パンみみ日記「誰かと出会えるワクワクは春に似合う」
日々のできごとをかき集めました。パン屋に置いてある、パンの耳の袋のように。日常のきれはしを、まとめてどうぞ。5個くらいたまったら店頭に置きます。
3月23日(木)
会社で人事部との面談。入社から3ヶ月目ということで、定着フォローのための面談らしい。
担当してくれたのは人事のセキオカさん。ずっとニコニコしていて、アニメだったら背景にふわわ〜とお花が出てきそうなほど穏やかな女性。
転職してギャップはなかったか、部署に馴染めているか、抱えている問題はないか、といったことを訊いてくれた。
ヒアリング項目がひと通り終わり、雑談に。ぼくとセキオカさんは最寄駅が同じなのである。どこのスーパーを使っているかの話になった。
セキオカさんのメインスーパーはヨーカドーらしい。ぼくはマルエツだ。品物によって安い店が違うのが、スーパー選びの難しいところ。
「ただ、ヨーグルト買うときはヨーカドー行くんです。プライベートブランドが安くて。あのヨーグルト、おいしいんです」
ぼくがそう伝えると、セキオカさんは「ヨーグルト目当てで!」となぜか目をキラキラさせてくれた。
面談でわざわざ時間をもらっているんだ。お返しと言っては何だが、セキオカさんに有益な情報を提供することができた。
これからはヨーグルト売り場で、セキオカさんと出くわすかもしれない。
3月25日(土)
よさこいチームの体験会へ。とうとうこのときがやってきた。東京でもよさこいを始めるべく、チームを探し続けてきたのだ。
「はじめましての人がたくさんいるところに、1人で飛び込むのドキドキやな…」とコミュニティに突入する緊張感が久々に胸をよぎる。
ただ、この種類の緊張は好きだ。世界が広がるきっかけを与えてくれるようなワクワクは、春に似合う。
公園で練習する予定だったものの、あいにくの雨。練習場所が変更となり、高架下に集まることに。高架下で練習するとか、少年漫画のワンシーンなんだけど。
練習が始まる。自己紹介をして、ストレッチ。2人1組になって押し合う。いつぶりだろう、人に前屈を手伝ってもらうの。
曲の練習に入る。久しぶりのよさこいに、心が弾む。降りしきる雨が運ぶ冷気を忘れるほど、身体が温まってくる。
雨だから練習は早めに終わった。早く帰れることをみんな喜んでいたくせに、個人練習には全員残っていた。なんて愛くるしい人たち。
帰り道、降り注ぐ雨に負けずに桜が咲いていた。やっぱり春は、新しい出会いと一緒にいたい。いつぶりかわからないくらい、ドキドキした1日だった。
3月26日(日)
よさこいの練習会へ。2日連続。昨日の練習会があまりにも楽しかったので、「明日も来ていいですか!」と新入部員並のやる気を見せてしまった。
昨日とだいたい同じメンバーだったけれど、今日の練習で初めて会った人も何人かいた。社会人になって、こんなにいっぺんに同世代と知り合うのは不思議な感覚。
振りを覚えて、曲に合わせて、動画を撮る。揃わなかったところを確認して、もう一度。「もう一回やろう!」と配置につく。1つ1つの動きができるたびに、歓声が上がる。
あぁ、この感覚なんだ。自分にとって必要なのは。ぼくは誰かと繋がりながら、何か1つのことに向かっている状態がないと生きられないんだ。
何かが1つ足りなかった心のピースに、カチッとハマった音がした。
練習が終わる頃には、入会を決めた。この人たちと、お祭りに向けて動き出すんだ。最後の大人の青春を味わうんだ。
あと数年したら、みんな結婚や出産でよさこいを離れてしまうかもしれない。だからこそ、あと少しだけ。少しだけでも夢中になっていたい。
雨空だけど、今日は新生活が始まる匂いがする。
3月27日(月)
昨日一緒に練習していたメンバーとLINE。ぼくは久々の運動だったので
「バキバキの筋肉痛で、月曜から絶望の起床でした」と送ると
「私は肩バキバキで1日ロボットみたいな動きでした」と返ってきた。
お互いの筋肉痛のひどさを笑い合うのって、なんかいいね。久々だね。
3月30日(木)
会社。DX推進のための勉強会が開かれる。勉強会の中でチャットGPTの機能や、効果的な使用方法についてのレクチャーがあった。
チャットGPTのことはあまり知らなかったので、驚きの連続だった。こんなことまで、できてしまうのか。利便性を享受できるという嬉しさ半分、人間の存在価値を脅かされる怖さ半分。
有益な情報を入手したいというニーズに応えるための文章は、チャットGPTが書けてしまうのか。
だったらぼくらは、どんな文章を書けばいいんだろう。
自分が体験して、心に湧き出た感情なら、チャットGPTには書けないかな。事実と感情を記した随筆なら、人だけが生み出せるのかな。
わっかんね。とりあえず、これからも「出会った人とできごと」と、それに対して「何を感じたのか」を書いていきたい。感情を冷凍保存するために。
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