか思ってしまいそうですが、まず大前提として少なくとも自分で満足のいく作品がつくれるならそれは楽しいはずだって思いませんでしょうか。

《方法》作品づくりは「観察と実験」

作品づくりのアプローチは人それぞれあるかと思いますが、私は突き詰めると「観察と実験」だと思っています。

感性のままに作品を作ってみる、ということも可能ではあると思いますが、自分が満足のいく作品を生み出すのはすごく難しいでしょうし、それができるのは生まれて持った才能がある人か、もしくは積み上げられたインプットや経験によって本人の中でものすごく体系化されていて途中プロセスを無意識にショートカットしている人なのかなと思います。

なので、誰でもできる基本的なアプローチは "時間と頭を使うこと" で、その第一歩が「観察」だと思っています。

観察=自分の評価軸を見出して具体化すること

作品を鑑賞するとき、またはそうでなくても日常生活のあらゆる場面において何か心動かされるものがあったときには、自分の感覚を研ぎ澄ませてその対象に向き合ってみて "どの要素に私の心は動かされたのか" をじっくり考えることを「観察」と表しています。

例えば音楽を聴いていて「この曲好きだな」と思ったとき、その曲のどの部分の何に対して「好きだな」という感情が生まれたのかについて立ち止まって頭を捻って考えてみます。そうすると

・歌詞の○○という表現に懐かしさを感じた
・この部分のベースの刻む感じが気持ち良い
・後ろでなってるピアノ、特にこの音がハッとした

のように "好きな曲" から "好きな要素" に具体化できます。

自分の好きな曲たちだけを並べても曲を作れそうな気はなかなかしませんが、「私の好きな音楽の要素リスト」があれば、自分にとって最高の音楽をなんだかちょっと作れそうな気がしてきませんか。


実験=試してみて自分の評価軸への当てはまりを確かめること

作品をつくると言ったってスキルが必要じゃないか、そのハードルが高いのだ、と思うかもしれません。

それは半分そのとおりで、半分そうじゃないと思っています。

もちろん、いきなりギターを渡されても思ったとおりに音は出せないでしょうしいきなり彫刻も作れないでしょうから、選ぶ作品づくりの手法によってはスキルは必要だと思います。なので手法にこだわりがあるのであれば、スキルを身につけるための学習はどうしてもある程度必要になってくると思います。

ただ、手法に強くこだわらないのであれば、今の時代作品づくりの手法は思ったより全然手の届くところにあります

文章は言語が使えれば、写真はカメラやスマホを持っていれば少なくとも作品として成立します。
イラストは、写実性を重視しないのであれば線をかける時点で作品は成立可能ですし、重視するにしてもデジタルを使って写真のトレースをするで全然いいと思います。(他人の作品をトレースして発信するのは問題ですが)
音楽も、楽器が弾けなくてもPC上でポチポチすれば簡単にいろんな楽器を好きな音で鳴らすことができますし、なんならiPhoneにはデフォルトで作曲アプリが入っているくらいです。

そのほか映像編集や3DCGやプログラミングも、今は便利なソフトやツール、テンプレートが様々あるので、作品として成立するところまでであれば想像しているよりハードルは高くないです。


さて、最低限作品として成立しうる土台が保証された上で、あとはどうやって自分の好きな要素を入れ込んで自分にとって理想の作品に近づけていくかというところなのですが、そこはひたすら「実験」だと思っています。

まずは一旦作品づくりに手を付けてみる、するときっと作っている途中で「なんだか違う気がする」と感じると思います。
それはつまり自分の評価軸に当てはまっていないということなので、そうしたら「じゃあ自分の評価軸に当てはまるにはどうしたらよいのか?」といろいろ試してみながら修正すれば良いのです。

音楽理論を知らなくても、色彩理論を知らなくても、物書きとしての鉄則を知らなくても、 "それが自分の評価軸に当てはまっているかどうか" は少なくとも確かめられます。
そうやって実験を繰り返しつつ、ときどき自分の評価軸を補完したり付け加えたりしながら作品づくりを進めていけば、時間はかかるかもしれませんが理論上自分にとって最高の作品ができるはずです。


もちろん、音楽理論や色彩理論や物書きとしての鉄則のようなものを知識として身につけることだったり、絵を描く技術やカメラの撮影技術を上げることは、満足のいく作品づくりの近道にはなり得ると思うので、モチベーションがあるのならどんどんやってみるでいいと思います。

ただ、やらなければ満足のいく作品がつくれないわけでは無いですし、つまらないと思いながら理論を勉強して行き詰まって作品づくりのモチベーションが下がってしまっては本末転倒なので、自分に合うバランスでいいのだろうなと思います。

《まとめ》

まとめると4つ。

1.作品をつくる上での正解は自分の中にのみあるので、普遍的な正解を求める必要はない

2.自分が心動かされた要素を意識して生活すると、自分にとっての良い作品の評価軸が明確になって創作の方向性がなんとなく見えてくる

3.作品にするところまでなら実は意外とハードルは低いので、とりあえず始めてみると良い

4.知識が全然なくても、自分の評価軸と向き合いながらたくさん実験しているうちに気づけば自分にとっての良い作品に近づいている

この4点を頭の片隅に置いてみると、実は創作はそんなに難しいものではなくて、なんだちょっとやってみようかしらというワクワクした気持ちになりませんでしょうか。どうでしょうか。


つらつらと偉そうに語ってしまいましたが、偉そうにする意図は一切ないですし、ぜんぜん偉くもありません。ただ私は、 "創作は誰にでもできるし、やれば人生よりハッピーになる" と本当に思っているので、私が思う創作に対するスタンスを整理して言語化して綴らせていただいた次第です。

読んでくださった方の創作を始める一助になれば、とっても嬉しいです。

おしまい。

aso


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